司法書士の過去問
令和3年度
午前の部 問28
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問題
令和3年度 司法書士試験 午前の部 問28 (訂正依頼・報告はこちら)
株式等売渡請求に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 会社以外の法人や自然人であっても、特別支配株主として株式等売渡請求をすることができる。
イ 会社は、当該会社が発行済株式の全部を保有する株式会社が有するものと併せると、対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有することとなる場合には、特別支配株主として株式等売渡請求をすることができる。
ウ 対象会社は、株式等売渡請求に係る承認をした場合には、売渡株主に対し、当該承認をした旨等を通知しなければならないが、この通知は、公告をもってこれに代えることができる。
エ 売渡株主は、株式売渡請求が法令に違反する場合には、特別支配株主に対し、対象会社の株式のうち当該売渡株主が保有するものに限り、その取得をやめることを請求することができる。
オ 特別支配株主は、株式売渡請求と併せて新株予約権売渡請求をした場合において、新株予約権売渡請求のみを撤回することができる。
ア 会社以外の法人や自然人であっても、特別支配株主として株式等売渡請求をすることができる。
イ 会社は、当該会社が発行済株式の全部を保有する株式会社が有するものと併せると、対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有することとなる場合には、特別支配株主として株式等売渡請求をすることができる。
ウ 対象会社は、株式等売渡請求に係る承認をした場合には、売渡株主に対し、当該承認をした旨等を通知しなければならないが、この通知は、公告をもってこれに代えることができる。
エ 売渡株主は、株式売渡請求が法令に違反する場合には、特別支配株主に対し、対象会社の株式のうち当該売渡株主が保有するものに限り、その取得をやめることを請求することができる。
オ 特別支配株主は、株式売渡請求と併せて新株予約権売渡請求をした場合において、新株予約権売渡請求のみを撤回することができる。
- アイ
- アオ
- イウ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 〇 株式等売渡請求をすることができる特別支配株主は、法人や自然人であってもよいです。
逆に法人や自然人がダメなら誰が株式等売渡請求をすることができるのでしょうか?
イ 〇 原則として、特別支配株主は、単独の株主によって総株主の議決権の10分の9以上の要件を満たさなければならないが、
例外として、特別支配株主完全子法人が有している対象会社の株式を合算して、10分の9以上の要件を満たす場合で、当該株主は、対象会社の特別支配会社となります。(会社179)
要するに、A株式会社が株式等売渡請求をする場合、A株式会社の子会社であるa株式会社の持株数と合算して10分の9以上になればよいということです。
ウ × 本肢を一言でまとめると、「あなたが保有している株式はB株式会社に売らなければなりませんよ。」と通知されるということです。
対象会社は、株式等売渡請求に係る承認をしたときは、取得日の20日前までに、売渡株主及び売渡新株予約権者に対し、当該承認をした旨、特別支配株主の氏名又は名称及び住所、株式等売渡請求に関する事項等を通知しなければならない。(会社179)
株式を保有していたらいきなり、売り渡さなければならないと通知が来るのです。
株を保有されている方ならお分かりいただけると思いますが、
これは非常に重大な事態なので公告なんかでは足りません。
よってきちんと通知しなければならないのです。
エ × 株式売渡請求が法令に違反する場合において、売渡株主が不利益を受ける恐れがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式の全部の取得をやめることを請求することができます。(会社179)
つまり、売り渡しの対象である株主が、売渡請求をしてくる大株主に対し、「法令に違反しているので売渡請求をやめてください」と言えるということです。
これはある意味保存行為なので、他の株主のために全部の売渡請求をやめてくださいと言えるということです。
オ 〇 特別支配株主は、株式等売渡請求について対象会社の承認を受けた後は、取得日の前日までに対象会社の承認を得た場合に限り、売渡株式等の全部について株式等売渡請求を撤回することができます。(会社179)
そして、株式売渡請求と併せて新株予約権売渡請求がされている場合、特別支配株主は、新株予約権売渡請求のみを撤回できます。
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02
正解 4
ア 正しい
株式等売渡請求により対象会社の株式を全部取得できる特別支配株主は、株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を有していれば、会社以外の法人や自然人であっても良いとされています(会社法179条1項)。
イ 正しい
特別支配株主の議決権保有割合の算定については、その者が発行済株式全部を有する株式会社の保有する議決権を合算することができます(会社法179条1項、同施行規則33条の4)。
ウ 誤り
対象会社は、株式等売渡請求を承認するか否かの決定をしたときは、売渡株主もしくは売渡新株予約権者または登録株式質権者等に対し、当該承認をした旨の通知しなければならず(会社法179条の3第4項)、同通知は、売渡株主に対するものを除き、公告をもって代えることができます(同179条の4)。
売渡株主に対する通知は、公告によって代替することはできません。
エ 誤り
株式等売渡請求が法令に違反する場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができます(会社法179条の7第1項1号)。
本肢は、当該売渡株主が保有するものに限り、その取得をやめることを請求できるとしている点で誤りです。
オ 正しい
特別支配株主は、株式売渡請求をするときは、対象会社の新株予約権者の全員に対し、その新株予約券の全部を売り渡すことを併せて請求することができます(会社法179条2項)。
この場合、新株予約権売渡請求のみを撤回することが可能です(同179条の6第8項)。
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03
正解は4です。特別支配株主とは、株式会社(以下、対象会社)について、➀総株主の議決権の10分の9以上を直接有する者、または、②➀と同割合の議決権を特別支配株主完全子法人を通じて有する者、のことです(会社法179条1項)。
ア…正しいです。特別支配株主の資格については「当該株式会社(=対象会社)以外の者」とされる以外には、特に法人に限るなどの定めはなく、会社以外の法人や自然人もなることができます(会社法179条1項参照)。ただし、特別支配株主完全子法人以外で、複数人や複数の会社をまとめて特別支配株主になることはできないとされています。
イ…正しいです。上記②については、特別支配株主自身が保有する対象会社の株式に加え、特別支配株主が発行済株式の全部を有する株式会社・特別支配株主が持分の全部を有する法人等(=特別支配株主完全子法人)が保有する対象会社の株式を併せて議決権に加えることができます(会社法179条1項、会社法施行規則33条の4)。
ウ…誤りです。対象会社は、株式等売渡請求に係る承認をした場合には、売渡株主および売渡株式の登録株式質権者に対し、当該承認をした旨等の通知をしなければなりません(会社法179条の4第1項1号、2号)。この通知は、売渡株主に対するものを除き、公告をもってこれに代えることができます(会社法179条の4第2項かっこ書)。
エ…誤りです。株式売渡請求が法令に違反し、売渡株主が不利益を受けるおそれがある場合には、売渡株主は、特別支配株主に対し、「株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部」の取得をやめることを請求することができます(会社法179条の7第1項1号)。
オ…正しいです。特別支配株主は、株主売渡請求と併せて新株予約権売渡請求をすることができます(会社法179条2項)。また、その撤回にあたっては、株主売渡請求と新株予約権売渡請求の両方を撤回することもできますが、新株予約権売渡請求のみを撤回することもできます(会社法179条の6第1項、8項)。
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