司法書士の過去問
令和3年度
午前の部 問31

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問題

令和3年度 司法書士試験 午前の部 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

監査等委員会設置会社に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア  監査等委員は、監査等委員会により選定されていなくても、法令又は定款に違反する事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければならない。
イ  監査等委員は、監査等委員会により選定されていなくても、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。
ウ  監査等委員は、監査等委員会により選定されていなくても、いつでも、取締役及び支配人その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は当該監査等委員会設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
エ  監査等委員は、監査等委員会により選定されていなくても、取締役が法令又は定款に違反する行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査等委員会設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
オ  監査等委員である取締役は、監査等委員会により選定されていなくても、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
  • アウ
  • アエ
  • イウ
  • イオ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解 3

ア 正しい

監査等委員は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければなりません(会社法399条の4)。

イ 誤り

監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができます(会社法342条の2第4項)。

監査等委員会により選定されていない監査等委員は、これらについて株主総会で意見を述べることはできません。

ウ 誤り

監査等委員会が選定する監査等委員は、いつでも、取締役及び支配人その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は監査等委員会設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます(会社法399条の3第1項)。

監査等委員会により選定されていない監査等委員は、取締役及び支配人その他の使用人に対し、報告徴求や業務等の調査を行うことはできません。

エ 正しい

監査等委員は、取締役が監査等委員会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査等委員会設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(会社法399条の6第1項)。

オ 正しい

監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができます(会社法361条5項)。

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02

正解は3です。監査役設置会社では、各監査役は独任制です。これに対し監査等委員会設置会社では、指名委員会等設置会社と同様、原則として、監査等委員会により選定された監査等委員(以下、選定監査等委員)にのみ業務状況調査などの監査行為の権限があります。例外として、選定監査等委員でない監査委員でも、急を要する取締役会への報告などは行うことができます。

ア…正しいです。監査等委員は、(選定監査等委員であるか否かに関わらず、)取締役が不正の行為をし、もしくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、または法令もしくは定款に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければなりません(399条の4)。

イ…誤りです。選定監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任もしくは解任または辞任について意見を述べることができます(342条の2第4項)。なお、(選定監査等委員であるか否かに関わらず、)監査等委員は、監査等委員である取締役の選任もしくは解任または辞任について意見を述べることができます(342条の2第1項)。

ウ…誤りです。選定監査等委員は、いつでも、取締役及び支配人その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は指名委員会等設置会社の業務及び財産の状況を調査することができます(399条の3第1項)。

エ…正しいです。監査等委員は、(選定監査等委員であるか否かに関わらず、)取締役が監査等委員会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令もしくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査等委員会設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(399条の6第1項)。

オ…正しいです。監査等委員は、(選定監査等委員であるか否かに関わらず、)株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができます(361条5項)。なお、選定監査等委員は、監査等委員以外の取締役の報酬等についても意見を述べることができます(361条6項)。

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03

ア 〇 監査等委員は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役会に報告しなければならない。(会社399)

そして、当該報告をする監査等委員は、監査等委員会により選定されているものに限られません。

なぜなら、会社全体のため(ニアリーイコール保存行為)だから、各々の監査等委員が独立の権限でできるのです。

イ ✕ 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができます。(会社342)

本肢は監査等委員会により選定されていなくても、とする点が誤っています。

なぜなら、監査等委員会を代表して意見を述べることができるのであって、各々の監査等委員が独立の権限で意見を述べることができるわけではないからです。

ウ × 監査等委員会が選定する監査等委員は、いつでも、取締役及び支配人その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は監査等委員会設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます。(会社399)

本肢は監査等委員会により選定されていなくても、とする点が誤っています。

なぜなら、会社全体のため(ニアリーイコール保存行為)だから、各々の監査等委員が独立の権限でできるのです。

エ 〇 監査等委員は、取締役が監査等委員会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をする恐れがある場合において、当該行為によって当該監査等委員会設置会社に著しい損害が生ずる恐れがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます。(会社399の6)

そして、監査等委員は、監査等委員会より選定されていることを要しません。

なぜなら、会社全体のため(ニアリーイコール保存行為)だから、各々の監査等委員が独立の権限でできるのです。

それに、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をすると会社に多大な損害を及ぼすことになりかねません。

そんな緊急事態にはいちいち監査等委員会を開いて監査等委員を選定している場合ではなく、各監査等委員が独立の権限で「やめろ~」と取締役に注意できるということです。

オ 〇 監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができます。(会社361)

なぜなら、報酬等が多すぎたら会社財産の流出につながります。

意見を述べるのにいちいち監査等委員会で選定してからでは迅速性に欠けます。

よって、当該意見を述べることができる監査等委員である取締役は、監査等委員会により選定されていることを要しません。

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