ア × 事業の全部を譲渡する場合において、株主総会が当該事業譲渡の承認決議と同時に会社の解散を決議したときは、反対株主は、当該株式会社に対し、株式買取請求権を行使することはできません。(会社469Ⅰ①)
なぜなら、解散したのですから清算手続きに入ります。
株主は清算手続きで自己の株式の対価を受け取って株主である地位を抜ければよいのです。
よって、株主総会において当該事業譲渡の承認と同時に会社の解散が決議されたときは、当該事業譲渡に反対した株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式を買い取ることを請求することができません。
イ 〇 原則として、株式会社が事業の重要な一部の譲渡をする場合には株主総会の特別決議によって、承認を受けなければなりません。(会社467Ⅰ)
しかし、当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価格が当該株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合は取締役会決議で足ります。
なぜなら、総資産の5分の1以下の事業譲渡は小規模なのです。
つまり、小規模な事業譲渡のためにわざわざ株主総会特別決議の承認を得なければならないとすると、迅速性を欠きビジネスチャンスを失ってしまうからです。
ウ 〇 株式会社がその事業の全部を賃貸するとの契約を締結するときは、その効力が生ずる日の前日までに、株主総会の決議によって、当該契約の承認を受けなければなりません。(会社467Ⅰ④)
株主の立場になって考えてみましょう。
自身が出資されている会社が、儲かっている事業の全てを株主総会の決議を得ずに賃貸に出されるとなると、「なぜ?」と株主総会で意見の一つも言いたくなると思います。
よって、例え賃貸でも事業の全部の場合は株主総会特別決議を経る必要があります。
エ × 株式会社がその子会社の株式の一部を譲渡する場合において、
①譲渡する株式の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超え、かつ、
②当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないときは、
効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、当該株式譲渡契約の承認を受けなければなりません。(会社467Ⅰ②)
なぜなら、子会社Bの株式の議決権の総数の過半数の議決権を有しないのだから当該会社と子会社Bは親子関係にありません。
よって、単に間接保有しているに過ぎないのですから当該会社の株主総会決議が必要です。
オ 〇 株式会社が、他の会社の事業の全部の譲受けをする場合は、株主総会の特別決議によって、承認を受けなければなりません。(事業譲渡にあたるからです。)
そして、この場合において、当該株式会社が譲り受ける資産に当該株式会社の株式が含まれているときは、取締役は、当該事業の全部の譲受に係る契約を承認する株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければなりまりません。(会社467Ⅱ)
なぜなら、会社法では自己株式を取得することはあまりよく思っていないからです。