司法書士の過去問
令和3年度
午前の部 問33

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問題

令和3年度 司法書士試験 午前の部 問33 (訂正依頼・報告はこちら)

持分会社に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア  合同会社の社員は、労務をその出資の目的とすることができる。
イ  合資会社においては、有限責任社員を業務を執行する社員とすることができる。
ウ  合名会社は、社債を発行することはできない。
エ  合同会社においては、業務を執行する社員が自己のために合同会社と取引をしようとする場合に当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けることを要しないとの定款の定めを設けることはできない。
オ  合同会社の業務を執行する社員がその職務を行うのに費用を要するときは、合同会社は、業務を執行する社員の請求により、その前払をしなければならない。
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  • アオ
  • イエ
  • イオ
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この過去問の解説 (3件)

01

ア × 持分会社の有限責任社員の出資の目的は、金銭等に限られています。(会社576条Ⅵ)

これは覚えておきましょう。

そして、合同会社の社員は全て有限責任社員です。

よって、合同会社においては、社員の出資の目的は金銭等に限られますが、合名、合資会社の無限責任社員は労務の出資が可能です。

イ 〇 持分会社は業務を執行する社員を定款で定めることができます。(会社590Ⅰ)

持分会社の定款変更は総社員の同意が必要です。

つまり、ほぼすべてのことを定款で変更できます。(総社員の同意がありますから。)

よって、合資会社の有限責任社員を業務執行社員とすることができます。

ウ × 会社は、社債を発行することができます。(会社676)

社債を発行するということは借金をするということです。

逆に借金をすることができない会社というのは存在しません。

エ × 業務を執行する社員は、自己又は第三者のために持分会社と取引をしようとする場合、定款に別段の定めがある場合を除き、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければなりません。(会社595条Ⅰ①)

持分会社の定款変更は総社員の同意が必要です。

よって、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けることを要しないとの定款の定めを設けることができます。

オ 〇 持分会社の業務を執行する社員がその職務を行うに費用を要するときは、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社は、業務を執行する社員の請求により、その前払いをしなければならない。(会社593Ⅵ)

なぜなら、迅速に執行しないとビジネスチャンスを失ってしまう場合が実務では多々あるからです。

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02

正解は4です。

ア…誤りです。合同会社では、社員に有限責任社員しかいないため、金銭のみを出資の目的とすることができます(会社法576条1項6号かっこ書、4項)。労務を出資の目的とすることはできません。

イ…正しいです。業務執行社員は、無限責任社員に限らず、有限責任社員でもなることができます(会社法585条、597条参照)。

ウ…誤りです。社債は、株式会社や特例有限会社に限らず、各持分会社である合名会社、合資会社、合同会社のいずれでも発行することができます(会社法2条23号参照)。

エ…誤りです。持分会社の業務執行社員が、自己のために自己の属する持分会社と取引をしようとする等のとき(=いわゆる利益相反取引にあたるとみなされるとき)、原則として、当該業務執行社員以外の社員の過半数の承認を受けなければなりませんが、定款に別段の定めがある場合は、この限りではありません(会社法595条1項)。合同会社に関する特例はありません。

オ…正しいです。持分会社と業務執行社員には民法の委任に関する規定が準用されます(会社法593条4項)。したがって、業務執行社員がその職務の実行に関して費用を要するとき、持分会社は業務執行社員の請求により、その前払いをしなければなりません(民法649条)。

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03

正解 4

ア 誤り

持分会社の有限責任社員の出資の目的は、金銭等に限られています(会社法576条1項6号)。

社員の全員が有限責任社員である合同会社(同条4項)では、労務をその出資の目的とすることはできません。

イ 正しい

持分会社の社員は、各自持分会社の業務を執行するのが原則ですが、定款で業務を執行する社員を定めることもできます(会社法590条1項、同591条)。

合資会社において、有限責任社員を業務を執行する社員とすることも可能です。

ウ 誤り

社債を発行する主体は会社であればよく(会社法2条23号参照)、株式会社である必要はありません(同2条1号)。

したがって、合名会社であっても社債を発行することは可能です。

エ 誤り

業務を執行する社員は、自己又は第三者のために持分会社と取引をしようとする場合、定款に別段の定めがある場合を除き、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければなりません(会社法595条1項1号)。

オ 正しい

委任事務を処理するのに費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければなりません(民法649条)。

この規定は、業務を執行する社員と持分会社との関係についても準用されています(会社法593条4項)。

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