司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問39
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問題
令和3年度 司法書士試験 午後の部 問39 (訂正依頼・報告はこちら)
書証に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せはどれか。
ア 私文書は、本人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものとみなされる。
イ 文書の成立の真正についての自白は、裁判所を拘束しない。
ウ 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
エ 訴訟の当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、過料に処する。
オ 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることのみを理由として即時抗告をすることができる。
ア 私文書は、本人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものとみなされる。
イ 文書の成立の真正についての自白は、裁判所を拘束しない。
ウ 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
エ 訴訟の当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、過料に処する。
オ 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることのみを理由として即時抗告をすることができる。
- アエ
- アオ
- イウ
- イエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 3
ア 誤り
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定されます(民訴法228条4項)。
文書が真正に成立したものとみなされるとしている点で、本肢は誤りです。
イ 正しい
判例(最判昭52.4.15)は、「書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではないと解するのが相当である。」としています。
ウ 正しい
裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければなりません(民訴法223条2項)。
文書提出を命じられる第三者の手続保障を図る必要があるからです。
エ 誤り
第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所の決定により当該第三者は過料に処されますが、訴訟の当事者が文書提出命令に従わないときについて、このような制裁を課す規定は存在しません(民訴法224条)。
オ 誤り
判例(最決平12.3.10)は、「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服申立てをすることはできない。」としています。
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02
正解は3です。
ア…誤りです。私文書は、本人又は代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと「推定され」ます(民事訴訟法228条4項)。
イ…正しいです。文書の成立の真正についての自白は、裁判所を拘束しないとされます(最判昭52・4・15)。書証の成立についての自白は主要事実についての自白と異なり、当事者が自由にこれを撤回できると考えられています。
ウ…正しいです。裁判所は、第三者に対して文書の提出を命ずる場合には、その第三者を審尋しなければなりません(民事訴訟法223条2項)。
エ…誤りです。「第三者」が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、20万円以下の過料に処します(民事訴訟法225条1項)。当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができます(民事訴訟法224条1項)。
オ…誤りです。文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告ができます(民事訴訟法223条7項)。しかし、証拠調べの必要性を欠くことを理由に文書提出命令の申立てが却下されたときは、その必要性があることをもって即時抗告をすることができません(最決平12・3・10)。
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03
ア × 本肢は、「推定する」と「みなす」の入れ替え問題です。
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定されます。(民訴228Ⅵ)
よって、本肢はみなされるとする点が誤っています。
イ 〇 本肢を一言でまとめると、文書の成立の申請は補助事実なので、裁判所を拘束しません。
なぜなら、間接事実について自白の効力を認めることは自由心証主義の原則に反するからです。
ウ 〇 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合にはその第三者を審尋しなければならない。(民訴223Ⅱ)
なぜなら、当事者とは異なり第三者には書面で意見を述べる機会がぐよされないからです。
エ × 当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができます。(民訴224Ⅰ)
ちなみに、第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で20万円以下の過料に処する。(民訴225Ⅰ)
オ × 文書提出命令の申し立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができます。(民訴223Ⅶ)
しかし、文書提出命令の申し立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服を申し立てることはできません。
証拠の採否は裁判所の裁量にゆだねられています。
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