司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問40
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
令和3年度 司法書士試験 午後の部 問40 (訂正依頼・報告はこちら)
第一審の民事訴訟手続における判決又は決定に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せはどれか。
ア 裁判所は、当事者が審理の続行を求めたとしても、訴訟が裁判をするのに熟したと判断したときには、口頭弁論を終結し、終局判決をすることができる。
イ 裁判所は、決定をする場合には、あらかじめ、決定を告知する日を定めなければならない。
ウ 口頭弁論を終結した後に裁判官の交代があった場合には、判決は、口頭弁論において当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述した後でなければ、言い渡すことができない。
エ 判決は、少なくとも一方の当事者が在廷する口頭弁論期日において言い渡さなければならない。
オ 決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
ア 裁判所は、当事者が審理の続行を求めたとしても、訴訟が裁判をするのに熟したと判断したときには、口頭弁論を終結し、終局判決をすることができる。
イ 裁判所は、決定をする場合には、あらかじめ、決定を告知する日を定めなければならない。
ウ 口頭弁論を終結した後に裁判官の交代があった場合には、判決は、口頭弁論において当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述した後でなければ、言い渡すことができない。
エ 判決は、少なくとも一方の当事者が在廷する口頭弁論期日において言い渡さなければならない。
オ 決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
- アエ
- アオ
- イウ
- イオ
- ウエ
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
正解 2
ア 正しい
判例(最判昭22.12.5)は、「訴訟が裁判をするのに熟したかどうかを判断して口頭弁論を終結することは、裁判所が自由裁量によって決定することである。」としています。
イ 誤り
決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生じます(民訴法119条)。
この点、決定及び命令は、関係人に対する告知のみにより効力が生じると解されており、本肢のように、あらかじめ、決定を告知する日を定めることまでは求められていません。
ウ 誤り
判例(最判昭26.6.29)は、「基本たる口頭弁論に関与しない判事でも判決の言渡しに関与することを妨げるものではなく、また、判事の更迭があっても判決の言渡しについては弁論を更新する必要はない。」としています。
その理由として、同判例は、「単に判決を言い渡す裁判官は、すでに作成された判決書に基づいて言い渡すだけであるから、民訴法249条1項にいう判決をする裁判官に当たらない。」ということを挙げています。
エ 誤り
判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においてもすることができます(民訴法251条2項)。
オ 正しい
判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができます(民訴法257条1項)。
この規定は、決定及び命令についても、その性質に反しない限りで準用されています(同122条)。
参考になった数16
この解説の修正を提案する
02
正解は2です。
ア…正しいです。裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したと判断したときには、終局判決をします(民事訴訟法243条1項)。この判断は裁判所の自由裁量によって決することができます(最判昭22・12・5)。
イ…誤りです。決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生じます(民事訴訟法119条)。すなわち、判決においてと同様に言渡しをしてもよく、また調書のみを作成して送達・交付するなどの方法によってもよいとされますが(民事訴訟規則67条3項参照)、いずれも告知の日を定める規定はありません。
ウ…誤りです。口頭弁論終結後に判事の更迭があった場合でも、判決の言渡しについては弁論を更新する必要はないとされています(最判昭26・6・29)。判決の言渡しは、すでに確定した判決書の内容に効力を生じさせる(民事訴訟法250条)形式的な意味しかないと解されるためです。
エ…誤りです。判決の言渡しは、原則として口頭弁論の終結の日から2ヶ月以内にすればよく、また当事者が在廷しない場合においてもすることができます(民事訴訟法251条1項、2項)。
オ…正しいです。決定に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができます(民事訴訟法122条、257条1項)。
参考になった数8
この解説の修正を提案する
03
ア 〇 本肢を一言でまとめると、プロがこれ以上審理しても無駄だと判断したら終わらせることができるということです。
裁判所は、訴訟が裁判をするに熟した時は、終局判決をする(民訴243Ⅰ)
イ × 決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。(民訴119)
イメージとして、判決よりも、決定及び命令は軽い感じを持ってください。
よって、判決は言い渡しによらなければならないが、決定、命令は裁判所が相当と認める方法ですればよいのです。
そして、決定、命令の効力も確定を待たず告知することにより直ちに生じます。
ウ × 直接主義の下、判決をする裁判官は判決の基本となる口頭弁論に関与した裁判官でなければなりません。(民訴249Ⅰ)
しかし、判決の言い渡しは口頭弁論に関与していない他の裁判官がすることができます。
なぜなら、極端に言えば判決内容を読み上げるだけなので誰でもよいのです。
エ × 判決の言い渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができます。(民訴251Ⅱ)
なぜなら、裁判所としてはなるべく早く裁判を終わらせたいと思っているからです。それに、判決の言い渡しには当事者の訴訟行為は必要ありません。
よって、本肢は少なくとも一方の当事者が在廷する口頭弁論期日においてとする点が誤っています。
オ 〇 本肢を一言でまとめると、どんな優秀な人でも人間である以上必ずミスをする。ということです。
判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申し立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができます。(民訴257Ⅰ)
参考になった数8
この解説の修正を提案する
前の問題(問39)へ
令和3年度問題一覧
次の問題(問41)へ