司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問64
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問題
令和3年度 司法書士試験 午後の部 問64 (訂正依頼・報告はこちら)
株式会社の役員等の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 代表取締役Aが辞任し、代表取締役Bが就任した場合において、代表取締役の全員が日本に住所を有しないこととなるときであっても、代表取締役Aの辞任及び代表取締役Bの就任による変更の登記を申請することができる。
イ 取締役としてA、B、C及びD並びに代表取締役としてA及びBが登記されている取締役会設置会社において、定款に別段の定めがない場合、取締役であるA、C及びDが任期満了により同時に退任したときであっても、代表取締役Aの退任による変更の登記を申請することができる。
ウ Aのみを会計監査人とする会社において、令和3年6月28日に会計監査人Aが辞任し、同年7月1日に開催された株主総会において新たに会計監査人Bが選任され即時就任を承諾した場合、会計監査人Aの辞任による変更の登記の申請は、令和3年7月1日から2週間以内にしなければならない。
エ 取締役の死亡による変更の登記を申請する場合には、当該取締役の死亡の事実が記載された法定相続情報一覧図の写しをもって、取締役の死亡を証する書面とすることができる。
オ 取締役会設置会社が、任期の満了による退任後もなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役に選定した場合において、その後当該代表取締役が死亡したときは、退任を原因とする取締役及び代表取締役の変更の登記を申請しなければならない。
ア 代表取締役Aが辞任し、代表取締役Bが就任した場合において、代表取締役の全員が日本に住所を有しないこととなるときであっても、代表取締役Aの辞任及び代表取締役Bの就任による変更の登記を申請することができる。
イ 取締役としてA、B、C及びD並びに代表取締役としてA及びBが登記されている取締役会設置会社において、定款に別段の定めがない場合、取締役であるA、C及びDが任期満了により同時に退任したときであっても、代表取締役Aの退任による変更の登記を申請することができる。
ウ Aのみを会計監査人とする会社において、令和3年6月28日に会計監査人Aが辞任し、同年7月1日に開催された株主総会において新たに会計監査人Bが選任され即時就任を承諾した場合、会計監査人Aの辞任による変更の登記の申請は、令和3年7月1日から2週間以内にしなければならない。
エ 取締役の死亡による変更の登記を申請する場合には、当該取締役の死亡の事実が記載された法定相続情報一覧図の写しをもって、取締役の死亡を証する書面とすることができる。
オ 取締役会設置会社が、任期の満了による退任後もなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役に選定した場合において、その後当該代表取締役が死亡したときは、退任を原因とする取締役及び代表取締役の変更の登記を申請しなければならない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 〇 本肢は外国会社の知識とごちゃまぜにしたひっかけ問題です。
代表取締役の全員が日本に住所を有しない国内株式会社の設立及びその代表取締役の重任若しくは就任による登記の申請は受理されます。
イ 〇 取締役の員数を欠く場合でも、代表取締役の員数を欠かないときは、代表取締役の退任登記を申請することができます。
退任させることがときはどんどん退任登記を申請しましょう。
記述対策としても非常に重要なので役員の変更問題は完ぺきにしておきましょう。
ウ × 会計監査人についての知識として重要な知識は以下の2つです。
1.会計監査人は役員ではない
2. 会計監査人は権利義務を有しない
よって、会計監査人は権利義務を有しないので辞任した場合、辞任による変更登記の申請は、辞任の日から2週間以内にしなければなりません。
エ 〇 法定相続情報一覧図の写しについては、死亡を証する書面として取り扱うことができます。
つまり死亡届出書の添付を省略できます。
オ × 本肢をまとめると、権利義務取締役が代表取締役になったときは、退任の日付がズレます。
逆に上記の場合以外は退任の日付がズレません。
記述対策としても覚えておきましょう。
これは、丸暗記しといたほうが得策です。
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02
正解 5
ア 正しい
先例(平27.3.16 明商29号)は、「株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しないこととなるときであっても、代表取締役の就任の登記を申請することができる。」としています。
外国会社については、日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有していなければなりません(会社法817条1項)。
イ 正しい
先例(昭30.4.26 民甲673号)は、「取締役の員数を欠く場合でも、代表取締役の員数を欠かない場合は、代表取締役の権利義務を有する者とはならない。」としています。
本肢では、代表取締役Bが在任しており、代表取締役の員数を欠かないため、代表取締役Aの退任による変更の登記を申請することができます。
ウ 誤り
会計監査人が任期満了又は退任したことにより法定又は定款に定めた員数を欠くこととなっても、役員の場合とは異なり、会計監査人としての権利義務を有する者とはならず、後任会計監査人の就任登記を併せて申請しなくとも、会計監査人の退任登記を申請することができます。
したがって、本肢の場合、会計監査人Aが辞任した令和3年6月28日から2週間以内に、辞任による変更登記を申請しなければなりません(会社法915条1項)。
エ 正しい
先例(平29.5.18 民商84号)は、法定相続情報一覧図の写しについて、「商業・法人登記申請の添付書面のうち、相続があったことを証する市町村その他の公務員が職務上作成した書面及び役員等の死亡を証する書面として取り扱うことができる。」としています。
オ 誤り
取締役を任期満了により退任し、その権利義務を有する者についても、代表取締役に選定することができます。
そして、先例(昭39.10.3 民甲3197号)は、「その後当該代表取締役が死亡した場合には、取締役としては任期満了の日を、代表取締役としては死亡の日をそれぞれ退任の日とする。」としています。
この場合、取締役の変更登記は「退任」を原因としますが、代表取締役の変更登記は、「死亡」を原因とすることになります。
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03
ア ○
代表取締役は全員日本にいない場合でも代表取締役の変更登記を申請することができます。
また日本人である必要もありません。
イ ○
株式会社の取締役の最低人数は1名です。よって、代表取締役であるBがいれば足りるので取締役C及びDが退任しても、代表取締役Aの退任の変更登記を申請できます。
ウ ×
会計監査人が辞任した場合は、新たに承諾した日ではなく、辞任した日から、つまり令和3年6月28日から2週間以内にしなければなりません。
エ ○
取締役の死亡登記を申請するとき、除籍や死亡届等のみではなく、相続情報一覧図の写しでも死亡を証明する書面として扱われるようになっています。
オ ×
任期満了後も取締役としての権利義務を有する者に選定された代表取締役を「権利義務取締役」といいます。
権利義務取締役が死亡したとき、取締役としては退任を原因として、代表取締役としては権利義務取締役でなくなった原因、つまり死亡を原因として登記申請をします。
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