司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問3
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
国会に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 国会議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国会議員は、当該国会議員の属する議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
イ 国会議員は、それぞれ国政に関する調査を行い、これに関して、記録の提出を要求する権限を有する。
ウ 法律案は先に衆議院に提出しなければならないが、予算は先に参議院に提出することも許される。
エ 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
オ 国会議員が国会での法律案の審議の際に、職務とはかかわりなく不当な目的をもって事実を摘示し個別の国民の名誉又は信用を低下させたとしても、当該国会議員は院外で損害賠償責任を問われることはなく、当該国会議員の質疑について国が損害賠償責任を負うこともない。
ア 国会議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国会議員は、当該国会議員の属する議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
イ 国会議員は、それぞれ国政に関する調査を行い、これに関して、記録の提出を要求する権限を有する。
ウ 法律案は先に衆議院に提出しなければならないが、予算は先に参議院に提出することも許される。
エ 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
オ 国会議員が国会での法律案の審議の際に、職務とはかかわりなく不当な目的をもって事実を摘示し個別の国民の名誉又は信用を低下させたとしても、当該国会議員は院外で損害賠償責任を問われることはなく、当該国会議員の質疑について国が損害賠償責任を負うこともない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
国会に関する問題です。
アは正しいです(憲法50条、不逮捕特権)。
イは誤りです(憲法62条)。国政調査権は国会議員ではなく、両議院の権限です。やや細かい知識です。
ウは誤りです。逆です。法律案については衆参どちらに先に提出しなければならないという規定はありませんが、予算は先に衆議院に提出しなければなりません(憲法60条1項)。
エは正しいです(憲法64条1項)。
オは誤りです。国会議員には免責特権があります(憲法51条)。本肢のような場合でも国会議員本人は損害賠償責任を負いませんが、国は国家賠償法1条1項に基づき損害賠償責任を負う可能性があるとの判例があります(最判平9.9.9)。
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02
本問のような統治機構に関する問題は,条文を覚えていれば解ける問題が多いです。
本試験直前期に条文を素読みして,本試験で間違えないようにしましょう。
ア・・正しいです。
憲法50条(不逮捕特権)の条文の記載のままです。
国会議員は,会期中は,①院外における現行犯,②その議院の許諾があるとき(この①②が法律の定める場合に該当。国会法33条)を除いて逮捕されません。
さらに,国会議員には,①不逮捕特権だけでなく,②免責特権(憲法51条),③歳費受領権(憲法49条)の特権があることをおさえておきましょう。
また,派生論点として,裁判官には,不逮捕特権や免責特権がないこともあわせておさえておきましょう。
ウ・・誤りです。
予算は,先に衆議院に提出しなければならない(60条1項,先議権)ですが,法律案はそのような制限はありません(憲法59条参照)。
ですから,本肢を正しく言い換えると,「予算は先に衆議院に提出しなければならないが、法律案は先に参議院に提出することも許される。」となり,「予算」と「法律案」を入れ替えると正しい選択肢になります。
ア・・正しいです。
憲法50条(不逮捕特権)の条文の記載のままです。
国会議員は,会期中は,①院外における現行犯,②その議院の許諾があるとき(この①②が法律の定める場合に該当。国会法33条)を除いて逮捕されません。
さらに,国会議員には,①不逮捕特権だけでなく,②免責特権(憲法51条),③歳費受領権(憲法49条)の特権があることをおさえておきましょう。
また,派生論点として,裁判官には,不逮捕特権や免責特権がないこともあわせておさえておきましょう。
エ・・正しいです。
憲法64条1項の条文のままです。
弾劾裁判所は,通常の裁判所が設けるのではなく,国会が設けるものであることに注意しましょう。
イ・・誤りです。
選択肢の「国会議員は」を「両議院は」に替えると,憲法62条のとおりとなります。
憲法62条は,国政調査権について規定した条文です。
国政調査権とは,国会ないし議院の有する諸権能を実効的に行使するための補助的な権能ですので,個々の議員が有するものではなく,衆議院や参議院という各議院が有するものです。
一度,条文を確認しておきましょう。
エ・・正しいです。
憲法64条1項の条文のままです。
弾劾裁判所は,通常の裁判所が設けるのではなく,国会が設けるものであることに注意しましょう。
イ・・誤りです。
選択肢の「国会議員は」を「両議院は」に替えると,憲法62条のとおりとなります。
憲法62条は,国政調査権について規定した条文です。
国政調査権とは,国会ないし議院の有する諸権能を実効的に行使するための補助的な権能ですので,個々の議員が有するものではなく,衆議院や参議院という各議院が有するものです。
一度,条文を確認しておきましょう。
オ・・誤りです。
この選択肢については,条文ではなく,免責特権の効果についての判例の知識が問われています。
最判平成9年9月9日の国会議員が議員で行なった発言についての判例です。
衆議院議員が,衆議院社会労働委員会において,委員として質疑を行なう際,ある精神科病院を実名で例に挙げながら,医療モラルの低下等について厳しい表現で取り上げたところ,翌日院長が自殺したため,その妻が前記議員及び国に対して損害賠償を請求した事件です。
この判例では,「国が賠償責任を負うことはあっても,公務員である議員個人は,賠償責任を負わない」という見解を示しています。
したがって,選択肢の「国が損害賠償責任を負うこともない。」という部分が誤りです。
ウ・・誤りです。
予算は,先に衆議院に提出しなければならない(60条1項,先議権)ですが,法律案はそのような制限はありません(憲法59条参照)。
ですから,本肢を正しく言い換えると,「予算は先に衆議院に提出しなければならないが、法律案は先に参議院に提出することも許される。」となり,「予算」と「法律案」を入れ替えると正しい選択肢になります。
オ・・誤りです。
この選択肢については,条文ではなく,免責特権の効果についての判例の知識が問われています。
最判平成9年9月9日の国会議員が議員で行なった発言についての判例です。
衆議院議員が,衆議院社会労働委員会において,委員として質疑を行なう際,ある精神科病院を実名で例に挙げながら,医療モラルの低下等について厳しい表現で取り上げたところ,翌日院長が自殺したため,その妻が前記議員及び国に対して損害賠償を請求した事件です。
この判例では,「国が賠償責任を負うことはあっても,公務員である議員個人は,賠償責任を負わない」という見解を示しています。
したがって,選択肢の「国が損害賠償責任を負うこともない。」という部分が誤りです。
以上から,アとエが正しいといえます。
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03
国会に関する問題です。
アは正しいです。
国会議員には不逮捕特権があります。(50条)
イは誤りです。
国政調査権は国会議員でなく両議院に権限があります。(62条)
ウは誤りです。
予算については衆議院に先に提出しなければなりません(60条1項)
エは正しいです。
弾劾裁判所は国会が設置します(64条1項)
オは誤りです。
国会議員は免責特権があるため損害賠償責任は負いませんが、国は国家賠償法に基づき損害賠償責任を負うことがあります(最判平9.9.9)
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