司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問4
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
未成年者に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 未成年者は、法定代理人の同意を得なくても、債務の免除を受けることができる。
イ 未成年者が委任による代理人としてした法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。
ウ 未成年者が法定代理人の同意を得ないで法律行為をした場合には、当該未成年者は、法定代理人の同意がなければ行為能力の制限を理由として当該法律行為を取り消すことができない。
エ 未成年者が特定の営業について法定代理人の許可を受けた場合には、その営業に関する法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができない。
オ 未成年者を一方当事者とする売買契約が行為能力の制限を理由として取り消されて無効となった場合には、当該売買契約に基づく債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う。
ア 未成年者は、法定代理人の同意を得なくても、債務の免除を受けることができる。
イ 未成年者が委任による代理人としてした法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。
ウ 未成年者が法定代理人の同意を得ないで法律行為をした場合には、当該未成年者は、法定代理人の同意がなければ行為能力の制限を理由として当該法律行為を取り消すことができない。
エ 未成年者が特定の営業について法定代理人の許可を受けた場合には、その営業に関する法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができない。
オ 未成年者を一方当事者とする売買契約が行為能力の制限を理由として取り消されて無効となった場合には、当該売買契約に基づく債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う。
- アウ
- アエ
- イウ
- イオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
未成年者の取消及び効果についての知識を問われています。
未成年者を含む制限行為能力者(未成年者のほか,成年被後見人,被保佐人,被補助人)の取消に伴う法律関係については,それぞれの制限行為能力者の項目だけでなく,民法120条以下の取消の項目(特に返還すべき範囲についての121条の2第3項)についてもテキストや条文で確認しておきましょう。
ア・・正しいです。
民法5条1項ただし書のとおりです。
5条1項本文では,未成年者が法律行為をするには,法定代理人の同意が必要と規定しています。
しかし,未成年者が権利を得るだけ(本問の債務の免除のほか,未成年者を受贈者とする負担付ではない贈与契約をすること等も含まれます)であれば,未成年者を含む制限行為能力者の保護という観点にも資するので,法定代理人の同意が例外的に不要となります。
イ・・誤りです。
民法102条本文では,「制限行為能力者が代理人としてした行為は,行為能力の制限によって取り消すことができない。」としていますので,本肢は,誤りです。
ウ・・誤りです。
民法120条1項では,行為能力の制限によって取り消すことができる者について,制限行為能力者本人だけでなく,代理人,承継人若しくは同意をすることができる者をあげています。
したがって,未成年者は,法定代理人の同意がなくても,単独で取り消すことができます。
エ・・正しいです。
未成年者は,一種又は数種の営業を許された未成年者は,その営業に関しては,成年者と同一の行為能力を有する(民法6条1項)ので,法定代理人の許可があった範囲については,成年者と同じです。
ですから,未成年者は,法定代理人から営業を許された行為については,取り消すことでができません。
オ・・誤りです。
取り消された行為は,初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。
そして,民法121条の2第1項では,「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は,相手方を現状に復させる義務を負う。」としています。
給付を受けた者は,相手方である未成年者に対し,原状回復義務を負いますが,その際,回復の範囲に限定はありません。
本肢の「債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う。」という部分は,「現に利益を受けている限度において」という箇所を削除すれば正しくなります。
おそらく,本肢は,「行為の時に制限行為能力者であった者は,現に利益を受けている限度で,返還の義務を負う(民法121条の2第3項後段)」という知識との混同を狙ったものと思われます。
前記の121条の2第3項は,未成年者等の制限行為能力者の保護を図るための規定と考えれば,本肢は誤りと判断がつきやすくなると思います。
上記から,アとエが正しいといえます。
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02
未成年者に関する問題です。
アは正しいです。「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」(民法5条1項)。債務の免除を受けることは「義務を免れる法律行為」なので、法定代理人の同意を得ることなく行うことができます。
イは誤りです。「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」(102条)。
ウは誤りです。未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為は、取り消すことができます(5条2項)。そして、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者・・・又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。」(120条)とも規定されています。
エは正しいです。「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」(6条1項)。
オは誤りです。意思無能力者と制限行為能力者は「その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」(121条の2第3項)と規定され原状回復義務が緩和されていますが、その相手方についてはそのような規定はなく、通常の原状回復義務(121条の2第1項)を負います。
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03
未成年者に関する問題です。
アは正しいです。
債務者がなくなるということは未成年者にとって利益でしかないからです。(5条1項)
なお、免除は一部についてでも可能です。
イは誤りです。
未成年者をを代理人にした人が悪いので取り消すことはできません(102条)
ウは誤りです。
未成年者でも行為能力の制限を理由として取り消しをすることができます。(5条2項)
エは正しいです。
特定の営業についていちいち法定代理人の同意を得るのは面倒なので、特定の営業に関する法律行為については未成年者が自由にすることができ、行為能力の制限もありません。(5条1項)
オは誤りです。
初めから無効のため、原状回復義務が生ます。(121条2項)
制限行為能力者は現存利益だけですが、相手方についてはそういった緩和する義務はありません。
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