司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問16
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
多数当事者の債権及び債務に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 各連帯債権者は、全ての債権者のために全部の履行を請求することができる。
イ 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされる。
ウ 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
エ 当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担する場合において、連帯債務者の一人が弁済をしたときは、その連帯債務者は、その弁済額が自己の負担部分を超えていなければ、他の連帯債務者に対して求償することはできない。
オ 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされた後、他の連帯債務者が債務の全額を弁済したときは、債務の免除を受けた連帯債務者は、債務の免除を受けたことを理由に、求償を拒むことはできない。
ア 各連帯債権者は、全ての債権者のために全部の履行を請求することができる。
イ 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされる。
ウ 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
エ 当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担する場合において、連帯債務者の一人が弁済をしたときは、その連帯債務者は、その弁済額が自己の負担部分を超えていなければ、他の連帯債務者に対して求償することはできない。
オ 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされた後、他の連帯債務者が債務の全額を弁済したときは、債務の免除を受けた連帯債務者は、債務の免除を受けたことを理由に、求償を拒むことはできない。
- アエ
- アオ
- イウ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (3件)
01
連帯債権、不可分債権、連帯債務、不可分債務などの多数当事者の債権及び債務に関する問題については、条文知識が重要になります。
それぞれの相違点を意識しながら確実に押さえましょう。
アは正しいです。「債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。」(432条)と定められています。
イは正しいです。「連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす。」(435条)と定められています。この場合、他の連帯債権者は自らの持分に相当する額の分与を求めることができます。
ウは誤りです。反対債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます(439条2項)が、相殺を援用することはできません。
エは誤りです。「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。」(442条)と定められています。
オは正しいです。「連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し・・・求償権を行使することができる。」(445条)と定められています。
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02
連帯債務と連帯債権では,絶対効が生じる範囲が異なります。連帯債権では,弁済,更改,免除,相殺,混同,(履行の)請求に絶対効が生じますが,連帯債務では,免除と(履行の)請求については,絶対効が生じません。
選択肢を読んだ際に連帯債務と連帯債権のいずれについて問われているのかを区別して回答しましょう。
ア・・正しいです。
冒頭に記載したとおり,連帯債権では,履行の請求に絶対効が生じます(民法432条)。
エ・・誤りです。
連帯債務者の1人が弁済し,その他自己の弁済(代物弁済,供託,更改,相殺,混同など)をもって,総債権者のために共同の免責を得たときは,その連帯債務者は,その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず,他の連帯債務者に対し,求償権を有します(民法442条1項)。
ア・・正しいです。
冒頭に記載したとおり,連帯債権では,履行の請求に絶対効が生じます(民法432条)。
オ・・正しいです。
民法445条は,「連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ,・・・他の連帯債務者は,その一人の連帯債務者に対し,第442条第1項の求償権を行使することができる。」旨規定しています。
つまり,連帯債務者の一人につき免除があっても,内部の求償関係には影響がないということです。
債務の免除を受けたことを理由に求償を拒むことはできません。
イ・・正しいです。
民法435条のとおりです。
混同は,連帯債権,連帯債務のいずれにおいても,絶対効が生じます。
ウ・・誤りです。
民法439条2項は,「・・・その連帯債務者の負担部分の限度において,他の連帯債務者は,債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」旨規定しています。
「その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。」わけではありません。
イ・・正しいです。
民法435条のとおりです。
混同は,連帯債権,連帯債務のいずれにおいても,絶対効が生じます。
オ・・正しいです。
民法445条は,「連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ,・・・他の連帯債務者は,その一人の連帯債務者に対し,第442条第1項の求償権を行使することができる。」旨規定しています。
つまり,連帯債務者の一人につき免除があっても,内部の求償関係には影響がないということです。
債務の免除を受けたことを理由に求償を拒むことはできません。
ウ・・誤りです。
民法439条2項は,「・・・その連帯債務者の負担部分の限度において,他の連帯債務者は,債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」旨規定しています。
「その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。」わけではありません。
エ・・誤りです。
連帯債務者の1人が弁済し,その他自己の弁済(代物弁済,供託,更改,相殺,混同など)をもって,総債権者のために共同の免責を得たときは,その連帯債務者は,その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず,他の連帯債務者に対し,求償権を有します(民法442条1項)。
以上から,誤りは,ウとエになります。
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03
多数当事者の債権及び債務に関する問題です。
アは正しいです。
連帯債権者はそれぞれ1人ですべての債権者のために全部の履行を請求することができます。
イは正しいです。
連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなします。(435条)
ウは誤りです。
反対債権を有しない連帯債務者は反対債権を有する連帯債務者の負担部分の限度で債務の履行を拒むことができるだけです。(439条2項)反対債権を有しない債務者が総裁をするのは他人の財産権への過度な干渉にあたるからです。
エは誤りです。
連帯債務者は負担部分の割合に応じて他の債権者に求償することができます。(442条)
オは正しいです。
免除は相対的効力事由になります。負担部分については連帯債務者との内部的なことになるため1人の債務が免除されたからといって求償ができなくなることはないです。
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