司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問17
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問17 (訂正依頼・報告はこちら)
第三者のためにする契約に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア AとBが、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合には、その契約の成立時にCが現に存在しないとしても、そのことを理由にその効力は妨げられない。
イ AとBが、Aを諾約者とし、Bを要約者として、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合には、Aが錯誤を理由にその意思表示の取消しをしたとしても、Cは自らが当該錯誤について善意かつ無過失であることを主張して、その契約に基づく履行を求めることができる。
ウ AとBが、Bの所有する建物の所有権をCに移転する旨のCを受益者とする第三者のためにする契約を締結したときは、当該建物の所有権は、Cの受益の意思表示をした時期にかかわらず、その契約の成立時に、Cに移転する。
エ AとBが、Aを諾約者とし、Bを要約者として、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合において、Cが受益の意思表示をした後に、AがCに対する履行をしないときは、BはCの承諾を得ることなく、契約を解除することができる。
オ AとBが、Bの所有する動産をAに譲渡し、Aがその代金をCに支払う旨の第三者のためにする契約を締結した場合には、AはBが当該動産を引き渡すまで、Cに対する代金の支払を拒絶することができる。
ア AとBが、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合には、その契約の成立時にCが現に存在しないとしても、そのことを理由にその効力は妨げられない。
イ AとBが、Aを諾約者とし、Bを要約者として、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合には、Aが錯誤を理由にその意思表示の取消しをしたとしても、Cは自らが当該錯誤について善意かつ無過失であることを主張して、その契約に基づく履行を求めることができる。
ウ AとBが、Bの所有する建物の所有権をCに移転する旨のCを受益者とする第三者のためにする契約を締結したときは、当該建物の所有権は、Cの受益の意思表示をした時期にかかわらず、その契約の成立時に、Cに移転する。
エ AとBが、Aを諾約者とし、Bを要約者として、Cを受益者とする第三者のためにする契約を締結した場合において、Cが受益の意思表示をした後に、AがCに対する履行をしないときは、BはCの承諾を得ることなく、契約を解除することができる。
オ AとBが、Bの所有する動産をAに譲渡し、Aがその代金をCに支払う旨の第三者のためにする契約を締結した場合には、AはBが当該動産を引き渡すまで、Cに対する代金の支払を拒絶することができる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
第三者のためにする契約に関する問題です。
民法537条1項は「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。」と定めており、これを第三者のためにする契約といいます。利益を受ける第三者のことを受益者、受益者に対して給付をする人を諾約者、諾約者の契約の相手方を要約者といいます。
アは正しいです。第三者のためにする契約は、「その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。」(民法537条2項)と定められています。
イは誤りです。債務者は、第三者のためにする契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。(539条)と定められています。
ウは誤りです。第三者のためにする契約においては、「第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。」(民法537条3項)と定められています。
エは誤りです。「第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」(538条2項)と定められています。
オは正しいです。債務者は、第三者のためにする契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。(539条)と定められています。本肢でいえば、代金支払いの債務者Aは、Bに対する同時履行の抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者Cに対抗することができることになります。
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02
第三者のためにする契約の要件及び効果についての問題です。
それほど分量が多いわけではありませんが,把握していないと出題されたときに間違えやすいので,隙間時間などに各自がお持ちのテキストで該当箇所を復習しておきましょう。
ア・・正しいです。
第三者は,契約成立時に現存していなくても,また特定されていなくても,その契約は有効です(民法537条2項)。
例えば,胎児や設立中の会社が受益者(第三者)となる場合などがあげられます。
ウ・・誤りです。
民法537条3項によれば,受益の意思表示をしたときに契約が成立します。
「契約の成立時」に契約が成立するわけではありません。
ア・・正しいです。
第三者は,契約成立時に現存していなくても,また特定されていなくても,その契約は有効です(民法537条2項)。
例えば,胎児や設立中の会社が受益者(第三者)となる場合などがあげられます。
オ・・正しいです。
諾約者は,要約者との間の契約に基づく抗弁をもって,第三者に対抗できます(民法539条)。
債権者を要約者,債務者を諾約者,第三者を受益者といいます。
つまり,債務者が債権者との間の契約に基づく抗弁を持って第三者に対抗できるということです。
例として,同時履行の抗弁権(民法533条),契約の無効・取消し,契約の解除があります。
本肢においても,債務者Bが動産を引き渡すまで,AがCに対する代金支払を拒絶する同時履行の抗弁権を主張できますので,正解です。
イ・・誤りです。
受益者は,保護されるべき第三者に当たらないので(民法95条4項),本肢は誤りです。
要約者は,契約に無効原因又は取消原因があるとき,無効又は取消を主張できます。
ウ・・誤りです。
民法537条3項によれば,受益の意思表示をしたときに契約が成立します。
「契約の成立時」に契約が成立するわけではありません。
イ・・誤りです。
受益者は,保護されるべき第三者に当たらないので(民法95条4項),本肢は誤りです。
要約者は,契約に無効原因又は取消原因があるとき,無効又は取消を主張できます。
エ・・誤りです。
第三者の権利が発生した後に,諾約者がその第三者に対する債務を履行しない場合には,要約者は,その第三者の承諾を得なければ,契約を解除できません(民法538条2項)。
したがって,本肢においても,AがCに対する履行をしないときは、BはCの承諾を得なければ契約を解除できません。
エ・・誤りです。
第三者の権利が発生した後に,諾約者がその第三者に対する債務を履行しない場合には,要約者は,その第三者の承諾を得なければ,契約を解除できません(民法538条2項)。
したがって,本肢においても,AがCに対する履行をしないときは、BはCの承諾を得なければ契約を解除できません。
オ・・正しいです。
諾約者は,要約者との間の契約に基づく抗弁をもって,第三者に対抗できます(民法539条)。
債権者を要約者,債務者を諾約者,第三者を受益者といいます。
つまり,債務者が債権者との間の契約に基づく抗弁を持って第三者に対抗できるということです。
例として,同時履行の抗弁権(民法533条),契約の無効・取消し,契約の解除があります。
本肢においても,債務者Bが動産を引き渡すまで,AがCに対する代金支払を拒絶する同時履行の抗弁権を主張できますので,正解です。
以上から,アとオが正しいといえます。
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03
第三者のためにする契約についての問題です。
アは正しいです。
第三者のためにする契約は契約時に現存していなくても第三者を特定していなくてもすることができます。契約者は要約者と諾約者だからです。
イは誤りです。
無効原因や取り消し原因があるときにその主張をすることができるのは要約者であって受益者はすることはできません。
ウは誤りです。
受益者が受益の意思表示をしたときに所有権は移転します。
エは誤りです。
この場合Cの承諾を得ないと契約を解除することはできません。
オは正しいです。
諾約者は要約者に主張できたことをすべて受益者に主張することができます。
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