司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問18
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
使用貸借に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 契約の本旨に反する借主の使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
イ 借主が目的物の通常の必要費を支出したときは、貸主にその償還を請求することができる。
ウ 借主が目的物の改良のための費用を支出したときは、それによる目的物の価格の増加が現存していなくても、貸主は、その支出した金額の償還をしなければならない。
エ 借主が死亡したときは、使用貸借は終了する。
オ 期間及び使用収益の目的の定めのない使用貸借は、貸主がいつでも解除することができる。
ア 契約の本旨に反する借主の使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
イ 借主が目的物の通常の必要費を支出したときは、貸主にその償還を請求することができる。
ウ 借主が目的物の改良のための費用を支出したときは、それによる目的物の価格の増加が現存していなくても、貸主は、その支出した金額の償還をしなければならない。
エ 借主が死亡したときは、使用貸借は終了する。
オ 期間及び使用収益の目的の定めのない使用貸借は、貸主がいつでも解除することができる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
使用貸借は,友達から本や自動車を無償で借りるような場合です。
使用貸借については,消費貸借を比較しながら覚えると効率的です。
消費貸借は,古い例でいいますと,味噌をただで借りて,使った分を返すという事例を想定するとわかりやすいです。もっとも,近年は,消費貸借といえば金銭消費貸借がほとんどですが。
しかし,民法の消費貸借は,前述の古い例を想定しています。
使用貸借も消費貸借もいずれも条文が細かいので,確認しておきましょう。
ア・・正しいです。
民法600条に「・・借主が支出した費用の償還は,貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。」旨規定されていますので,正しいです。
ウ・・誤りです。
民法583条2項は,「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは,売主は,第196条の規定に従い,その償還をしなければならない。」と規定しています。
そして,使用貸借は,民法595条2項において,前述の583条2項を準用しています。
そして,前述の民法196条の第2項において,「・・その他の有益費については,その価格の増加が現存する場合に限り,回復者の選択に従い,その支出した金額又は増価額を償還させることができる。」旨規定しています。
ア・・正しいです。
民法600条に「・・借主が支出した費用の償還は,貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。」旨規定されていますので,正しいです。
オ・・正しいです。
この肢は,間違えやすいと思いますので,注意しましょう。
目的と期限の定めの有無によって,終了時が異なります。
<貸主側>
①使用収益の目的の定めあり→貸主は,使用収益を終了したときに終了(民法597条2項)。
②期限を定めなかったが,使用収益の目的を定めた場合→借主が使用収益をするのに足りる期間を経過したときは,貸主は,契約の解除をすることができる(民法598条1項)。
③使用収益の期限も目的も定めなし→貸主は,いつでも契約を解除可能(民法598条2項)。
本肢は,③に該当しますので,正解の肢です。
なお,借主については,以下のとおりです。
<借主側>
借主は,期間や使用収益の目的の定めの有無を問わず,いつでも契約を解除することができる(民法598条3項)。
イ・・誤りです。
民法595条1項は,「借主は,借用物の通常の必要費を負担する。」と規定していますので,貸主に対して費用償還請求はできません。
ウ・・誤りです。
民法583条2項は,「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは,売主は,第196条の規定に従い,その償還をしなければならない。」と規定しています。
そして,使用貸借は,民法595条2項において,前述の583条2項を準用しています。
そして,前述の民法196条の第2項において,「・・その他の有益費については,その価格の増加が現存する場合に限り,回復者の選択に従い,その支出した金額又は増価額を償還させることができる。」旨規定しています。
イ・・誤りです。
民法595条1項は,「借主は,借用物の通常の必要費を負担する。」と規定していますので,貸主に対して費用償還請求はできません。
エ・・正しいです。
民法597条3項に規定があります。
なお,貸主の死亡によっては,当然には終了せず,借主は,引き続き使用収益できます。
エ・・正しいです。
民法597条3項に規定があります。
なお,貸主の死亡によっては,当然には終了せず,借主は,引き続き使用収益できます。
オ・・正しいです。
この肢は,間違えやすいと思いますので,注意しましょう。
目的と期限の定めの有無によって,終了時が異なります。
<貸主側>
①使用収益の目的の定めあり→貸主は,使用収益を終了したときに終了(民法597条2項)。
②期限を定めなかったが,使用収益の目的を定めた場合→借主が使用収益をするのに足りる期間を経過したときは,貸主は,契約の解除をすることができる(民法598条1項)。
③使用収益の期限も目的も定めなし→貸主は,いつでも契約を解除可能(民法598条2項)。
本肢は,③に該当しますので,正解の肢です。
なお,借主については,以下のとおりです。
<借主側>
借主は,期間や使用収益の目的の定めの有無を問わず,いつでも契約を解除することができる(民法598条3項)。
以上から,誤りは,イとウになります。
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02
使用貸借に関する問題です。
アは正しいです(600条2項)。「貸主が返還を受けた時から」という起算点に注意しましょう。
イは誤りです。「借主は、借用物の通常の必要費を負担する。」(595条)と定められています。使用貸借は「無償」(593条)なので、通常の必要費を貸主に負担させるのは酷です。
ウは誤りです。使用貸借における借用物の費用負担を定める595条2項が583条2項を準用しています。すなわち、買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、196条の規定(占有者による費用の償還請求)に従い、その償還をしなければならなりません(583条2項)。そして、196条が「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。」(196条2項)と定めています。
エは正しいです(597条3項)。相続はされないということです。
オは正しいです(598条2項)。なお、当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができます(598条1項)。
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03
使用貸借に関する問題です。
アは正しいです。
損害賠償請求は貸主が返還を受けたときから1年間は時効が完成しません。(600条1項)
イは誤りです。
借主は、借用物の通常の必要費を負担することになります。
ウは誤りです。
目的物の改良のための費用を支出したときは、それによる目的物の価格の増加が現存しているときは、貸主は、その支出した金額の償還をさせることができます。
エは正しいです。
借主が死亡したときは終了します。貸主の死亡によっては終了しません。
オは正しいです。
使用貸借の期間を定めず、使用目的も定めなかった場合は貸主はいつでも解除することができます。
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