司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問29
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
株式の担保化に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとする。
ア 株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなくても、当事者間の合意によりその効力を生ずる。
イ 株式の質権者であって、株主名簿に質権に関する所定の事項が記載又は記録されていないものは、剰余金の配当によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等に物上代位することができない。
ウ 株式の質権者は、株式会社に対し、質権に関する所定の事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができる。
エ 株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
オ 商行為によって生じた債権を担保するために行われた株式の質入れについては、その質権の設定行為において、質権者に弁済としてその株式を取得させることを約することができる。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとする。
ア 株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなくても、当事者間の合意によりその効力を生ずる。
イ 株式の質権者であって、株主名簿に質権に関する所定の事項が記載又は記録されていないものは、剰余金の配当によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等に物上代位することができない。
ウ 株式の質権者は、株式会社に対し、質権に関する所定の事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができる。
エ 株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
オ 商行為によって生じた債権を担保するために行われた株式の質入れについては、その質権の設定行為において、質権者に弁済としてその株式を取得させることを約することができる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
株式の質入れなどに関する問題です。平成28年にも出題されています。各自が使用されているテキストに目を通しつつ、本問で問われている条文には目を通しておきましょう。
ア・・誤りです。
会社法146条2項において「株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」と規定していますので、株式の質入れは、当事者間の合意のみでは成立せず、株券の交付が必要です。
イ・・誤りです。
会社法151条1項8号において、株式を目的とする質権は、剰余金の配当に対しても存在する旨規定しています。したがって、株式の質権者は、剰余金の配当によって株主が受けることのできる金銭等に物上代位できます。
ウ・・誤りです。
選択肢の「質権者」が誤りです。「質権者」を「質権設定者」に変えれば正解となります。
つまり、ひっかけ問題です。
会社法148条において「株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求できる。以下(略)」旨規定しています。
質権設定者とは株主のことです。したがって、設定者である株主が株式会社に対し、株主名簿の記載等を請求できると考えれば理解しやすくなるかと思われます。
エ・・正しいです。
質権を第三者に対抗するためには、継続占有が要件となっています(会社法147条2項)。
オ・・正しいです。
民法349条では、質権設定者が弁済期前に質権者に対して質物を処分することを禁止しています。しかし、商法515条において、民法349条の適用を排除していますので、本肢については可能となります。
以上から、エとオが正しい記述になります。
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02
株式の担保化に関する問題です。
アは誤りです。株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じません(146条2項)。
イは誤りです。株式会社が151条1項各号に掲げる行為(剰余金の配当を含む)をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭その他の財産をいう。)について存在するとされています(151条1項)。
ウは誤りです。「株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。」と定められています。質権者は含まれていません。
エは正しいです。「株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。」(147条1項)、「前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社その他の第三者に対抗することができない。」(同条2項)とされています。
オは正しいです。民法第349条の規定(流質契約の禁止)は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない(商法515条)と定められています。つまり、認められるということです。
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03
株式の担保化に関する問題です。
アは誤りです。
株券発行会社の株式の質入れの効力発生要件は意思表示の合致と株券の交付です。(146条2項)
イは誤りです。
株式質が設定されると剰余金の配当などによって受ける金銭等に質権の効力が及びます。よって物上代位することができます。(151条1項)
ウは誤りです。
質権設定者は株式会社に対し、質権に関する所定の事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができます。株式の質権者ではありません。
エは正しいです。
株券発行会社の第三者対抗要件は質権者が株式を継続して占有することです。(147条1項2項)
オは正しいです。
流質契約は民法で認められていませんが、商行為によって生じた債権に関しては流質契約を設定時にしても問題ありません。(商法515条)
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