選択肢4. ウオ
ア・・正しいです。
会社法331条2項において、「株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。」と規定しており、公開会社でない株式会社において、取締役が株主でなければならない旨を定款に定めることができます。
イ・・正しいです。
会社法331条6項において、「監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、三人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない。」旨規定しています。したがって、監査等委員会に監査等委員である取締役が5名いる場合は、過半数である3名以上が社外取締役でなければなりません。本肢は、正しい肢となります。
ウ・・誤りです。
会社法331条1項において、取締役の欠格事由に成年被後見人や被保佐人を掲げていませんので、いずれも取締役に就任できます。ただし、成年被後見人が就任する場合、成年後見人が成年被後見人の同意を得た上、就任を承諾し(会社法331条の2第1項)、被保佐人が就任する場合、保佐人の同意を得る必要(会社法331条の2第2項)があります。
<参考>
※被保佐人に代理権付与の審判がある場合、就任承諾は保佐人、同意は被保佐人
被保佐人に代理権付与の審判がない場合、就任承諾は被保佐人、同意は保佐人
エ・・正しいです。
会社法332条7項2号において、監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更により、取締役の任期が終了する旨規定しています。
オ・・誤りです。
最判平成4年12月18日は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議によ って取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、 当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではないと解す るのが相当である。」旨判示しています。
したがって、当該取締役が報酬請求権を失うわけではありません。
本件は、取締役である上告人が常勤の取締役から非常勤の取締役に変更されたことを前提にして株主総会で無報酬と決議されたが、これに同意していなかったという事案です。
仮に、この判例を知らなくてオが正解か不正解かを判断できなくても、アとイが正しいと判断できた時点で、ウオかエオの2択となります。
オは誤りの肢で共通していますから、ウが誤りと判断できれば正解にたどり着けます。