司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問6
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 保全命令の申立てにおいては、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性のほか、管轄や当事者能力についても疎明することで足りる。
イ 占有移転禁止の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。
ウ 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
エ 仮差押えの執行は、仮差押命令が債務者に送達される前であっても、することができる。
オ 裁判所が保全命令を発した後、債権者が本案の訴えを提起しないときは、保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、2週間以上の相当と認める一定の期間を定めた上で、その期間内に本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
ア 保全命令の申立てにおいては、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性のほか、管轄や当事者能力についても疎明することで足りる。
イ 占有移転禁止の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。
ウ 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
エ 仮差押えの執行は、仮差押命令が債務者に送達される前であっても、することができる。
オ 裁判所が保全命令を発した後、債権者が本案の訴えを提起しないときは、保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、2週間以上の相当と認める一定の期間を定めた上で、その期間内に本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
- アイ
- アエ
- イウ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
民事保全全般に関する知識について問われています。
ア・・誤りです。
民事保全法13条2項において「保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は,疎明しなければならない。」と規定しているので,疎明の対象は,「保全すべき権利又は権利関係」及び「保全の必要性」に限定されます。
管轄や当事者能力については,疎明の対象ではありません。
イ・・誤りです。
占有移転禁止の仮処分については,口頭弁論を経ないですることができ(民事保全法3条),口頭弁論をしないときは,当事者を尋問できます(民事保全法7条,民事訴訟法87条2項)。
民事保全法においては,基本的に,口頭弁論は任意的です。
例外的に,仮の地位を定める仮処分命令については,口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ,これを発することができない(民事保全法23条4項本文)としています。
ウ・・正しいです。
民事保全法22条1項において「仮差押命令においては,仮差押えの執行の停止を得るため,又は既にした仮差押えの取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。」旨規定しています(必要的設定)。
なお,これに対し,仮処分解放金(民事保全法25条1項)については,債務者が供託すべき金銭の額については,「定めることができる。」としており,裁量的設定になっています。
つまり,仮差押命令においては,仮差押解放金を定めなければなりませんが,仮処分解放金については,仮処分解放金を定めるかどうかは自由ということです。
エ・・正しいです。
民事保全における迅速性・緊急性という観点から,債務者に送達する前でも保全執行をすることができます(民事保全法43条3項)。
オ・・正しいです。
民事保全法37条1項において「保全命令を発した裁判所は,債務者の申立てにより,債権者に対し,相当と認める一定の期間内に,本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出し,既に本案の訴えを提起しているときはその係属を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。」旨規定しています。
同条2項において,1項の「相当と認める一定の期間内」を「2週間以上」としています。
一見難しそうに見える条文ですが,平成15年6問目,平成23年6問目でも出題されていますので,条文を確認しましょう。
これらの条文の趣旨は,債務者の申立てにより裁判所が保全命令を発したのだから,公平の観点から債権者にも起訴命令の負担を課すことによって,起訴がなされた場合には,被保全権利の存否を確定するということにあります。
もし,債権者が起訴命令により書面を一定の期間内に提出しなかった場合には,裁判所は,債務者の申立てにより,保全命令を取り消さなければなりません(民事保全法37条3項)。
以上から,誤りは,アとイになります。
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02
民事保全に関する問題です。
アは誤りです。保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を疎明してしなければなまりません(13条1項、2項)。管轄や当事者能力は含まれません。
イは誤りです。原則として、民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができます(3条)。仮の地位を定める仮処分命令(13条2項)には、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときを除いて、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができません(13条4項)。係争物に関する仮処分命令(13条1項)については同様の規定はありません。
ウは正しいです(22条1項)。その金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければなりません(同条2項)。
エは正しいです(43条3項)。なお、保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から2週間を経過したときは、してはならなりません(同条2項)。迅速性重視です。
オは正しいです(37条1項、2項)。なお、期間内に同項の書面を提出しなかったときは、裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消さなければならりません(同条3項)。
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03
民事保全全般に関する問題です。
アは誤りです。
保全命令の申立てにおいては、申立の趣旨、保全すべき権利又は権利関係、保全の必要性は疎明で足りるが管轄や当事者能力に関しては含まれていません(13条2項)
イは誤りです。
民事保全の手続きは口頭弁論をしなくてもすることができます。(3条)ですが、民事保全の手続きに関しては民事訴訟法の規定を採用しているので、口頭弁論をしない時は当事者を尋問することができます。(7条)この場合の審尋は密行性の観点から債権者のみを審尋することが多いです。
ウは正しいです。
仮差押解放金については定めなければならないと規定されています。(22条1項)
エは正しいです。
密行性の観点から仮差押えの執行は債務者に知らされないまま行うこともできます(43条3項)
オは正しいです。
債権者に対し相当と認める一定の期間内(2週間以上)に本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出することを命じなければなりません(37条1項、2項)この命令に応じない場合は債務者は取り消しを申し立てることができます。
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