司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問7

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問題

令和4年度 司法書士試験 午後の部 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

執行文に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる。
イ  仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決により、これに表示された当事者に対し、又はその者のために強制執行をするには、執行文の付与を受けることを要しない。
ウ  執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
エ  土地の所有者Aが、その土地上に建物を所有して土地を占有しているBに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、その全部認容判決が確定した場合において、その事実審の口頭弁論終結後にAがCに対してその土地を譲渡したときは、Cは、承継執行文の付与を受けることにより、その確定判決を債務名義として強制執行を申し立てることができる。
オ  債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあったことを証明したときに限り、付与することができる。
  • アウ
  • アオ
  • イエ
  • イオ
  • ウエ

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この過去問の解説 (3件)

01

執行文の付与,執行文付与等に関する不服申立てについての知識を問う問題です。

選択肢2. アオ

ア・・誤りです。

民事執行法11条1項において「執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては,執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても,同様とする。」と規定し,執行裁判所及び執行官の執行処分に対する執行異議を認めています

執行文の付与の申立てに関する処分は,執行機関としての処分ではないので,執行異議の対象になりません

ですから,本肢は,誤りです。

イ・・正しいです。

民事執行法25条本文において,「強制執行は,執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する」とし,同条ただし書において「少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により,これに表示された当事者に対し,又はその者のためにする強制執行は,その正本に基づいて実施する。」と規定しています。

つまり,本肢のように,仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決により、これに表示された当事者に対し、又はその者のために強制執行をするには、執行文の付与を受けることを要しないということになります。

ウ・・正しいです。

民事執行法26条2項において「執行文の付与は,債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に,その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。」旨規定しており,本肢は正しいです。

エ・・正しいです。

強制執行をすることができる範囲については,民事執行法23条1項で規定されており,本肢のCは,同条1項3号の「前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人」に該当します。

そして,同法27条2項により,当該承継人であるCは,承継執行文の付与を受ける必要があります。

オ・・誤りです。

民事執行法31条1項において「債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合にはおいては,強制執行は,債権者が反対給付又はその提供のあったことを証明したときに限り,開始することができる。」と規定しています。

つまり,債権者が反対給付又はその提供のあったことを証明したことは,執行開始の要件であり,執行文の付与の要件ではありません

この選択肢は,よくひっかけとして出題されますので,「債権者の反対給付等の証明は,執行開始の要件」と覚えておきましょう。

まとめ

以上から,アとオが誤りといえます。

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02

執行文に関する問題です。

選択肢2. アオ

アは誤りです。執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができます(民事執行法32条)。

イは正しいです。強制執行は、原則として、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施しますが、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施します(25条)。

ウは正しいです。執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行います(26条2項)。

エは正しいです。債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができます(27条2項)。執行証書以外の債務名義による強制執行は、債務名義成立後の承継人に対し、又はその者のためにすることができます(23条1項3号)。

オは誤りです。債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができます(31条1項)。執行文の付与はできます。

参考になった数5

03

執行文に関する問題です。

選択肢2. アオ

アは誤りです。

執行官の執行処分及びその遅怠に対することのに関しては執行意義を申し立てることができます。(11条1項)しかし、執行文は裁判所の執行官もしくは公証人が付与するので対象になりません。

イは正しいです。

仮執行宣言付少額訴訟判決は意義があれば通常訴訟に移行するので、確定はしていないですが、仮執行宣言がついいるため執行文は不要です。(25条)

ウは正しいです。

執行文は債務名義に執行力があること及び執行当事者を公証人に証明させるために、債務名義の製本の末尾に付記する公証文言です(26条2項)

エは正しいです。

口頭弁論終結後にに執行債務者に特定承継があった場合は承継執行文を付与する必要があります。(27条2項)

オは誤りです。

引き換え給付付き判決の場合は単純執行文を付与した後に債権者が反対給付をしたことを証明をすることが執行開始の要件になります。(31条1項)執行文付与の要件ではありません。

参考になった数3