司法書士の過去問 令和4年度 午後の部 問14
この過去問の解説 (3件)
申請情報の内容として提供すべきかどうかを問う問題です。
各自が使用されているテキストで書式をそれぞれ確認しておきましょう。
ア・・誤りです。
債権の一部譲渡による抵当権一部移転の場合は,譲渡額を記載します(不動産登記法84条,不動産登記令3条13号,別表57申)。
ただし,本肢で問われているのは,債権の一部を譲り受けた後に更に譲受人が譲り受けた債権全部を譲渡した場合ですから,債権額は明らかです。
したがって,本肢で,BがAから譲り受けた時点で譲渡額が明らかですから,BがCに譲渡した額については,申請情報の内容とする必要はありません。
イ・・正しいです。
外国通貨で債権額が特定されている場合には,本邦における債権額が不明ですから,本邦通貨で表示した担保限度額を明らかにする必要があります(不動産登記法83条1項1号,5号)。
なお,この担保限度額は必ずしも登記申請当時の為替相場による邦貨換算額である必要はなく,当事者の合意によって自由に定めたもので差し支えありません(昭和35年3月31日民事甲712号通達)。
ウ・・誤りです。
申請を受ける登記所に前の登記に係る共同担保目録があるかどうかによって,申請情報が変わります。
まず,申請を受ける登記所に前の登記に係る共同担保目録が既にある場合,共同担保目録の記号及び目録番号を表示します(不動産登記令別表55申ハかっこ書,不動産登記規則168条)。
次に,申請を受ける登記所に前の登記に係る共同担保目録がない場合,先に申請した不動産に関する以下の事項を表示します(不動産登記令3条13号,不動産登記令別表55申ハ)。
①不動産の所在,地番(建物の場合には,家屋番号を表示。不動産登記令6条2項7号に基づき不動産番号を提供した場合を除く。)
②順位事項
本肢は,申請を受けるB登記所に前の登記に係る共同担保目録がない場合ですから,①不動産の所在,地番②順位事項を提供することになりますので,A登記所の共同担保目録の記号及び目録番号については申請情報の内容とする必要はありません。
エ・・正しいです。
相続を登記原因とする抵当権移転登記を申請する場合に,相続人が複数いるときには,登記名義人となる相続人の持分を申請情報の内容とする必要があります(不動産登記令3条9号)。
例えば,抵当権者Aが死亡し,BとCが相続した場合,
「抵当権者(被相続人A) 持分2分の1 B
2分の1 C」
等と表示します。
オ・・誤りです。
抵当権の登記に取扱店の表示をする場合,その取扱店の表示をすればよく,当該支店を取扱店と指定した年月日を申請情報の内容とする必要はありません(昭和36年11月30日民事甲2983号通達)。
以上から,イとエが正しいといえます。
登記の申請と申請情報の内容の組合せの問題です。
アは要しません。84条で債権の一部譲渡による担保権の移転の登記等の登記事項が規定されていますが、本件は一部譲渡されたものをさらに譲渡しています。その場合、要しません。
イは要します(83条1項5号)。同条で先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項が規定されています。
ウは要しません(不動産登記令別表55申ハ)。
エは要します。登記に係る権利の権利者の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分は登記事項です(59条4号)。
オは要しません(昭和36.11.30民事甲2983号通達)。
登記の申請と申請情報の内容の組合せ問題です。
アは誤りです。
債権一部譲渡をさらに譲渡している状態です。この場合は譲渡額が見てわかるので申請情報の内容とする必要はありません。
イは正しいです。
外国通貨を被担保債権とする抵当権設定登記をすることは可能ですが、その際は本邦通貨表示した担保限度額を一緒に登記する必要があります。(83条1項1号)
この額に関しては登記設定時のレートに換算したりする必要はなく、合意によって決められます。
ウは誤りです。
この場合B登記所に前の登記に係る担保目録がない状態のためA登記所の共同担保目録の記号および目録番号は記載する必要がありません。
この場合は先に申請したA登記所の不動産に関する不動産の所在、地番、順位事項を記載する必要があります。(令3条13号,令別表55申ハ)
エは正しいです。
抵当権の登記名義人Aの死亡による相続を登記原因とする相続人B,Cへの抵当権移転登記を行う際は、B,Cの持分も申請しなければなりません。(令3条9号)
登記される際も持分が表示されます。
オは誤りです。
抵当権設定の登記に取扱店を表示する場合は取扱店を記載するだけで足ります。(昭和36.11.30民事甲2983号通達)
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