司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問16
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
不動産登記の添付情報に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 親権者が未成年者を代理して不動産登記の申請をする場合において、当該親権者の代理権限を証する情報として戸籍に記載した事項に関する証明書を提出するときは、当該証明書は、作成後3か月以内のものであることを要しない。
イ 法人が所有権の登記名義人である不動産について、当該法人が登記義務者となってその代表者が所有権の移転の登記の申請書に記名押印し、かつ、当該法人の会社法人等番号を申請情報の内容とした場合において、登記官がその押印に係る印鑑に関する証明書を作成することができるときは、当該申請書には当該印鑑に関する証明書を添付することを要しない。
ウ 書面を提出する方法により不動産登記の申請をした申請人は、申請書に添付した登記識別情報を記載した書面の原本の還付を請求することができる。
エ Aが所有権の登記名義人である甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をした後に、乙土地について抵当権の設定の登記を申請する場合において、登記識別情報を提供するときは、Aが分筆前の甲土地の所有権の登記名義人となった際に通知を受けた登記識別情報を提供しなければならない。
オ 国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記を官庁又は公署が単独で嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
ア 親権者が未成年者を代理して不動産登記の申請をする場合において、当該親権者の代理権限を証する情報として戸籍に記載した事項に関する証明書を提出するときは、当該証明書は、作成後3か月以内のものであることを要しない。
イ 法人が所有権の登記名義人である不動産について、当該法人が登記義務者となってその代表者が所有権の移転の登記の申請書に記名押印し、かつ、当該法人の会社法人等番号を申請情報の内容とした場合において、登記官がその押印に係る印鑑に関する証明書を作成することができるときは、当該申請書には当該印鑑に関する証明書を添付することを要しない。
ウ 書面を提出する方法により不動産登記の申請をした申請人は、申請書に添付した登記識別情報を記載した書面の原本の還付を請求することができる。
エ Aが所有権の登記名義人である甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をした後に、乙土地について抵当権の設定の登記を申請する場合において、登記識別情報を提供するときは、Aが分筆前の甲土地の所有権の登記名義人となった際に通知を受けた登記識別情報を提供しなければならない。
オ 国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記を官庁又は公署が単独で嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
登記識別情報の原本還付の可否,嘱託登記の際の添付情報等について問う問題です。
特に官公署が権利者,義務者となる場合に提供が必要なものと不要なものの区別をつけられるようにしましょう(選択肢オ)。
ア・・誤りです。
代理権限書面について官公署が作成した書面については,作成後3か月以内であることを要します(不動産登記令17条1項)。
これに対し,官公署ではない一般私人が作成した書面については,作成後3か月以内という限定はありません。
イ・・正しいです。
法人の代表者又は代理人が記名押印した者である場合において,「①その会社法人等番号を申請情報の内容とし,②登記官が記名押印した者の印鑑証明書を作成することが可能であるとき」印鑑証明書を申請書の添付書類として提供をする必要はありません(不動産登記規則48条1号,49条2項1号)。
登記官は,会社法人等番号によって法人を特定することができます。
そして,記名押印した者の印鑑証明書を登記官が確認できる場合には,代表者又は代理人が申請しているものと特定できますし,全くの別人が権限なく勝手に申請しているとは考えにくいです。
代表者又は代理人が申請していると考えられる場合にまで,登記官が確認できる書類について,あえて申請人に対し,それと同じ内容の書類である印鑑証明書を提出させる必要はないという考えが根底にあるからです。
ウ・・誤りです。
登記識別情報の原本還付はできません。不動産登記規則69条1項により,登記完了後は廃棄処分となります。
なぜなら,その申請のためにのみ作成された書類について,当該書面を他に使用する理由はないことから,不正に利用されるのを防止するためです。
エ・・正しいです。
土地の分筆登記では,登記識別情報は交付されません(不動産登記法21条参照)。持分が変わるだけで,登記名義人が変わるわけではないからです。
合筆をした場合は,申請人に対して登記識別情報が通知されますので,合わせて覚えておきましょう。この場合は,共有から単独所有になるので,登記名義人に変更があると考えられるからです。
本肢のように,土地について抵当権の設定の登記を申請する場合において、登記識別情報を提供するときは、分筆前の土地の所有権の登記名義人となった際に通知を受けた登記識別情報を提供しなければならないことになります。
オ・・正しいです。
嘱託による登記の場合,官公署が登記権利者,登記義務者のいずれでも,登記識別情報の提供は不要です。
なお,登記原因証明情報については,官公署が権利者,義務者のいずれの場合でも必要ですので,登記識別情報と区別してください。
以上から,誤りは,アとウになります。
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02
不動産登記の添付情報に関する問題です。基本的には、平易な問題です。問題文も短文で端的ですので、解きやすかったと思います。
(ア)親権者が未成年者を代理して不動産登記を申請する場合に、親権者の代理権を証明する、戸籍に記載した事項を証明する証明書は、作成から3か月以内のものである必要があるので、本肢は誤りです。(不動産登記令17条1項参照)
(イ)登記されている法人が申請人となる場合には、当該法人の代表者の資格を確認するため、会社等法人番号の提供が必要です。この会社等法人番号の提供により、申請人である法人は、申請情報に合わせて添付すべき印鑑証明書、住所証明書、法人の名称等の変更証明情報などを省略できます。従って、本肢は正しいです。(不動産登記規則48条1号参照)
(ウ)登記識別情報を記載した書面は、原本還付請求はすることができないので、本肢は誤りです。
(エ)分筆登記をした場合には、登記識別情報が通知されないため、分筆後の土地については、登記識別情報が存在しないことになります。従って、分筆登記をした後に、分筆後の土地について抵当権の設定登記をする場合には、分筆前の土地の所有権登記名義人となった時に通知を受けた登記識別情報を提供する必要があります。従って、本肢は正しいです。
(オ)国又は地方公共団体が登記権利者として、登記を嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報の提供は不要です。従って、本肢は正しいです。(登記先例・昭和33年民甲893参照)
(ア)についても、(ウ)についても、非常に基本的な論点なので、この問題は簡単な問題です。こういった簡単な問題は、必ず得点しなくてはなりません。こういった問題で間違うと、他の難しい問題で挽回しなくてはならないので、大変厳しいです。
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03
添付情報に関する問題です。
アは誤りです。
官公署が作成する証明書を提出する時は作成後3か月以内である必要があります。(令17条1項)
イは正しいです。
会社法人等番号によって登記官は会社を特定することが可能です。
ですので、法人が義務者の場合その法人の会社法人等番号を記載した際は義務者である法人の印鑑証明書は提出する必要はありません。(規則48条1号,49条2項1号)
ウは誤りです。
登記識別情報は原本還付できません。
あくまでそこに記載されている英数字を提出するだけだからです。
添付された登記識別情報は登記が完了すると破棄されます。
エは正しいです。
分筆された土地に抵当権設定登記をする場合は登記識別情報は文筆前の土地の所有権登記名義人になった際の登記識別情報を添付しなくてはなりません。
オは正しいです。
官公署が登記権利者になる際に嘱託でする場合の義務者の登記識別情報は添付する必要はありません。
逆の場合も同様です。
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