選択肢3. イオ
ア・・誤りです。
「申し出がされた日」ではなく,申請の受付がされた日が登記の申請の受付日として記録されることになります。(不動産登記法19条1項)。
官公署にとっては,受付をしなければ記録が残らないと考えれば,わかりやすいと思います。
イ・・正しいです。
申請情報(委任による代理人によって申請する場合は,代理権限を証する情報)を記録(記載)した電磁的記録(書面)に,公証人から,申請人が登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ,かつ,登記官がその内容を相当と認めるときは,事前通知を要しません(不動産登記法23条4項2号)。
法務大臣から任命を受けた公証人は,私人が公証人の面前で行った署名等に認証を付す権限があります(公証人法58条,62条の6)。
公証人が代理権限情報である委任状等に認証をしており,登記官がその内容を相当と認めているのであれば,申請情報を記載した書面に公証人の認証がなくても申請人本人が申請していることが公に証明されるからです。
ウ・・誤りです。
権利に関する登記の申請が資格者代理人(登記の申請の代理を業務とすることができる代理人)によってされた場合,当該代理人により申請人が登記義務者であることを確認するために必要な情報(本人確認情報)が提供され,かつ,登記官がその内容を相当と認めるときに事前通知を省略できます(不動産登記法23条4項1号)。
このような場合には,原則どおり,登記義務者本人に対し事前通知を行うことになるだけであり,登記の申請が却下になるわけではありません(不動産登記法23条1項,25条参照)。
資格者代理人というのは,あくまでも司法書士のような業務遂行をする上での代理人に過ぎず,最終的には登記義務者本人に確認すれば足りるので,いきなり却下をする必要がないからです。
エ・・誤りです。
この肢は,文章が長く一見難しそうに見えますが,「その住所の変更の登記に係る住所の変更があった日から3か月を経過しているとき」が誤りです。
正しくは,「最後の変更の登記の申請に係る日から3月を経過しているとき」(不動産登記規則71条2項2号)となります。
この肢についての考え方は,次のとおりです。
原則として,不動産登記法23条2項において「登記官は,前項の登記の申請が所有権に関する者である場合において,同項の登記義務者の住所について変更の登記がされているときは,法務省令で定める場合を除き,同項の申請に基づいて登記をする前に,・・・当該登記義務者の登記記録上の前の住所にあてて,当該申請があった旨を通知しなければならない。」としています。
→次に,不動産登記規則71条2項2号では,不動産登記法23条2項の「法務省令で定める場合」,つまり例外として事前通知を不要とする場合について「登記義務者の住所について最後の変更の登記の申請に係る受付の日から3月を経過している場合」をあげています。
最後の住所変更があった日については,市町村役場でないと知り得ず,登記所では把握ができないので,3か月の起算点としては,最後の申請日とするほうが登記所にとって便宜だからと考えればいいと思います。
類似の問題として,平成23年13問目がありますので,時間がある方は確認してみるといいと思います。
オ・・正しいです。
事前に通知に対する申出ですが,電子申請と書面申請の二種類があります。
それぞれ,登記申請を最初に電子申請で行ったか,それとも書面申請で行ったかによって事前通知に対する申出の方法も決まります。
つまり,登記申請を電子申請で行った場合は,事前通知に対する申出も電子申請によって行います(不動産登記規則70条5項1号,6項,不動産登記令14条)。
これに対し,登記申請を書面申請で行った場合は,事前通知に対する申出も書面申請によって行います(不動産登記規則70条5項2号)。
登記申請が電子申請なのに,申出を書面で申請したり,登記申請を書面申請しているのに,申出を電子申請するというのはできません。必ずオンラインか必ず書面と覚えておくといいです。