司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問18

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問題

令和4年度 司法書士試験 午後の部 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

不動産登記に関する代理人の権限又はその権限を証する情報(以下「代理権限証明情報」という。)についての次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  司法書士Aが申請人を代理して所有権の移転の登記を申請した場合において、その申請書に添付した委任状にAに当該登記申請の取下げの代理権がある旨の記載があるときは、Aは、当該登記申請の取下げについて別途の代理権限証明情報を提供することなく、登記申請意思の撤回を理由として当該登記申請の取下げをすることができる。
イ  司法書士が申請人を代理して所有権の移転の登記を申請し、当該登記が完了した場合には、当該司法書士は、登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けていないときであっても、当該登記に係る登記識別情報の通知を受けることができる。
ウ  不動産に関する国の機関の所管に属する権利について命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員が登記の嘱託をする場合には、代理権限証明情報を提供しなければならない。
エ  委任状が不正な登記の申請のために用いられた疑いがある場合には、当該委任状が当該申請のためにのみ作成されたものでないときであっても、登記官は、当該委任状の原本を還付することができない。
オ  司法書士が登記名義人を代理して登記識別情報が有効であることの証明を請求する場合には、代理権限証明情報の提供を要しない。
  • アイ
  • アウ
  • イオ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

代理人の権限の範囲,代理権限証明情報について問う問題です。

選択肢5. エオ

ア・・誤りです。

申請の取下げには,「補正のための取下げ」と「申請そのものをやめるための取下げ」の二種類があります。

ですから,申請代理人による登記申請の取下げは,それが欠缺補正のためにする場合は,特別の授権は不要ですが,その他の場合には特別の授権を要します(昭和29年12月25日民事甲2637号通達)。

補正のための取下げであれば,引き続き登記申請を行うことが予定されていますので,委任者にとっても予想の範囲内ですが,委任者の授権なしに申請代理人が独自の判断で申請そのものを取下げた場合には,委任者にとっても当初の目的を達成できなくなるからです。

イ・・誤りです。

不動産登記規則62条2項において,「登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けた代理人がある場合には,登記識別情報の通知は,当該代理人に対してするものとする。」と規定しています。

したがって,委任者から特別の委任がなければ,申請代理人は,登記識別情報の通知を委任者に代わって受領することができません

ウ・・誤りです。

不動産登記令7条2項において「前項第一号及び第二号の規定は、不動産に関する国の機関の所管に属する権利について命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員が登記の嘱託をする場合には、適用しない。」と規定しています。

代理権限証明情報は,登記令7条1項2号に規定されています。

したがって,国の機関の職員が登記嘱託をする場合,代理権限証明情報は不要となります。

エ・・正しいです。

不動産登記規則55条5項において「登記官は偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については,これを還付することができない。」と規定しています。

偽造若しくは偽造の疑いのある書面について還付したことで,悪用されるのを防止するためです。

オ・・正しいです。

司法書士が登記名義人を代理していわゆる有効証明情報を請求する場合には、代理権限証明情報の提供を要しません(不動産登記規則68条7項かっこ書)。

ただ,資格者代理人が登記の申請の代理を業とすることができる者であることを証する情報を提供しなければなりません(不動産登記規則68条14項)。

まとめ

以上から,正しい選択肢は,エとオになります。

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02

不動産登記法(代理権限証明情報)に関する問題です。基本的な知識を問う平易な問題です。実務では、代理権限証明情報(委任状)は非常に重要な事項です。

選択肢5. エオ

(ア)登記申請意思の撤回を理由として取り下げる場合には、別途取り下げのための代理権限証明情報が必要です。申請のときの委任状に、取り下げの代理権の記載がある場合でも、申請意思の撤回による取り下げはできません。従って、本肢は誤りです。なお、補正のための取り下げは、申請時の委任状に、取り下げの代理権の記載があれば可能です。

(イ)申請を代理した者が、登記識別情報の通知を受けるためには、そのための特別な委任が必要です。本肢は、登記識別情報を受けるための特別な委任がなくても、登記識別情報の通知を受けることができるとしているため、誤りです。

(ウ)不動産に関する国の機関の所管に属する権利について、命令又は規則により指定された官庁又は高所の職員が登記を嘱託する場合には、代理権限証明情報の提供は不要です。従って、本肢は誤りです。(不動産登記令7条2項参照)

(エ)登記官は、偽造された書面その他不正な登記の申請のために用いられた疑いのある書面については、これを還付することはできません。従って、本肢は正しいです。(不動産登記規則55条5項参照)

(オ)司法書士が登記名義人を代理して登記識別情報が有効であることの証明を請求する場合には、代理権限証明情報の提供は不要です。従って、本肢は正しいです。(不動産登記規則68条7項括弧書き参照)

まとめ

(オ)の司法書士が登記識別情報の証明を代理する場合には、代理権限証明情報が不要だというのは、よく問われる論点なので、ここでしっかり覚えておきましょう。

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03

代理人の権限、代理権限証明情報に関する問題です。

選択肢5. エオ

アは誤りです。

補正のための取り下げは特別の授権は不要ですが、登記の申請を中止するための取り下げには特別の授権が必要となります。

イは誤りです。

司法書士は特別の委任をうけていない場合は登記識別情報の通知を受けることはできません。

ウは誤りです。

官公署が登記の嘱託を委任する場合は代理権原証明情報を提供する必要はありません。

これは命令または規則に誰が代理人とのなるか記載してあるため、登記官がは誰が代理人であるか簡単に確認することができるためです。

エは正しいです。

登記官は偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については,これを還付することができません。(規55条5項)

オは正しいです。

有効証明請求をする場合は代理権限証明情報の添付は必要ありません。ただし資格者代理人であることを証する情報の提供が必要になります。

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