司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問22
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
地役権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地を要役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地及びCが所有権の登記名義人である丙土地を承役地とする地役権の設定の登記の申請は、一の申請情報によってすることができる。
イ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記がされた後、甲土地を承役地とし、Cが所有権の登記名義人である丙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記の申請は、することができる。
ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない。
エ 地役権の設定の範囲を承役地の一部から全部に変更する登記の登録免許税の額は、承役地である土地1筆につき1500円である。
オ 甲土地を要役地とする地役権の設定の登記がされた後、甲土地について抵当権の設定の登記がされている場合において、当該地役権の登記の抹消を申請するときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地を要役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地及びCが所有権の登記名義人である丙土地を承役地とする地役権の設定の登記の申請は、一の申請情報によってすることができる。
イ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記がされた後、甲土地を承役地とし、Cが所有権の登記名義人である丙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記の申請は、することができる。
ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない。
エ 地役権の設定の範囲を承役地の一部から全部に変更する登記の登録免許税の額は、承役地である土地1筆につき1500円である。
オ 甲土地を要役地とする地役権の設定の登記がされた後、甲土地について抵当権の設定の登記がされている場合において、当該地役権の登記の抹消を申請するときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
地役権は,用益物権で一番出題されやすいので,まんべんなく学習しておきましょう。
要役地とは,便益を受ける土地,承役地とは,便益を供する土地のことをいいます。
ア・・誤りです。
一筆の土地を要役地とし,所有者を異にする数筆の土地を承役地とする場合の地役権設定の登記は,各土地につき登記の申請当事者が異なるため,一の申請情報によって申請することができません(昭和33年2月22日民甲421号回答)。
なぜなら,地役権設定の登記申請は,要役地所有者と各承役地所有者とが各別の申請情報により行なう必要があるからです(同先例)。
本肢は,平成29年22問目イでも問われていますので,間違えた方は,この機会に理解しておきましょう。
イ・・正しいです。
同一の不動産に対して二重に地役権を設定できるかという問題ですが,認められます。
(昭和38年2月12日民事甲390号回答,登記研究501号)
地役権は,土地の利用関係の調整を図り,要役地の利用価値を高めるために設定される物権であること,もともと承役地を排他的に使用する物権ではないことから二重設定登記が認められます。
ウ・・正しいです。
不動産登記法80条3項では「要役地に所有権の登記がないときは,承役地に地役権の設定の登記をすることができない。」旨規定しています。
承役地と要役地の管轄登記所が異なる場合には,要役地の登記事項証明書が必要(不動産登記令別表35添ハ)であることからも,要役地の所有権に関する登記が前提とされていることがわかります。
所有権の登記がない土地を要役地として地役権設定を登記申請する場合は,前提として要役地について所有権保存の登記を申請しなければなりません。
エ・・誤りです。
地役権の設定・・・承役地1個につき金1500円(登録免許税別表第一 1 ⑷ )
地役権の変更・・・承役地1個につき金1000円(登録免許税別表第一 1 ⒁ )
地役権の抹消・・・承役地1個につき金1000円(登録免許税別表第一 1 ⒂ )
本肢は,前述の「地役権の変更」にあたりますので,金1000円です。
地役権については,設定だけ承役地1個につき1500円と覚えておきましょう。
オ・・正しいです。
地役権の抹消も権利に関する登記の抹消であるため,抹消について登記上の利害関係を有する第三者がいる場合には,第三者の承諾を証する情報を提供する必要があります(不動産登記法68条,不動産登記令別表37添ハ)。
本肢は,地役権設定後に要役地に設定された抵当権ですから,抵当権登記名義人の承諾証明情報若しくは抵当権登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しないといけません。抵当権だけでなく,差押え等の権利の登記がされている場合,これらの登記名義人は,利害関係を有する第三者となります。
<補足>
地役権設定前に要役地に設定された抵当権等(差押え等の権利に関する登記,所有権移転の仮登記)の権利者は,地役権の抹消登記についての登記上の利害関係を有する第三者に当たらない(登記研究466号)ことも合わせて確認しておきましょう。
以上から,誤りは,アとエになります。
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02
不動産登記法(地役権に関する登記)の問題です。(エ)は簡単に誤りだとわかるので、(ア)が誤りか(イ)が正しいことを判定できれば、正解が導けます。
(ア)1個の土地を要役地とし、所有権の異なる数個の土地を承役地とする地役権の設定登記は、一つの申請情報ですることはできません。申請人が、AとB、AとCと共通ではないからです。従って、本肢は誤りです。
(イ)同一の土地を承役地として、別個の土地所有者のために、重ねて数個の地役権を設定し、その登記をすることができます。地役権は、所有権のように排他的な物権ではないからです。従って、本肢は正しいです。
(ウ)地役権の登記は、権利部に記録される登記なので保存登記がされておらず、表題登記のみの土地には地役権の設定登記ができません。従って、本肢は正しいです。
(エ)地役権の設定範囲を承役地の一部から全部に変更する登記の登録免許税は、不動産の登記事項の変更登記として、承役地1筆につき1,000円です。従って、本肢は誤りです。
(オ)地役権の設定登記がされた後に、その要役地について抵当権の設定登記がされると、その抵当権の効力は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、地役権に及びます。そのため、抵当権の登記名義人は、地役権の抹消登記の登記名義人に該当します。従って、地役権の設定登記の抹消を申請する場合には、後順位抵当権者の登記名義人の承諾を証する情報またはその者に対抗できる裁判があったことを証する情報の提供が必要です。従って、本肢は正しいです。
この問題では(エ)がボーナス枝です。地役権の範囲の変更登記は、登記事項変更分として、不動産の個数1個に1,000円です。この正誤は、簡単に判定できます。こういうボーナス枝は、絶対に間違ってはなりません。
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03
地役権の登記に関する問題です。
アは誤りです。
乙土地と丙土地の所有者が違うため一の申請情報では登記することができません。
イは正しいです。
地役権は複数設定することができるので登記することができます。
ウは正しいです。
要役地の所有者が所有権保存登記をしていない状態のため登記することができません。
エは誤りです。
地役権変更登記の登録免許税は1000円です。
オは正しいです。
抵当権者は「地役権がついている甲土地」として価値を計算して抵当権を設定しているため地役権を抹消すると抵当権者に不利益になってしまいます。
ですので甲土地の地役権を抹消する場合は抵当権者の承諾証明情報を提供する必要があります。
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