選択肢2. アエ
ア・・誤りです。
一筆の土地を要役地とし,所有者を異にする数筆の土地を承役地とする場合の地役権設定の登記は,各土地につき登記の申請当事者が異なるため,一の申請情報によって申請することができません(昭和33年2月22日民甲421号回答)。
なぜなら,地役権設定の登記申請は,要役地所有者と各承役地所有者とが各別の申請情報により行なう必要があるからです(同先例)。
本肢は,平成29年22問目イでも問われていますので,間違えた方は,この機会に理解しておきましょう。
イ・・正しいです。
同一の不動産に対して二重に地役権を設定できるかという問題ですが,認められます。
(昭和38年2月12日民事甲390号回答,登記研究501号)
地役権は,土地の利用関係の調整を図り,要役地の利用価値を高めるために設定される物権であること,もともと承役地を排他的に使用する物権ではないことから二重設定登記が認められます。
ウ・・正しいです。
不動産登記法80条3項では「要役地に所有権の登記がないときは,承役地に地役権の設定の登記をすることができない。」旨規定しています。
承役地と要役地の管轄登記所が異なる場合には,要役地の登記事項証明書が必要(不動産登記令別表35添ハ)であることからも,要役地の所有権に関する登記が前提とされていることがわかります。
所有権の登記がない土地を要役地として地役権設定を登記申請する場合は,前提として要役地について所有権保存の登記を申請しなければなりません。
エ・・誤りです。
地役権の設定・・・承役地1個につき金1500円(登録免許税別表第一 1 ⑷ )
地役権の変更・・・承役地1個につき金1000円(登録免許税別表第一 1 ⒁ )
地役権の抹消・・・承役地1個につき金1000円(登録免許税別表第一 1 ⒂ )
本肢は,前述の「地役権の変更」にあたりますので,金1000円です。
地役権については,設定だけ承役地1個につき1500円と覚えておきましょう。
オ・・正しいです。
地役権の抹消も権利に関する登記の抹消であるため,抹消について登記上の利害関係を有する第三者がいる場合には,第三者の承諾を証する情報を提供する必要があります(不動産登記法68条,不動産登記令別表37添ハ)。
本肢は,地役権設定後に要役地に設定された抵当権ですから,抵当権登記名義人の承諾証明情報若しくは抵当権登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しないといけません。抵当権だけでなく,差押え等の権利の登記がされている場合,これらの登記名義人は,利害関係を有する第三者となります。
<補足>
地役権設定前に要役地に設定された抵当権等(差押え等の権利に関する登記,所有権移転の仮登記)の権利者は,地役権の抹消登記についての登記上の利害関係を有する第三者に当たらない(登記研究466号)ことも合わせて確認しておきましょう。