司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問23

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問題

令和4年度 司法書士試験 午後の部 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

次の対話は、不動産質権(根質権を除く。)と抵当権(根抵当権を除く。)の登記の登記事項に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

教授: 今日は、質権と抵当権の登記の登記事項の違いについて考えてみましょう。これからの質問では、不動産に貸金債権を被担保債権とする質権又は抵当権の設定の登記をする事例を想定してください。
    質権又は抵当権がその目的である不動産に付加して一体となっている物に効力が及ばない旨の定めは登記事項になりますか。
学生:ア  質権の登記の登記事項にはなりませんが、抵当権の登記の登記事項になります。
教授: 貸金債権の利息に関する定めは登記事項になりますか。
学生:イ  質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項になります。
教授:  貸金債権に付された条件は登記事項になりますか。
学生:ウ  質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項になります。
教授: 貸金債権の弁済期の定めは登記事項になりますか。
学生:エ  質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項にはなりません。
教授: 質権又は抵当権について存続期間の定めは登記事項になりますか。
学生:オ  質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項にはなりません。
  • アイ
  • アオ
  • イエ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

 抵当権と(不動産)質権の登記事項の知識について問う問題です。

 それぞれの登記事項を確実に覚えておく必要があります。

 抵当権と質権に共通する必要的記載事項は,債権額と債務者です。

 抵当権と質権に共通する任意的記載事項(必ず定めなければいけないわけではないが,定めた場合には登記事項となるもの)は,

  利息

  損害金

  債権に付した条件

  付加一体物(抵当権民法370条ただし書,質権は,民法361条において,

        前述の370条ただし書を準用)

があります。

 

 そして,質権では任意的記載事項ですが,抵当権では登記できない事項

  違約金

  存続期間

2つです。 

 ここに説明した事項をもとに,各選択肢の解説に入ります。 

選択肢2. アオ

ア・・誤りです。

 抵当権も質権も付加一体物(民法370条ただし書の別段の定め)に関する事項は,任意的記載事項です(抵当権につき不動産登記法88条1項4号,質権につき95条1項7号)。

 したがって,質権では,目的である不動産に付加して一体となっている物に効力が及ばない旨の定めは登記事項にならないという部分が誤りです。 

イ・・正しいです。

利息に関する事項は,抵当権,質権とも任意的記載事項です

(抵当権につき不動産登記法88条1項3号,質権につき95条1項2号)。

ウ・・正しいです。

債権に付した条件については,抵当権,質権とも任意的記載事項です

(抵当権につき不動産登記法88条1項3号,質権につき95条1項4号)。 

エ・・正しいです。

弁済期の定めについては,抵当権,質権とも登記事項となりません

(不動産登記法88条1項,95条1項参照)。

※細かい点に言及しますと,抵当証券発行の定めがあるとき(不動産登記法88条1項5号)は,同条1項6号において,弁済期についての定めを登記事項とする必要がありますが,問題文でそこまで問われていないので,考えなくてよいと思います。

オ・・誤りです。

本解説の冒頭に記載したとおり,存続期間については,質権では任意的登記事項ですが,抵当権では登記できません

(質権につき不動産登記法95条1項1号,抵当権につき88条1項参照)。

まとめ

以上から,アとオが誤りといえます。

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02

不動産登記法(抵当権及び質権の登記事項)の問題です。教授と学生の対話形式の問題です。毎年1問程度はこういった対話形式の問題が出題されるので、この形式の問題にも慣れておく必要があります。

選択肢2. アオ

(ア)質権の登記であっても、抵当権の登記であっても、その目的である不動産に付加して一体となっている物に効力が及ばない旨の定めがある場合は、その旨が登記事項になります。従って、本肢は誤りです

 

(イ)質権の登記であっても、抵当権の登記であっても、利息に関する定めのあるときは、その旨を登記する必要があります。従って、本肢は正しいです。

 

(ウ)質権の登記であっても、抵当権の登記であっても、債権の付した条件があるときは、その条件を登記することができます。従って、本肢は正しいです。

 

(エ)貸金債権の弁済期の定めは、質権の登記も抵当権の登記も、双方とも登記事項になりません。従って、本肢は正しいです。

 

(オ)存続期間の定めは、質権については登記事項になりますが、抵当権については登記事項になりません。従って、本肢は誤りです。

まとめ

(オ)について、抵当権に存続期間があるとすると、債務を弁済しなくても存続期間が経過したら抵当権が消滅することになります。これは、常識的に考えてありえません。司法書士試験では、こういった常識的な判断で解ける問題も、ごくわずかですが存在します。

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03

抵当権と不動産質権の登記事項に関する問題です。

選択肢2. アオ

アは誤りです。

付加一体物にに及ばない旨の別段の定めは抵当権の場合も質権の場合も任意的記載事項です。(88条1項1号,95条1項7号)

イは正しいです。

利息に関する定めは任意的記載事項になります。

もし無利息の定めがある場合は「無利息」と登記します。

ウは正しいです。

「債権者Aが死亡したときは債権が消滅する」等の貸金債権に条件があるときは登記事項になります。

エは正しいです。

弁済期は登記事項になりません。

オは誤りです。

存続期間の定めは質権では任意的記載事項ですが抵当権では登記事項になりません。

また、違約金の定めも同様に質権では任意的記載事項ですが抵当権では登記事項になりません。

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