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司法書士の過去問 令和4年度 午後の部 問29

問題

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株式に関する登記についての次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  株式の譲渡制限に関する定めの廃止による変更の登記の申請をする場合において、登記簿上、発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えているときは、当該申請と併せて、発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えない範囲とする発行可能株式総数又は発行済株式の総数を変更する登記の申請をしなければならない。
イ  会社が取得請求権付株式の株主から請求を受け当該取得請求権付株式の取得と引換えに当該会社の他の種類の株式を発行した場合には、取得請求権付株式の取得と引換えにする当該他の種類の株式の発行による変更の登記の申請は、当該他の種類の株式の発行の日から2週間以内にしなければならない。
ウ  現に2以上の種類の株式を発行している種類株式発行会社が株式の併合をする場合には、株式の種類ごとに異なった株式の併合に係る併合比率でした株式の併合を内容とする株式の併合による変更の登記を申請することができる。
エ  現に2以上の種類の株式を発行している取締役会設置会社がそのうち1の種類の株式の分割をする場合には、株式の分割の効力発生と同時に当該株式の分割に係る分割比率を超えない範囲内で発行可能株式総数を増加する定款の変更の決議をした取締役会の議事録を添付して、当該発行可能株式総数の変更の登記を申請することができる。
オ  ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは、当該登記の申請書には、当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 令和4年度 司法書士試験 午後の部 問29 )
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この過去問の解説 (3件)

6

株式の登記全般についての問題です。

取得条項付株式の設定又は変更のときには,株主(種類株主)全員の同意が必要という点をおさえておきましょう(解説については,オの解説を参照してください)。

選択肢4. イエ

ア・・正しいです。

 会社法113条3項2号により「公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合,発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えることはできない」旨の規定を設けています(いわゆる4倍ルール)。

 なお,株式の譲渡制限が全てなされていれば,公開会社でない株式会社,一部でも譲渡制限がなければ公開会社です。

 本肢の場合,譲渡制限規定の廃止に伴い,4倍ルールに抵触します。

 そこで,株式の譲渡制限に関する規定の廃止だけでなく,発行可能株式総数又は発行済株式総数の変更の登記を合わせて申請する必要があります。

イ・・誤りです。

 「当該他の種類の株式の発行の日から」ではなく,毎月末日現在により,「当該末日から」2週間以内に申請すれば足ります(会社法915条3項,166条1項)。

ウ・・正しいです。

 現に2以上の種類の株式を発行している種類株式発行会社が株式の併合をする場合,株式の種類ごとに併合の割合が異なっても良いという取扱いになっています。

エ・・誤りです。

 取締役の決定(取締役会設置会社では,取締役会の決議)によって発行可能株式総数を変更できるのは以下の①②の要件を満たすときです。

①現に1種類の株式を発行している

②株式の分割と同時に分割比率を超えない数の範囲内で増加する

(会社法184条2項,平成18年3月31日民商782号通達)。

 種類株式発行会社は,取締役の決定若しくは取締役会の決議によって定款変更を行なうことができません

 本肢は,種類株式発行会社ですので,要件を満たしません。

 つまり,原則どおり,株主総会の決議によって定款変更をする必要があります(会社法466条)。

オ・・正しいです。

 取得条項付株式の設定又は変更の場合,単一会社では「株主全員の同意」,種類株式発行会社では「種類株主全員の同意」が必要です(単一会社につき会社法110条,種類株式発行会社につき同法111条1項)。

 いずれも,「全員の同意」が必要です。

 なぜかといいますと,取得条項付株式は,株主の意思とは無関係に強制的に株主から取得することができる内容の株式であり,株主にとって不利益だから株主若しくは種類株主の同意が必要とされているのです。 

<補足>

 混同しやすいものとして「全部取得条項付種類株式の設定」があります。

 これは,文字どおり,種類株式発行会社にしかなく,単一会社にはありません。

 スクイーズアウト(株主締出し)や100パーセント減資の場合の手段として用いられます。

 そうすると,種類株主が全員賛成すると思えないので全員の同意は不要で,「特別決議」(会社法111条2項,324条2項1号)で足ります。

まとめ

以上から,誤りはイとエになります。

付箋メモを残すことが出来ます。
2

株式に関する登記に関する問題です。

選択肢4. イエ

アは正しいです。

いわゆる4倍ルールに関する問題です。

譲渡制限の規定がない会社の場合発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えない範囲とする必要があります。(会113条3項2号)

今回の場合譲渡制限規定を撤廃すると4倍ルールにひっかかってしまうため定款変更をする必要があります。

イは誤りです。

取得請求権付き株式の取得とと引き換えにする株式の発行の登記は種類株式の発行した月の末日から2週間になります。(会915条3項)

複数日に何人もの人が同じように取得請求権付き株式を行使した場合何度も登記をしなくてはならなくなるためこのような規定になっています。

ウは正しいです。

株式の併合は株式の種類ごとに異なった併合をしても問題ありません。

それによって他の種類の株主に損害が生じる場合は種類株主総会議事録の添付が必要になります。

エは誤りです。

種類株式発行会社なので株主総会議事録が必要になります。

逆に単一株式発行会社の場合は取締役会決議で足ります。(会466条)

オは正しいです。

種類株式発行会社が取得条項付き株式に定款変更する場合はその種類株式の株主全員の同意が必要になります。(会111条1項)

1

商業登記法(株式関する登記)の問題です。この分野は、ほぼ毎年出題される頻出分野です。

選択肢4. イエ

(ア)公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となった場合、当該定款変更後の発行可能株式総数が、当該定款の変更が効力を生じたときにおける発行可能株式総数の4倍を超えてはなりません。そのため、株式会社が株式の譲渡制限に関する定めを廃止におる変更登記を申請する場合、登記簿上、発行可能株式総数が発行済株式の総数を超えているときは、申請書に合わせて、発行可能株式総数が発行可能株式総数の4倍を超えない範囲とする発行可能株式総数又は発行済み株式数を変更する登記の申請しなければなりません。従って、本肢は正しいです。

(イ)登記事項に変更が生じたときには、原則として変更が生じた日から2週間以内に、その本店所在地において変更の登記を申請しなければなりません。しかし、取得請求権付株式の取得と引き換えに、当該株式の他の株式を新たに発行した場合における変更登記は、請求のあった日が属する月の末日現在により、当該末日にから2週間以内にすれば足りるとされています。従って、本肢は誤りです。

(ウ)現に2以上の種類の株式を発行している種類株式発行会社は、株式の種類ごとに異なった株式の併合に係る併合比率で、株式の併合を行うことができるし、ある種類の株式のみを併合することも可能です。よって、2以上の種類の株式を発行している種類株式発行会社が、そのような内容の株式を併合したことによる変更登記を申請することができます。従って、本肢は正しいです。

(エ)現に2以上の種類の株式を発行していない取締役会設置会社において、株式の分割の効力発生と同時に、当該株式の分割に係る分割比率を超えない範囲内で発行済株式総数を増加したことによる変更登記申請書は、取締役会議事録を申請すれば足ります。しかし、現に2以上の種類の株式を発行している取締役会設置会社の場合、発行可能株式総数の増加による変更登記をする場合は、原則どおり、株主総会議事録を添付しなければなりません。従って、本肢は誤りです。

(オ)種類株式発行会社が、ある種類の株式発行後に定款を変更して、当該種類株式を取得条項付株式とする場合には、定款変更に係る株主総会の特別決議に加え、当該種類株式を有する株主全員の同意を得なくてはなりません。従って、本肢は正しいです。

まとめ

商業登記法の一般規則では、Aであるが、Bの条件を満たす場合は、特別にCである、というような論点は、出題されやすいので注意が必要です。

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