司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問30
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問30 (訂正依頼・報告はこちら)
株式会社(特例有限会社を除く。)の機関の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社法上の公開会社であって大会社ではない会社が、新たに会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記をする場合には、併せて監査役会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
イ 会社法上の公開会社であって大会社である会社は、会計参与設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をすることができない。
ウ 取締役が2名以上ある取締役会設置会社でない会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされている場合であっても、会社法第423条第1項に規定する取締役の損害賠償責任について、当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意により会社法所定の要件の下その責任の一部を免除することができる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請をすることができる。
エ 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある大会社ではない会社において、監査役設置会社の定めの廃止の登記とともに監査等委員会設置会社の定めの設定による変更の登記を申請する場合には、併せて会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
オ 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社において、監査役設置会社の定めの廃止の登記とともに指名委員会等設置会社の定めの設定による変更の登記を申請する場合には、併せて社外取締役である取締役につき、社外取締役である旨の登記の申請をしなければならない。
(参考)会社法
第423条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2~4(略)
ア 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社法上の公開会社であって大会社ではない会社が、新たに会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記をする場合には、併せて監査役会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
イ 会社法上の公開会社であって大会社である会社は、会計参与設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をすることができない。
ウ 取締役が2名以上ある取締役会設置会社でない会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされている場合であっても、会社法第423条第1項に規定する取締役の損害賠償責任について、当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意により会社法所定の要件の下その責任の一部を免除することができる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請をすることができる。
エ 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある大会社ではない会社において、監査役設置会社の定めの廃止の登記とともに監査等委員会設置会社の定めの設定による変更の登記を申請する場合には、併せて会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
オ 取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社において、監査役設置会社の定めの廃止の登記とともに指名委員会等設置会社の定めの設定による変更の登記を申請する場合には、併せて社外取締役である取締役につき、社外取締役である旨の登記の申請をしなければならない。
(参考)会社法
第423条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2~4(略)
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
株式会社の機関変更についての問題です。
機関設置のパターンについてテキストなどで復習しておく必要があります。
例えば,大会社では,会計監査人は設置しなければいけませんが(会社法328条1項,2項),公開会社でない株式会社の場合,取締役と監査役を置けば,監査役会,取締役会を置かなくてもいいという場合があることはおさえておきましょう。
ア・・誤りです。
公開会社の場合,取締役会は置かないといけません(会社法327条1項1号)。
そして,公開会社の場合,取締役会設置会社となることから,監査役は置く必要があります(同条2項本文)。
しかし,公開会社であっても大会社でなければ監査役会の設置は義務ではありません。
なぜなら,監査役会を置かなければならない会社は,公開会社である大会社であって,監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社でない会社だからです(会社法328条1項)。
本肢の場合,公開会社ですが,大会社ではないので,監査役会設置会社の定めの設定による変更登記は必要ありません。
イ・・誤りです。
会計参与は,基本的に設置が任意です。
しかし,公開会社でない株式会社で監査役を設置していない場合は,会計参与を設置する必要があります(会社法327条2項ただし書)。
ですから,本肢の場合のように,公開会社かつ大会社であっても,会計参与を置くことは認められます。
ウ・・誤りです。
取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定を設けることができるのは,取締役がに2人以上いる監査役設置会社です(会社法426条1項)。
そして,会社法上の監査役に会計限定監査役は含まれない(会社法2条9号)ので,本肢は,監査役設置会社とは言えません。
したがって,本肢の場合,会社法上の監査役設置会社ではないので,前述の取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定を設けることはできません。
エ・・正しいです。
監査等委員会設置会社は,会社法327条5項により会計監査人を置かなければなりません。
したがって,本肢の場合,監査等委員会設置会社の定め及び会計監査人設置会社の定めの設定による変更登記が必要です。
オ・・正しいです。
指名委員会等設置会社における各委員会の委員は,取締役の中から取締役会決議によって選定され,各委員会の過半数は,社外取締役でなければいけません(会社法400条2項,3項)。
そして,指名委員会等設置会社では,社外取締役についてその旨の登記を申請する必要があります(会社法911条3項23号イ)
したがって,本肢の記述については正しいといえます。
以上から,エとオが正しいということになります。
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02
商業登記法(株式会社の機関の変更登記)に関する問題です。株式会社の機関の組み合わせには一定のルールがありますので、そのルールをよく覚えている必要があります。
(ア)公開会社であって大会社である場合は、会計監査人及び監査役会を設置しなければなりません。しかし本記述では、公開会社ではあるが大会社ではないため、監査役会の設置は不要です。従って、本肢は誤りです。
(イ)公開会社である大会社は、監査役会及び会計監査人を置かなくてはなりません。しかし会計参与については、他の機関設計がどのようなものであっても、定款の定めにより置くことができる機関です。従って、本肢は誤りです。
(ウ)監査役設置会社(取締役が2名以上ある場合に限る)、監査等委員設置会社及び指名委員会等設置会社は、取締役に対する任務懈怠に基づく損害賠償請求権について、取締役会の過半数の同意によって、その責任の一部を免除することができる旨を定款で定めることができます。しかし、本記述のように、監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合は、監査役設置会社に該当しません。従って本肢の場合は、取締役の過半数の同意により、その責任の一部を免除することはできません。従って、本肢は誤りです。
(エ)監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなくてはなりません。従って、本肢は正しいです。
(オ)指名委員会等設置会社は、取締役会のうち社外取締役であるものについては、社外取締役である旨の登記をしなければなりません。従って、本肢は正しいです。
指名委員会等設置会社又は監査等委員設置会社では、必ず会計監査人を設置しなくてはなりません。また、公開会社かつ大会社は、原則として会計監査人と監査役会を置かなくてはなりません。これは非常に重要な論点ですので、ここで覚えておきましょう。
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03
株式会社の機関の変更に関する問題です。
アは誤りです。
公開会社で大会社の場合のみ監査役会設置会社である必要があります。
今回は大会社ではないので設置する必要はありません。
イは誤りです。
会計参与はどのような株式会社でも置くことができます。
ウは誤りです。
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされているという点で監査役設置会社ではなく、取締役が2名以上ある取締役会設置会社でない会社ということなので取締役等の会社に対する責任の免除規定を設定することはできません。
エは正しいです。
監査等委員会設置会社には会計監査人を設置しなくてはいけません。
オは正しいです。
指名委員会等設置会社を設置する場合は社外取締役についてその旨の登記をする必要があります。(会911条3項3号)
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