選択肢4. ウオ
ア・・正しいです。
株式移転における債権者保護手続の対象となる債権者は,「新株予約権付社債についての社債権者(株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合)」(会社法810条1項3号)です。
したがって,株式移転完全子会社が当該新株予約権付社債権者に対して債権者保護手続を行なったことを証する書面を添付する必要があります(商業登記法90条7号)。
イ・・正しいです。
株式交付は,株式交換と募集株式の発行を合体したイメージと言われています。
株式交付は,基本的に株式交付親会社が行い,株式交付子会社は株式交付の手続を行なうことはありません。
株式交付計画は,株式交付親会社が作成します(会社法774条の2後段,774条の3第1項)。
それに伴って,株式交付による株式交付親会社の変更登記では,株式交付計画書を添付する必要があります(商業登記法90条の2第1号)。
ウ・・誤りです。
株式交換契約書については,株式交換完全親会社がする株式交換による変更登記に添付します(商業登記法89条1号)。
株式交換子会社がする登記には,委任状を除き,必要ありません(商業登記法91条3項,1項)。
エ・・正しいです。
原則:吸収合併存続株式会社は,株主総会の決議で吸収合併契約の承認を得る必要があります(会社法795条1項)。
↓
例外:吸収合併消滅株式会社が吸収合併存続株式会社の特別支配会社である場合,株主総会の承認は不要です(会社法796条1項)。
↓
(再例外)
もっとも,吸収合併消滅株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が
①吸収合併存続株式会社の譲渡制限株式であり,
かつ
②吸収合併存続株式会社が公開会社でないとき
は,株主総会の決議によって承認を受ける必要があります(同条1項ただし書)。
本肢は,会社法796条1項ただし書の場合に該当することから,吸収合併を承認した吸収合併存続株式会社の株主総会議事録を添付する必要があります(商業登記法46条2項)。
なお,この「吸収合併存続株式会社の譲渡制限株式かつ同会社が非公開会社」の場合は,吸収合併存続株式会社の株主総会による決議が必要という問題はよく出題されるので,間違えた方はこれを機会に覚えておくといいでしょう(特に本肢の解説の赤字部分)。
オ・・誤りです。
新設分割の場合に,新設分割設立株式会社が新設分割株式会社の分まで代表して登記を行なうという規定はありません(商業登記法87条参照)。
これは,合併消滅する場合と異なり,新設分割を行なっても会社が消滅するわけではないからです。
新設分割では,新設分割株式会社について変更登記,新設分割設立株式会社について設立登記をそれぞれ申請します(会社法924条1項)。
したがって,新設分割株式会社の代表者は,新設分割株式会社を代表して変更登記を申請することになります(商業登記法47条1項)。
なお,新設分割設立株式会社は,前述のとおり,設立登記を申請することになります
(会社法924条1項)。