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司法書士の過去問 令和4年度 午後の部 問32

問題

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株式会社の組織再編の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  株式移転に際して株式移転設立完全親会社が株式移転完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式移転設立完全親会社の新株予約権を交付する場合において、当該株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、株式移転による設立の登記の申請書には、株式移転完全子会社が当該新株予約権付社債の社債権者に対して債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。
イ  株式交付による株式交付親会社の変更の登記の申請書には、株式交付計画書を添付しなければならない。
ウ  株式交換に際して株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式交換完全親会社の新株予約権を交付する場合は、株式交換完全子会社がする株式交換による新株予約権の変更の登記の申請書には、株式交換契約書を添付しなければならない。
エ  吸収合併に際して吸収合併消滅会社の株主に対して交付する金銭等の全部が公開会社でない吸収合併存続会社の譲渡制限株式である場合は、吸収合併消滅会社が吸収合併存続会社の特別支配会社であっても、吸収合併による変更の登記の申請書には、吸収合併契約を承認した吸収合併存続会社の株主総会の議事録を添付しなければならない。
オ  新設分割による変更の登記の申請は、新設分割設立会社を代表すべき者が新設分割会社を代表してしなければならない。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 令和4年度 司法書士試験 午後の部 問32 )
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この過去問の解説 (3件)

6

 株式会社の組織再編についての問題です。

 会社法の吸収型組織再編(吸収合併,株式交換,吸収分割),新設型組織再編(新設合併,株式移転,新設分割)についての債権者保護手続の要否,親会社と子会社で異なる手続,株式交付の内容等を復習しておけば,商業登記法の問題も解けるようになります。

選択肢4. ウオ

ア・・正しいです。

 株式移転における債権者保護手続の対象となる債権者は,「新株予約権付社債についての社債権者(株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合)」(会社法810条1項3号)です。

 したがって,株式移転完全子会社が当該新株予約権付社債権者に対して債権者保護手続を行なったことを証する書面を添付する必要があります(商業登記法90条7号)。

イ・・正しいです。

 株式交付は,株式交換と募集株式の発行を合体したイメージと言われています。

 株式交付は,基本的に株式交付親会社が行い,株式交付子会社は株式交付の手続を行なうことはありません

 

 株式交付計画は,株式交付親会社が作成します(会社法774条の2後段,774条の3第1項)。

 それに伴って,株式交付による株式交付親会社の変更登記では,株式交付計画書を添付する必要があります(商業登記法90条の2第1号)。 

ウ・・誤りです。

 株式交換契約書については,株式交換完全親会社がする株式交換による変更登記に添付します(商業登記法89条1号)。

 株式交換子会社がする登記には,委任状を除き,必要ありません(商業登記法91条3項,1項)。 

エ・・正しいです。

 原則:吸収合併存続株式会社は,株主総会の決議で吸収合併契約の承認を得る必要があります(会社法795条1項)。

 ↓ 

 例外:吸収合併消滅株式会社が吸収合併存続株式会社の特別支配会社である場合,株主総会の承認は不要です(会社法796条1項)。

 ↓ 

 (再例外)

 もっとも,吸収合併消滅株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が

①吸収合併存続株式会社の譲渡制限株式であり,

  かつ 

②吸収合併存続株式会社が公開会社でないとき

は,株主総会の決議によって承認を受ける必要があります(同条1項ただし書)。

 本肢は,会社法796条1項ただし書の場合に該当することから,吸収合併を承認した吸収合併存続株式会社の株主総会議事録を添付する必要があります(商業登記法46条2項)。 

 

 なお,この「吸収合併存続株式会社の譲渡制限株式かつ同会社が非公開会社」の場合は,吸収合併存続株式会社の株主総会による決議が必要という問題はよく出題されるので,間違えた方はこれを機会に覚えておくといいでしょう(特に本肢の解説の赤字部分)。 

オ・・誤りです。

 新設分割の場合に,新設分割設立株式会社が新設分割株式会社の分まで代表して登記を行なうという規定はありません(商業登記法87条参照)。

 これは,合併消滅する場合と異なり,新設分割を行なっても会社が消滅するわけではないからです

 新設分割では,新設分割株式会社について変更登記,新設分割設立株式会社について設立登記をそれぞれ申請します(会社法924条1項)。 

 したがって,新設分割株式会社の代表者は,新設分割株式会社を代表して変更登記を申請することになります(商業登記法47条1項)。 

 なお,新設分割設立株式会社は,前述のとおり,設立登記を申請することになります

(会社法924条1項)。 

まとめ

 以上から,誤りは,ウとオになります。 

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1

商業登記法(組織再編)に関する問題です。

組織再編の分野は、商業登記法の分野でも最も難しい論点の一つです。ここを確実に得点できるようにしておけば、合格が見えてきます。

選択肢4. ウオ

(ア)株式移転に際して、株式移転完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該株式移転設立完全親会社の新株予約権を交付する場合において、株式移転完全子会社の新株予約権が新株予約権社債に付された新株予約権であるときは、株式移転完全子会社において、債権者保護手続きが必要になります。よって、この場合は、株式移転による設立登記に際して、債権者保護手続きを行ったことを証する書面が必要になりまます。従って、本肢は正しいです。

(イ)商業登記法第90条の2は「株式交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」と規定し、次の書面を規定するその第1号は「株式交付計画書」と規定しています。従って、本肢は正しいです。

(ウ)株式交換完全子会社または株式移転完全子会社がする株式交換又は株式移転による新株予約権の変更登記による登記申請書には、委任状を除き、それ以外の添付書類は不要です。従って、本肢は誤りです。

(エ)吸収合併存続会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって吸収合併契約の承認を受けなくてはなりませんが、吸収合併消滅会社が当該吸収合併存続会社の特別支配会社である場合は、この規定は適用されません。ただし、この場合であっても、吸収合併消滅会社の株主に対して交付する対価の全部または一部が、公開会社でない吸収合併存続会社の譲渡制限株式である場合は、原則のとおり、当該吸収合併存続会社の株主総会の決議により吸収合併契約の承認が必要です。従って、本肢は正しいです。

(オ)新設分割により設立する新設分割設立会社の設立登記は、新設分割設立会社を代表すべきものが申請しなくてはなりませんが、新設分割会社が行う新設分割による変更登記は、新設分割会社を代表する者が行います。従って、本肢は誤りです。

まとめ

(オ)についてですが、新設分割による設立登記であれば、新設分割により設立する会社を代表すべきものが行いますが、新設分割の変更登記は、新設分割会社を代表する者が行います。新設分割による変更登記と、新設分割による設立登記をすり替えたひっかけ問題です。

1

組織再編の登記に関する問題です。

選択肢4. ウオ

アは正しいです。

株式移転完全子会社の新株予約権付社債の社債権者に不利にならないように債権者保護手続きをする必要があります。

この場合は債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければなりません。

イは正しいです。

株式交付は最近できた制度です。

株式会社が株式交付をするのは株式交付親会社が株式交付計画を作成しなければなりません。

ですので株式交付親会社の株式交付計画書が添付書類になります。

ウは誤りです。

株式交付計画契約書は株式交換完全親会社が登記する際に添付する必要があります。子会社の方の登記には添付する必要はありません。

エは正しいです。

吸収合存続会社が非公開会社で吸収合併消滅会社の株式会社に交付する金銭等の全部が譲渡制限付き株式である場合、存続会社で特別決議が必要になるので株主総会決議が必要になります。

これは募集株式の発行で非公開会社が第三者割り当てをするのと同じようなことだからです。

オは誤りです。

新設分割による変更登記は新設分割会社の代表が新設分割株式会社の代表として登記する必要があります。

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