司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問33
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問33 (訂正依頼・報告はこちら)
解散した株式会社(特例有限会社を除く。)に係る登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 株主総会の決議により、会社を解散するとともに、最初の清算人1名を選任した場合は、清算人の登記の申請書には、当該清算人が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない。
イ 会社法上の公開会社でない監査役を置いている清算会社(解散の時に大会社であったものを除く。)が、全部の株式について株式譲渡制限の定めの廃止による変更の登記をするときは、監査役の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。
ウ 会計監査人設置会社が株主総会の決議により解散した場合は、解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。
エ 休眠会社のみなし解散による解散の登記がされた会社において、当該解散の時における取締役Aが清算人となるときは、当該解散後に株主総会の決議により選任した清算人Bの就任の登記の前提として、当該解散の時における取締役Aが清算人となった旨の登記の申請をしなければならない。
オ 清算会社が清算結了の登記の申請をする場合は、当該清算結了の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。
ア 株主総会の決議により、会社を解散するとともに、最初の清算人1名を選任した場合は、清算人の登記の申請書には、当該清算人が就任を承諾したことを証する書面に押印された印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない。
イ 会社法上の公開会社でない監査役を置いている清算会社(解散の時に大会社であったものを除く。)が、全部の株式について株式譲渡制限の定めの廃止による変更の登記をするときは、監査役の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。
ウ 会計監査人設置会社が株主総会の決議により解散した場合は、解散の登記の申請と同時に、会計監査人設置会社の定めの廃止及び会計監査人の任期満了による退任の登記の申請をしなければならない。
エ 休眠会社のみなし解散による解散の登記がされた会社において、当該解散の時における取締役Aが清算人となるときは、当該解散後に株主総会の決議により選任した清算人Bの就任の登記の前提として、当該解散の時における取締役Aが清算人となった旨の登記の申請をしなければならない。
オ 清算会社が清算結了の登記の申請をする場合は、当該清算結了の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
株式会社の清算に伴う手続についての問題です。
前提知識として会社法の清算の項目に目を通しておくことが必要です。
ア・・正しいです。
清算株式会社の場合,株式会社の就任承諾書に係る商業登記規則61条4項及び5項の規定は適用されません(昭和43年2月16日民事甲303号通達,商業登記規則61条4項,5項参照)。
清算の場合は,就任承諾書が不要と覚えておけばいいと思います。
イ・・誤りです。
清算株式会社では,任期という概念がないので,通常の株式会社の監査役の任期に関する会社法の規定は適用がありません(会社法480条2項,336条2項)。
そして,清算株式会社の監査役は,
①監査役設置会社の定めを廃止する定款の変更
又は
②監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合
には,定款の変更の効力が生じたときに退任します(会社法480条1項)。
しかし,譲渡制限株式の定めを廃止する定款の変更を行なって公開会社になっても,監査役は退任しません(会社法336条4項4号参照)。
したがって,本肢の場合は,監査役の退任による変更登記の申請は不要です。
ウ・・誤りです。
会計監査人設置会社について解散の登記をしたときは,登記官が職権で,会計監査人設置会社である旨の登記及び会計監査人に関する登記を抹消します(商業登記規則72条1項4号)。
したがって,本肢では,変更登記の申請は不要です。
エ・・正しいです。
休眠会社が解散したものとみなされた場合には,定款に別段の定めがある場合を除き,解散したとみなされたときの取締役であった者が清算人になります(法定清算人,会社法478条1項1号)。
したがって,清算人が法律の規定によって就任しているので,法定清算人が就任した登記を最初に行なう必要があります。
そして,法定清算人から別の清算人に変更になった場合には,清算人の変更登記を行なう必要があります。
本肢では,法定清算人Aが就任しているので,清算人Aの就任登記を行ない,それに続いて,清算人をAからBに変更する登記を行なうことになります。
そうすると,清算人Bの就任登記の前提として,清算人Aの就任登記を申請する必要があります。
オ・・誤りです。
株式会社の清算結了の登記の申請書には,株主総会議事録と決算報告書を添付すれば良いので,債権者保護手続を行なったことを証する書面の添付は不要です。
株式会社の清算の手続について説明します。
株式会社は清算をすることになった場合,清算株式会社は,遅滞なく,当該会社の債権者に対し,2か月以上の一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し,かつ,知れている債権者には,各別に催告しなければなりません(会社法499条1項,475条)。
↓
清算事務が終了したら,清算株式会社は,遅滞なく,決算報告を作成し,株主総会の承認を得ないといけません(会社法507条1項,3項)。
↓
清算結了の登記
という順番に行ないます。
なお,清算結了の登記は,
事由 「清算結了」
登記すべき事項「年月日清算結了」
登録免許税「金2000円」
添付書面 株主総会議事録(及び決算報告書:ちなみに清算人会議事録は添付不要)
株主リスト
委任状
という内容になります。
以上から,アとエが正しいということになります。
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02
商業登記法(解散した株式会社に係る登記)に関する問題です。司法書士試験における会社の解散に関する問題は、たいてい平易な問題が出題されますが、出題頻度が高いので、学習を疎かにできません。
(ア)株式会社の清算人の登記の申請書に、申請人の就任承諾書に押印された印鑑について、市区町村の証明書を添付すべき旨の規定はありません。従って、本肢は正しいです。
(イ)清算株式会社の監査役については、会社法の監査役の任期に関する規定は適用されません。公開会社でない清算株式会社が、株式の譲渡制限の定めを廃止して公開会社になったとしても、その監査役の任期は満了しません。従って、本肢は誤りです。
(ウ)会計監査人を置いていた会社が解散したときは、会計監査人設置会社である旨の登記及び会計監査人の登記を抹消する記号が、職権で登記されます。従って、本肢は正しいです。
(エ)休眠会社のみなし解散により解散したとみなされる株式会社については、定款に別段の定めがある場合を除き、解散したものとみなされた時に、取締役であったものが、清算人(法定清算人)となります。よって、解散後の株主総会における清算人の選任は、清算人の変更登記となるので、その前提として、法定清算人の就任及び退任登記を行います。従って、本肢は正しいです。
(オ)清算決了の登記申請においては、債権者保護手続きを行ったことを証する書面は添付書類とされていません。従って、本肢は誤りです。
(ア)が非常に簡単で、ボーナス枝です。(ア)が正しいことが分かれば、(ウ)が誤りか、(エ)が正しいことを判断できれば、この問題は正解できます。
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03
清算登記に関する問題です。
アは正しいです。
清算人の登記には就任承諾書は必要はありません。
イは誤りです。
清算会社の監査役は株式の譲渡制限の定めの廃止の登記をしたとしても退任することはありません。
清算会社の監査役は
監査役設置会社の定めの廃止
または
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めの廃止の登記をする場合のみ監査役は退任になります。
ウは誤りです。
会計感化人設置会社が解散登記した場合は会計監査人設置会社の定め及び会計監査人の任期満了による退任の登記は登記官が職権で登記するので登記する必要はありません。
エは正しいです。
休眠会社のみなし解散登記の際の解散の時における取締役Aが清算人となるときは、当該解散後に株主総会の決議により選任した清算人Bの就任の登記の前提として、当該解散の時における取締役Aが清算人となった旨の登記の申請が必要になります。
これは取締役Aは法定清算人として就任しているのでAからBに変更したという清算人変更登記が必要になります。
オは誤りです。
手続として債権者保護手続きは必要にはなりますが
清算決了の登記の際の添付書類は
株主総会議事録
株主リスト
委任状
なので債権者保護手続きをしたことを証する書面は必要はありません。
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