司法書士の過去問
令和5年度
午後の部 問18
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問題
令和5年度 司法書士試験 午後の部 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
共有の不動産に係る登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア A及びBが所有権の登記名義人である甲土地をAが単独で取得し、Aが所有権の登記名義人である乙土地をBが単独で取得する共有物分割の協議により甲土地の登記を申請する場合の登記原因は、共有物分割による交換である。
イ 所有権の登記がない建物の表題部所有者であるA及びBが、当該建物について所有権の保存の登記を申請する場合には、当該登記の申請情報と同一の申請情報により共有物の分割をしない旨の定めの登記を申請することができない。
ウ A及びBが所有権の登記名義人である甲土地について、Aが自己の持分をCに売却した後にBが自己の持分を放棄した場合には、AからCへの持分の移転の登記をする前であっても、持分放棄を登記原因とするBからCへの持分の移転の登記を申請することができる。
エ 甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡し、Aの法定相続人であるB及びCがそれぞれ自己の相続分をAの相続人でないDに贈与した場合には、相続分の贈与を登記原因として直接AからDへの所有権の移転の登記を申請することができる。
オ A及びBが所有権の登記名義人である甲土地のAの持分に対してCを債権者とする差押えの登記がされている場合において、A及びBが、Dに対して、同一の売買契約に基づいて、同一の日に甲土地のそれぞれの持分を売却したときであっても、A及び BからDへの共有者全員の持分の全部の移転の登記は、一の申請情報により申請することはできない。
ア A及びBが所有権の登記名義人である甲土地をAが単独で取得し、Aが所有権の登記名義人である乙土地をBが単独で取得する共有物分割の協議により甲土地の登記を申請する場合の登記原因は、共有物分割による交換である。
イ 所有権の登記がない建物の表題部所有者であるA及びBが、当該建物について所有権の保存の登記を申請する場合には、当該登記の申請情報と同一の申請情報により共有物の分割をしない旨の定めの登記を申請することができない。
ウ A及びBが所有権の登記名義人である甲土地について、Aが自己の持分をCに売却した後にBが自己の持分を放棄した場合には、AからCへの持分の移転の登記をする前であっても、持分放棄を登記原因とするBからCへの持分の移転の登記を申請することができる。
エ 甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡し、Aの法定相続人であるB及びCがそれぞれ自己の相続分をAの相続人でないDに贈与した場合には、相続分の贈与を登記原因として直接AからDへの所有権の移転の登記を申請することができる。
オ A及びBが所有権の登記名義人である甲土地のAの持分に対してCを債権者とする差押えの登記がされている場合において、A及びBが、Dに対して、同一の売買契約に基づいて、同一の日に甲土地のそれぞれの持分を売却したときであっても、A及び BからDへの共有者全員の持分の全部の移転の登記は、一の申請情報により申請することはできない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (1件)
01
不動産登記法(共有の不動産の登記)に関する問題です。共有物の分割に関する論点は、実務でも大変重要になっています。
(ア)A及びBが所有権登記名義人である甲土地をAの単独所有とし、Aが所有権登記名義人である乙土地をBが単独で所有する共有物分割協議が成立した場合は、甲土地については共有物分割を登記原因とする持分移転登記を申請し、乙土地については、共有分割による交換を登記原因として、所有権移転登記を申請します。本肢は、甲土地の申請の登記原因を「共有物分割による交換」と記述しているため、誤りです。
(イ)所有権の登記がない建物について、その表題部所有者A及びBが保存登記と、共有物分割しない旨の定めの登記を一の申請情報ですることはできません。その理由は、保存登記はA及びBの単独申請、共有物を分割しない旨の定めは共有者全員からの共同申請で、申請方式が異なるからです。従って、本肢は正しいです。
(ウ)A及びBの共有名義の土地について、実体上はCがAから持分を譲り受けているが登記が未了である場合、Bが持分を放棄したとしても、BからCへの持分移転登記はできません。登記名義人でないCに移転登記を行うことはあり得ないからです。従って、本肢は誤りです。
(エ)甲土地の所有権登記名義人であるAが死亡し、Aの法定相続人がB及びCである場合に、B及びCがDに対して相続分を譲渡した場合は、一度Aから相続登記によりBCに名義変更をしたうえで、BCからDに対して持分全部移転登記を行うことになります。Aから直接Dに所有権移転登登記を行うことはできません。従って、本肢は誤りです。
(オ)A及びBの共有名義の土地について、A持分について差押えの登記がされている場合は、A及びBがDに対して同日に持分を全部を売却した場合でも、A及びBの、Dに対する持分全部移転の登記は一の申請情報ですることはできません。A持分に差押え登記が入っているためです。従って、本肢は正しいです。
本問題で問われている論点は基礎的なものが多く、問題文もそれほど長文ではなかったため、解きやすい問題だったと思います。こういった問題は確実に得点しなくてはなりません。
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