公認心理師の過去問 第2回(2019年) 午前 問30
この過去問の解説 (3件)
緊張病は、DSM-5において、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群に分類される疾患です。
具体的には、興奮・昏迷を基本として、①カタレプシー(同じ姿勢を固持する)、②反響言語(相手の言葉をオウム返しする)、③反響動作(相手の動作を反復する)、④常同症(同じ動作をつづける)、⑤拒絶症(態度や行動で拒否を示す)、⑥無言など、特徴的な症状を示します。
以上により、正解は1となります。
2:途絶は、統合失調症に特徴的な症状で、話の流れの突然の停止を指します。
3:観念奔逸は、躁病に特徴的な症状で、次々とアイデアが浮かぶものの、話があちこちに逸れるため、全体としてまとまりがなくなることを指します。
4:情動麻痺は、地震や火事といった突発的な出来事の後で、感情表現が出来なくなることを指します。
5:カタプレキシーは情動脱力発作とも言われ、過度の感情の高ぶりによって、全身あるいは膝や腰、あご、まぶたなどの筋力が抜けてしまう発作のことです。
正解は1です。
「緊張病」は、「カタトニア」とも呼ばれます。長時間動きが止まってしまう、動作が遅くなってしまう、同じ動作を繰り返してしまう、自発的な動きができなくなるといった体の動きが低下する症状を起こす症候群のことを指します。
緊張病は、DSM-5になって新たに追加された疾患名です。統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の中に分類されています。
以下の特徴のうち、3つ以上がある場合に、「緊張症」と診断されます。
① 昏迷(精神運動性の活動がない。周囲と活動的なつながりがない。)
② カタレプシー(受動的にとらされた姿勢を重力に抗したまま保持する。)
③ 蝋屈症(検査者に姿勢をとらされることを無視し、抵抗さえする。)
④ 無言症(言語反応がないか、ごくわずかしかない。既知の失語症があれば除外。)
⑤ 拒絶症(指示や外的刺激に対して反対する、または反応がない。)
⑥ 姿勢保持(重力に抗して姿勢を自発的・能動的に維持する。)
⑦ わざとらしさ
⑧ 常同症(反復的で異常な頻度の、目標指向のない運動。)
⑨ 外的な刺激が影響によらない興奮
⑩ しかめ面
⑪ 反響言語(他者の言葉の真似をする)
⑫ 反響動作(他者の動作の真似をする)
(https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/catatonia-%e7%b7%8a%e5%bc%b5%e7%97%85%e3%81%a8%e3%81%af/ 緊張病・カタトニアとは|心療内科|ひだまりこころクリニック)
1.→「昏迷」は、緊張症の症状に入っていますので、1は正解です。
2.→「(思考)途絶」とは、思考の流れが突然中断してしまうことを指します。
これは統合失調症でみられる症状です。緊張症の症状にはありませんので、2は誤りです。
3.→「観念奔逸」とは、考えが次から次へと飛んでまとまらないことを指します。
これは双極性障害の躁状態の症状であり、緊張症の症状ではありません。よって、3は誤りです。
4.→「情動麻痺」とは、ショックにより悲しみや喜びなどが表現不能になった状態を指します。
統合失調症や器質性精神障害でみられる症状です。緊張症の症状ではありません。よって、4は誤りです。
5.→「カタプレキシー」とは、喜怒哀楽、恐れや羞恥といった過度の情動刺激(感情の高ぶり)により発生する発作症状を指します。情動脱力発作ともいわれます。
これはナルコレプシーの患者が併発することが多い症状です。カタレプシーと紛らわしいですが、5は緊張症の症状ではありませんので、誤りです。
正解は1です。
DSM-5において、緊張病は、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の中に分類されています。
そして、以下の症状のうち、3つ以上が優位であるとされています。
① カタレプシー、②蝋屈症、③昏迷、④焦燥
⑤無言、⑥拒絶症、⑦不自然な姿勢、⑧衒奇症、
⑨常同症、⑩しかめ面、⑪反響言語、⑫反響動
各選択肢については、以下の通りです。
1→昏迷は緊張病の症状に当てはまります。
よって選択肢は、正しいです。
2→途絶は緊張病の症状に当てはまりません。
よって選択肢は、誤りです。
3→観念逸脱は緊張病の症状に当てはまりません。
よって選択肢は、誤りです。
4→情動麻痺は緊張病の症状に当てはまりません。
よって選択肢は、誤りです。
5→カタプレキシーは緊張病の症状に当てはまりません。
よって選択肢は、誤りです。
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