公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問77

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問77 (訂正依頼・報告はこちら)

9歳の男児 A、小学3年生。Aの両親はけんかが絶えず、父親からの母子に対する暴力のため警察が出動することもあり、要保護児童対策協議会で支援が検討されていた。ある日、Aが提出したテストの余白に、「しばらく前にママがいなくなりました。たすけてください」との記述を担任教師が発見した。これを受けて学校は直ちに、管理職、学年主任、担任教師、スクールカウンセラーなどを交えて対応を検討し、担任教師が Aに声掛けをするとともに、市の虐待対応担当課に通告することになった。
この状況における学校の対応として、適切なものを2つ選べ。
  • 記述の内容について、Aの父親に確認する。
  • 通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録する。
  • 声掛けの際には、Aが SOSを出すことができた力を支持する。
  • 担任教師が Aに声掛けした後、管理職が現状を Aに詳細に確認する。
  • 声掛けの際には、Aの発言内容は誰にも言わないことを Aに保証する。

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この過去問の解説 (2件)

01

9歳の男児Aが提出したテスト用紙の余白に「しばらく前にママがいなくなりました。たすけてください」との記述があったため、学校が対応を検討しました。

Aの両親はけんかが絶えず、警察が出動することもあるほどであり、要保護児童対策協議会で支援が検討されていました。このような事情から、学校は適切な対応が求められます。

選択肢1. 記述の内容について、Aの父親に確認する。

記述の内容について、Aの父親に確認することは適切ではありません。Aの両親の間には暴力があり、Aが虐待を受けている可能性があるため、Aの安全を最優先に考える必要があります。

選択肢2. 通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録する。

通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録することが適切です。学校がどのような経緯で通告に至ったかを正確に記録することで、後から確認する際にも役立ちます。

選択肢3. 声掛けの際には、Aが SOSを出すことができた力を支持する。

声掛けの際には、AがSOSを出すことができた力を支持することが適切です。Aが虐待を受けている可能性があるため、声掛けをする際にはAが安心して相談できるように、支援することが必要です。

選択肢4. 担任教師が Aに声掛けした後、管理職が現状を Aに詳細に確認する。

担任教師がAに声掛けした後、管理職が現状をAに詳細に確認することは不適切です。管理職ではなく専門的な機関が行うべきです。

選択肢5. 声掛けの際には、Aの発言内容は誰にも言わないことを Aに保証する。

Aが暴力を受けている可能性があるため、市の虐待担当課に通告する必要があるためすべての発言を伝えないことを約束するのは不自然です。

まとめ

学校が適切な対応をするためには、Aの安全を最優先に考え、事実関係を正確に記録し、Aが安心して相談できる環境を整えることが必要です。

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02

この問題の正解は、

通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録する。 と 

声掛けの際には、Aが SOSを出すことができた力を支持する。 です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. 記述の内容について、Aの父親に確認する。

誤りです。

警察が出動することもあり、要保護児童対策協議会で支援が検討されていた”や児童本人から助けてほしいとの要請があったという事態から確認によってAに危険が及ぶ可能性もあり、保護者への確認を待たずに虐待対応担当課に通告することは妥当と考えられます。

選択肢2. 通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録する。

正解です。

本問の状況から、緊急の対応を行っていることがわかります。

したがって、後に詳細を聴取される場合を想定して事実関係を具体的に記録することは必要と考えられます。

選択肢3. 声掛けの際には、Aが SOSを出すことができた力を支持する。

正解です。

Aの対応を肯定することは、Aに正しいことをしたという安心感や教職員が味方であるという意識を与えることができ、心理負担を減らすために適切といえます。

選択肢4. 担任教師が Aに声掛けした後、管理職が現状を Aに詳細に確認する。

誤りです。

Aへの確認は学校の管理職ではなく、専門的な機関が実施します。

選択肢5. 声掛けの際には、Aの発言内容は誰にも言わないことを Aに保証する。

誤りです。

虐待に関する聴取などのためにAの発言を伝える必要があり、このような保証はするべきでないといえます。

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