公認心理師 過去問
第5回(2022年)
問153 (午後 問76)

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問題

公認心理師試験 第5回(2022年) 問153(午後 問76) (訂正依頼・報告はこちら)

30歳の男性 A、中学2年生の担任教師。Aは、担任をしている男子生徒 Bから、中学1年生の初めての定期テストで、テストの成績が悪かったことについて相談を受けた。その際、「準備不足だったかな」と伝え、Bを励ました。その後も、Aは Bを同様に励まし続け、Bも努力を続けていたが、成績が下がってきている。
原因帰属の観点から、Aの Bへの言葉掛けとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • 上手くいかなかったのは、問題が難しかったからかもしれないね。
  • 上手くいかなかったのは、努力がまだまだ足りなかったからかもしれないね。
  • 上手くいかなかったのは、勉強方法が合っていなかったからかもしれないね。
  • 上手くいかなかったのは、予想していなかった問題が出題されたからかもしれないね。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題では、30歳の男性 A が、中学2年生の担任教師として、中学1年生の男子生徒 B から成績不振に関する相談を受けた場合の適切な対応について考えます。学習の原因帰属としては学習者の努力で変えうる要因に原因を見出すことで学習者の意欲が増すと考えられます。

選択肢1. 上手くいかなかったのは、問題が難しかったからかもしれないね。

この回答は、問題の難易度に原因を求めるものです。しかし、この回答は B の努力を否定してしまうことになります。また、問題の難易度というBの努力では変えうることができないことに原因を見出していると考えられます。よって、この回答は適切ではありません。

選択肢2. 上手くいかなかったのは、努力がまだまだ足りなかったからかもしれないね。

この回答は、B の努力不足に原因を求めるものです。しかし、B が努力していることを考えると、この回答も適切ではありません。また、この回答が B に対してモチベーションダウンにつながる可能性があります

選択肢3. 上手くいかなかったのは、勉強方法が合っていなかったからかもしれないね。

この回答は、最も適切なものです。勉強方法が合っていない場合、どんなに努力しても成績が振るわないことがあります。この回答は、B の努力を肯定しつつ、次回からは勉強方法を見直すことを提案するものです。

選択肢4. 上手くいかなかったのは、予想していなかった問題が出題されたからかもしれないね。

この回答は、問題の出題形式に原因を求めるものです。しかし、この回答は B の努力や勉強方法には関係がありません。また、次回同じような問題が出た場合でも同じように成績が振るわないと考えられます。よって、この回答は適切ではありません。

まとめ

中学生の成績不振に対して、原因帰属の観点から最も適切なアプローチは、勉強方法に問題がある場合には、努力を肯定しつつ勉強方法を改善することです。このような対応が、生徒のモチベーションを維持し、成績向上につながると考えられます。

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02

この問題の正解は、上手くいかなかったのは、勉強方法が合っていなかったからかもしれないね。 です。

選択肢1. 上手くいかなかったのは、問題が難しかったからかもしれないね。

誤りです。

問題という本人が制御できないものに原因帰属しており、アドバイスとして不適切です。

選択肢2. 上手くいかなかったのは、努力がまだまだ足りなかったからかもしれないね。

誤りです。

問題においては既に準備不足による可能性という原因帰属がなされており、重ねてそれを伝えることはアドバイスとして不適切といえます。

選択肢3. 上手くいかなかったのは、勉強方法が合っていなかったからかもしれないね。

原因帰属とは、ある人物(本問ではB)の行動の原因や理由を推測することです。

本問について、原因帰属の観点から、”テストの成績が悪い”という事態に対してBの行動に関する原因を指摘することが求められています。

正解の選択肢では、努力という行動をしているBに対して”その方法があってないのではないか”と原因を推測しており、題意に適しています。

選択肢4. 上手くいかなかったのは、予想していなかった問題が出題されたからかもしれないね。

誤りです。

問題という本人が制御できないものに原因帰属しており、アドバイスとして不適切です。

参考になった数3

03

正解は「上手くいかなかったのは、勉強方法があっていなかったからかもしれないね」です。

Weiner.B(ワイナー)の原因帰属理論に関する設問です。ワイナーは個人の課題達成が成功/失敗するかに関する原因帰属スタイルを提唱しています。

統制の所在(内的/外的);原因が個人の中にあるか、外にあるか

安定性(安定/不安定)︰原因となることが一時的なものか、そうでないか

統制可能性(統制可能/統制不可能)︰原因がコントロールできるものか、否か

上記3つについて、それぞれどこに当てはまるのかにより、その後の行動や動機づけに影響を及ぼす、という考え方です。

設問では、課題達成ができなかったことを「準備不足だったかな」と、すでに一度「本人の努力」に原因帰属をしています。その上で、同様の動機づけをしても効果が出ていないことから、効果的な動機づけとなる声かけを選択する必要があります。

選択肢1. 上手くいかなかったのは、問題が難しかったからかもしれないね。

不適切です。「問題が難しかったからかもしれないね」の声かけは「問題が難しかった」=「外的」「安定」「統制不可能」と原因帰属させます。統制不可能なことへの声かけは、本人の諦めに繋がってしまいます。

選択肢2. 上手くいかなかったのは、努力がまだまだ足りなかったからかもしれないね。

不適切です。「まだまだ努力が足りなかったからかもしれないね」の声かけは、「本人の努力不足」=「内的」「安定」「統制不可能」と原因帰属させます。既に同様の声かけをしているにも関わらず成功していないことから、意欲を失ってしまう可能性があります。

選択肢3. 上手くいかなかったのは、勉強方法が合っていなかったからかもしれないね。

適切です。「勉強方法があっていなかったからかもしれないね」の声かけは、「内的」「不安定」「統制可能」と原因帰属させます。勉強方法を変えるという別の方法を試みることにより、本人の努力により統制可能と意識づけられることから、適切であると言えます。

選択肢4. 上手くいかなかったのは、予想していなかった問題が出題されたからかもしれないね。

不適切です。「予想していなかった問題が出題されたからかもしれないね」の声かけは、「外的」「不安定」「統制不可能」と原因帰属させます。「運が悪かった」から仕方がない、ととれる内容ですが、自身の意欲や成功に繋がる声かけとしては適切ではありません。

まとめ

課題達成に関しては「成功したか」「失敗したか」のいずれかにより、効果的な動機づけの方法は変わってきます。

成功」した場合には「内的」「安定」「統制可能」と原因帰属させると、自身の能力への期待から更なる成功への意欲を増すとされています。「失敗」した場合には「内的」「不安定」「統制可能」と原因帰属させると、今回は失敗したものの努力次第では成功できる、と次の成功への意欲を増すとされています。

また、統制不可能な原因帰属をすることは、自分の力では達成ができない、と動機づけの観点では今後の意欲には繋がりません。

上記の基本的なWeiner.B(ワイナー)の原因帰属理論については理解しておきましょう。

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