測量士補 過去問
令和6年度(2024年)
問9

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問題

測量士補試験 令和6年度(2024年) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、GNSS測量機を用いた基準点測量における誤差やその軽減方法について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
  • GNSS衛星から発信される電波がGNSS測量機周辺の構造物等に反射してGNSS測量機に届くことにより、誤差が大きくなることがある。
  • 二重位相差を用いた基線解析により、GNSS衛星の時計とGNSS測量機の時計の精度の違いにより生じる時計誤差を消去することができる。
  • PCV補正を行うことにより、入射角に依存して電波の受信位置が変化することによる影響を軽減することができる。
  • 電子基準点のみを既知点としたGNSS測量機を用いた基準点測量を行う場合にセミ・ダイナミック補正を行う必要があるのは、地殻変動によるひずみの影響で生じる新点の成果と近傍の既設点の成果との不整合を軽減するためである。
  • 2周波で基線解析を行うことにより、対流圏の影響による誤差を軽減することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、GNSSの誤差消去に関する問題となります。

 

 

選択肢1. GNSS衛星から発信される電波がGNSS測量機周辺の構造物等に反射してGNSS測量機に届くことにより、誤差が大きくなることがある。

正しいです。

GNSSは構造物や高い建物が近くに存在する、または空の上空視界が開けていないと、

GNSS信号が反射・回折して測位精度が低下する可能性があります。

このような現象をマルチパスと言います。

 

選択肢2. 二重位相差を用いた基線解析により、GNSS衛星の時計とGNSS測量機の時計の精度の違いにより生じる時計誤差を消去することができる。

正しいです。

 

選択肢3. PCV補正を行うことにより、入射角に依存して電波の受信位置が変化することによる影響を軽減することができる。

正しいです。

国土地理院のWebにPCV補正について記述がありますので参照ください。

選択肢4. 電子基準点のみを既知点としたGNSS測量機を用いた基準点測量を行う場合にセミ・ダイナミック補正を行う必要があるのは、地殻変動によるひずみの影響で生じる新点の成果と近傍の既設点の成果との不整合を軽減するためである。

正しいです。

 

地殻変動には、プレート運動に伴い徐々に進行するものや、

地震や火山活動で急になるものがあります。
その結果、過去の測量成果と現在の誤差が発生します。

この誤差を補正するのが、セミ・ダイナミック補正です。

選択肢5. 2周波で基線解析を行うことにより、対流圏の影響による誤差を軽減することができる。

誤りです。

2周波による基線解析で軽減されるのは、電離層の誤差になります。

まとめ

GNSSの特性、または誤差を消去するような問題も比較的多く

見られますので、確認しておきましょう。

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02

以下、回答です。

選択肢1. GNSS衛星から発信される電波がGNSS測量機周辺の構造物等に反射してGNSS測量機に届くことにより、誤差が大きくなることがある。

正しい内容のため、不正答。

選択肢2. 二重位相差を用いた基線解析により、GNSS衛星の時計とGNSS測量機の時計の精度の違いにより生じる時計誤差を消去することができる。

正しい内容のため、不正答。

選択肢3. PCV補正を行うことにより、入射角に依存して電波の受信位置が変化することによる影響を軽減することができる。

正しい内容のため、不正答。

選択肢4. 電子基準点のみを既知点としたGNSS測量機を用いた基準点測量を行う場合にセミ・ダイナミック補正を行う必要があるのは、地殻変動によるひずみの影響で生じる新点の成果と近傍の既設点の成果との不整合を軽減するためである。

正しい内容のため、不正答。

選択肢5. 2周波で基線解析を行うことにより、対流圏の影響による誤差を軽減することができる。

2周波で基線解析を行うことにより、対流圏ではなく電離層の影響による誤差を軽減することができます。

よって正答。

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03

各選択肢についてGNSS測量に関する誤差や補正の知識から正誤を判定します。

選択肢1. GNSS衛星から発信される電波がGNSS測量機周辺の構造物等に反射してGNSS測量機に届くことにより、誤差が大きくなることがある。

不正答です。

これは「マルチパス誤差」と呼ばれ、建物や地表などでの反射波が直接波に加わり、誤差の主な原因の一つです。

選択肢2. 二重位相差を用いた基線解析により、GNSS衛星の時計とGNSS測量機の時計の精度の違いにより生じる時計誤差を消去することができる。

不正答です。

二重差分法(二重位相差)は、衛星間・受信機間の位相差を計算することで、衛星クロック誤差や受信機クロック誤差を相殺可能です。

選択肢3. PCV補正を行うことにより、入射角に依存して電波の受信位置が変化することによる影響を軽減することができる。

不正答です。

PCV(アンテナ位相中心変動)補正は、異なる入射角によるアンテナの受信点のズレを補正し、測位精度を向上させます。

選択肢4. 電子基準点のみを既知点としたGNSS測量機を用いた基準点測量を行う場合にセミ・ダイナミック補正を行う必要があるのは、地殻変動によるひずみの影響で生じる新点の成果と近傍の既設点の成果との不整合を軽減するためである。

不正答です。

地殻変動の影響により、電子基準点(今期)と既設点(元期)との間に座標値の不整合が生じます。セミ・ダイナミック補正は、そのずれを軽減するために適用されます。

選択肢5. 2周波で基線解析を行うことにより、対流圏の影響による誤差を軽減することができる。

正答です。

2周波を用いることで消去・軽減できるのは「電離層の遅延誤差」であり、対流圏遅延には周波数依存性がないため、2周波での基線解析では対流圏の誤差を軽減することはできません。対流圏補正はモデル等で対応します。

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