第一種電気工事士の過去問
平成30年度(2018年)(追加試験分)
一般問題 問17

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問題

第一種 電気工事士試験 平成30年度(2018年)(追加試験分) 一般問題 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

送電線に関する記述として、誤っているものは。
  • 同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。
  • 長距離送電の場合、無負荷や軽負荷の場合には受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる場合がある。
  • 直流送電は、長距離・大電力送電に適しているが、送電端、受電端にそれぞれ交直変換装置が必要となる。
  • 交流電流を流したとき、電線の中心部より外側の方が単位断面積当たりこの電流は大きい。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、様々な送電線についての説明として誤っているのはどれか訊いています。

選択肢1. 同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。

同じ容量の電力を送電する場合、主に電圧と電流の積で決まりますが、送電損失は電流が大きいとその2乗分大きくなるので、基本的に送電電圧は大きくしています。

選択肢2. 長距離送電の場合、無負荷や軽負荷の場合には受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる場合がある。

長距離送電の場合だと電線が長くなり、無負荷や軽負荷の場合に進み電流が発生し、受電端電圧が送電端電圧よりも高くなるフェランチ効果が起こることがあります。

選択肢3. 直流送電は、長距離・大電力送電に適しているが、送電端、受電端にそれぞれ交直変換装置が必要となる。

直流送電は位相差が生じず交流よりも大きい電圧を加えられるため、長距離・大電力送電に適します。この時、交流から直流と直流から交流へ変換する交直変換装置が必要になります。

選択肢4. 交流電流を流したとき、電線の中心部より外側の方が単位断面積当たりこの電流は大きい。

交流電流を流したとき、表皮効果という現象が発生し、電線の中心部より外側の方に電流及び電子が多く流れます。

まとめ

よって正解は、「同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。」になります。

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02

各選択肢を解説していきます。

選択肢1. 同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。

この記述は誤りです。

まず、前提としてより多くの電力を送りたいという事が1つ。

つぎに、多くの電力を送るにはどうするのか、

電力はP=VIですから電圧もしくは電流を大きくすると比例して電力も大きくなります。

ただし、線路損失はPℓ=rI²ですから、

電流が大きくなるとその分損失が多くなってしまう事になります。

ですから、送電において電圧を大きくする事によって損失を少なくしています。

記述を見ると電圧が低いほど損失が小さくなると書かれていますが、

電圧が小さいと同じ電力を送る場合に、

その分電流が大きくなり損失につながります。

選択肢2. 長距離送電の場合、無負荷や軽負荷の場合には受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる場合がある。

この記述は正しいです。

長距離送電路ではフェランチ効果という現象が起こり記述のような現象が起きます。

これは主に対地静電容量などのコンデンサ成分が、

軽負荷時に一時的にコイル成分を上回り進み力率になる事が原因です。

(リアクタンスの値がマイナスになる)

コンデンサの充電電流が流れる事によって、

送電端電圧より受電端電圧の方が大きくなってしまいます。

選択肢3. 直流送電は、長距離・大電力送電に適しているが、送電端、受電端にそれぞれ交直変換装置が必要となる。

この記述は正しいです、

直流送電は長距離・大電力送電に適しています。

これは交流で起こる損失が直流では起こらないからです。

ただし交流・直流を変換する為には変換装置が必要になります。

※こうしてみると直流送電の利点が大きく見えますが、

直流は交流に比べ変圧が難しく変圧時のロスが大きくなってしまいます。

(他にも電流の遮断が難しいなどのデメリットがあります。)

ですからほどんどの送電線路では交流による送電が行われています。

選択肢4. 交流電流を流したとき、電線の中心部より外側の方が単位断面積当たりこの電流は大きい。

この記述は正しいです。

交流電流を流した場合、

電線内部で電磁誘導が起り、

それによって発生する渦電流が、

電線中心部分で電流の流れを妨げる働きが起るため

導体表面付近の方が電流の値が大きくなります。

参考になった数17

03

[ 解答:同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。]

選択肢1. 同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が低いほど送電損失が小さくなる。

■ 電力P,電圧V,電流Iとすると

・I = P / (√3×V×cosθ)が成り立ちます。

つまり、同じ容量の電力を送電する場合、送電電圧が高くなると電流は電圧に反比例して小さくなります。

・電力喪失PL = 3×I^2×rです。

つまり送電電圧が高ければ送電損失(電力喪失)は小さくなります。

→ よって記述は誤りです。

選択肢2. 長距離送電の場合、無負荷や軽負荷の場合には受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる場合がある。

記述は正しいです。

選択肢3. 直流送電は、長距離・大電力送電に適しているが、送電端、受電端にそれぞれ交直変換装置が必要となる。

記述は正しいです。

選択肢4. 交流電流を流したとき、電線の中心部より外側の方が単位断面積当たりこの電流は大きい。

記述は正しいです。

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