第一種電気工事士 過去問
令和4年度(2022年) 午前
問19 (一般問題 問19)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第一種電気工事士試験 令和4年度(2022年) 午前 問19(一般問題 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

送電用変圧器の中性点接地方式に関する記述として、誤っているものは。
  • 非接地方式は、中性点を接地しない方式で、異常電圧が発生しやすい。
  • 直接接地方式は、中性点を導線で接地する方式で、地絡電流が大きい。
  • 抵抗接地方式は、地絡故障時、通信線に対する電磁誘導障害が直接接地方式と比較して大きい。
  • 消弧リアクトル接地方式は、中性点を送電線路の対地静電容量と並列共振するようなリアクトルで接地する方式である。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

送電線路の中性点は接地が行われています。これは過電圧の発生を抑止したり地絡電流を抑止したりと一般的な接地のイメージで差し支えありません。

送電用「変圧器」の中性点接地方式には各選択肢のものがあります。特徴を理解しておきましょう。

選択肢1. 非接地方式は、中性点を接地しない方式で、異常電圧が発生しやすい。

非接地なので、接地をしないということです。当然異常電圧が発生します。(√3倍)

なのでこの選択肢は正しいです。

選択肢2. 直接接地方式は、中性点を導線で接地する方式で、地絡電流が大きい。

直接接地なので、抵抗などをかませず、導線で接地します。当然地絡電流は大きくなりますので、この選択肢は正しくなります(保護継電器を利用します)。

選択肢3. 抵抗接地方式は、地絡故障時、通信線に対する電磁誘導障害が直接接地方式と比較して大きい。

中性点を100~1000[Ω]程度の抵抗で接地します。以下のような特徴があります。

・健全相の対地電圧は上昇する。

・一線地絡電流は小さくなる

・誘導障害は直接接地より小さくなる

なので、この選択肢が誤りです。

選択肢4. 消弧リアクトル接地方式は、中性点を送電線路の対地静電容量と並列共振するようなリアクトルで接地する方式である。

消弧リアクトル方式は説明の通り、中性点を送電線路の対地静電容量と並列共振するようなリアクトル(コイル)で接地する方式です。

共振するので地絡電流はゼロになり、自然消弧します。従って、線路や危機に与える影響が少なくなりますが、効果かつ調整が煩雑です。

まとめ

より詳細な内容が知りたい場合は、電験三種のテキストをご参照ください。ただ、第一種電気工事士の範囲であれば上記で十分かと思います。

参考になった数36

02

送電線路の中性点は一般に接地が行われその目的は以下になります。

  • ・地絡した際の過電圧の発生の抑制
  • ・地絡電流を抑制し故障の拡大・被害を軽減させる
  • ・地絡した際に保護継電器を確実に動作させる

選択肢1. 非接地方式は、中性点を接地しない方式で、異常電圧が発生しやすい。

非接地は接地しないので異常電圧も発生しやすくなります。一般的な高圧配電系統に使用されます。

問題ありません。

選択肢2. 直接接地方式は、中性点を導線で接地する方式で、地絡電流が大きい。

直接接地線は導線を使用しますので問題ありません。187[kV]以上の超高圧送電系統に使用されています。

選択肢3. 抵抗接地方式は、地絡故障時、通信線に対する電磁誘導障害が直接接地方式と比較して大きい。

100~1000[Ω]程度の抵抗で接地され、66[kV]から154[kV]の送電線路に採用されています。1線地絡電流が少なる特性がある分電磁誘導障害も少なくなります。誤りです。

選択肢4. 消弧リアクトル接地方式は、中性点を送電線路の対地静電容量と並列共振するようなリアクトルで接地する方式である。

問題ありません。

対地容量とリアクトルの共振作用によりインピーダンスZが0となり、地落電流がゼロになり、アークが自然消弧するのが特徴です。

これにより線路や機器に与える影響は小さくなります。

まとめ

この手の問題は電験三種の電力で頻出が高いです。

それぞれの特徴を理解しましょう。

参考になった数12

03

送電用変圧器の中性点接地の目的は以下の通りです。

1. 異常電圧の抑制

2. 地絡電流の制御

3. 保護継電器の確実な動作

4. 通信線への誘導障害の低減

また、電圧階級に応じて接地方式は異なります。

選択肢1. 非接地方式は、中性点を接地しない方式で、異常電圧が発生しやすい。

非接地方式は、その名のとおり、接地しない方式となります。

・高圧配電線(33kV以下)で広く採用。

・地絡電流が小さく、通信線への誘導障害が少ない。

・異常電圧が発生しやすい。

 

よって、正しい。

選択肢2. 直接接地方式は、中性点を導線で接地する方式で、地絡電流が大きい。

直接接地方式は中性点を直接大地に接地する方式となります。

・超高圧送電系統(187kV以上)で採用される。

・地絡事故時の電流が大きく、保護継電器の動作が確実。

 

よって、正しい。

 

選択肢3. 抵抗接地方式は、地絡故障時、通信線に対する電磁誘導障害が直接接地方式と比較して大きい。

抵抗接地方式は中性点を100Ω~1kΩ程度の抵抗を介して接地する方式となります。

・66kV~154kVの送電線で使用される。

・地絡電流を抑え、通信線への誘導障害を軽減できる。

抵抗を介すので、直接接地方式よりも地絡電流が小さくなるのはなんとなく感覚でも理解できると思います。

 

よって、誤りとなります。

選択肢4. 消弧リアクトル接地方式は、中性点を送電線路の対地静電容量と並列共振するようなリアクトルで接地する方式である。

消弧リアクトル接地方式は、リアクトルを介して中性点を設置する方式となります。

・並列共振により地絡アークを自然消弧させる。

地中ケーブルの静電容量を補償。

 

よって正しい。

まとめ

接地方式は設問の4つだけ覚えれば大丈夫です。

参考になった数0