第一種電気工事士 過去問
令和5年度(2023年) 午前
問5 (一般問題 問5)

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問題

第一種電気工事士試験 令和5年度(2023年) 午前 問5(一般問題 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

図のような三相交流回路において、電源電圧は200V、抵抗は8Ω、リアクタンスは6Ωである。この回路に関して誤っているものは。
問題文の画像
  • 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。
  • 線電流Iは、10Aである。
  • 回路の消費電力は、3200Wである。
  • 回路の無効電力は、2400varである。

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この過去問の解説 (2件)

01

三相交流に関する問題です。

 

 【1相当たりのインピーダンスZ】

Z = √(R2 + XL2)より、

Z = √(82 + 62)

 = √100

 = 10[Ω]

 

【相電圧V】

線間電圧は200[V]で、相電圧は線間電圧の1/√3倍になるので、相電圧Vは

V = 200/√3[V]

となります。

 

【1相分に流れる電流I】

I = V/Zより、

I = (200/√3)/10

 = 20/√3[A] 

です。

選択肢1. 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。

合っているので、回答としては不正解です。

選択肢2. 線電流Iは、10Aである。

1相分に流れる線電流Iは20/√3[A] です。

 

細かく計算しなくても、答えが整数にならないので、線電流Iは10Aではありません。

よってこの選択肢が正解です。

選択肢3. 回路の消費電力は、3200Wである。

1相分の消費電力を求めます。

【1相分に流れる電流I】と【インピーダンスZ】の計算結果から

1相分の消費電力P1

P1 = I2R

 = (20/√3)2×8

 = 3200/3[W]

となります。

 

全体の消費電力は1相分の消費電力P1を3倍にすればいいので、

P = (3200/3)×3

 = 3200[W]

が求まり、合っているので、回答としては不正解です。

選択肢4. 回路の無効電力は、2400varである。

まずは1相分の無効電力Q1を求めます。

Q1 = I2Xより、

Q1 = (20/√3)2×6

 = 800[var]

 

1相分の無効電力Q1を3倍すれば全体の無効電力が求まるので、

Q = Q1×3

 = 2400[var]

合っているので、回答としては不正解です。

まとめ

三相交流の性質を理解しておきましょう。

線間電圧と相電圧の関係や、単相で求めた値を3倍するなどを覚えておけば回答に役立ちます。

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02

三相交流に関する問題ですが、1相だけ取り出した下の回路で考えます。

 

 

問題の条件から、この回路のインピーダンスは

 

 Z = 8 + 6j [Ω]  (1)

 

です。また、問題には線間電圧が与えられ、これが200Vなので、相電圧Eについて、

 

 E = 200/√3 [V] (3)

 

とします。回路の電流をIとすると、オームの法則から、

 

 E = ZI = (8 + 6j) I  (4)

 

が成り立ちます。ここから、

 

 I = E / Z = 200/{√3 × (8 + 6j)} = {2 × (8 - 6j)} / √3 [A] (5)

 

となります。電流は電圧より位相が遅れていることになります。以上の式を用いて、それぞれの選択肢について考えていきます。

選択肢1. 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。

式(1)から

 

 |Z| = √(82 + 62) = 10 [Ω]

 

です。この命題は正しいです。

選択肢2. 線電流Iは、10Aである。

式(5)から

 

 |I| = 2 × √(82 + 62) / √3 = 20 / √3 [A]

 

です。これは10[A]と一致しないので、この命題は誤りです。

選択肢3. 回路の消費電力は、3200Wである。

式(3)と式(5)から1相あたりの複素電力を求めると

 

 P = EI = {200/√3} × {2 × (8 - 6j)} / √3 = (3200 -2400j) / 3 [W]

 

になります。Eを位相の基準にしているので、Pの実部はそのまま消費電力(有効電力)になります。

 

 PW1 = 3200 / 3 [W]

 

同じ電力が各相で生じるので、回路全体の消費電力は、

 

 PW = PW1 × 3 = 3200 [W]

 

です。 よって、この命題は正しいです。

選択肢4. 回路の無効電力は、2400varである。

複素電力の虚部はそのまま無効電力ですから、1相あたりの無効電力は

 

 PQ1 = 2400 / 3 [var]

 

であり、回路全体では

 

 PQ = 3 PQ1 = 2400 [var]

 

になります。この命題は正しいです。

まとめ

与えられた回路は各相の負荷がすべて等しい「平衡三相負荷」でした。このような回路では各相の電圧、電流はそれぞれ位相を除いてすべての相で等しくなるので、1相だけをとりだして解析します。電力は1相の電力を3倍して求めます。

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