一級建築士の過去問
令和2年(2020年)
学科2(環境・設備) 問29

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問題

一級建築士試験 令和2年(2020年) 学科2(環境・設備) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)

音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 拡散性の高い室に音響パワーが一定の音源がある場合、室の平均吸音率が 2 倍になると、室内平均音圧レベルは約 3 dB 減少する。
  • 自由音場において、無指向性点音源から 25 m 離れた位置における音圧レベルの値が約 70 dB の場合、100 m 離れた位置における音圧レベルは約 58 dB になる。
  • セイビン( Sabine )の残響式による残響時間は、室容積に比例し、室の等価吸音面積に反比例する。
  • 屋外において、遠方の音源から伝搬する音の強さは、空気の音響吸収によって、低周波数域の音ほど減衰する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.〇
室内平均音圧Lp=Lw-10log(10)A+6
[Lw:音源の音響パワーレベル、A:室内の吸音力(室内表面積×室内平均吸音率)]
室内の吸音率が2倍になると、2Aとなり、
 Lw-10log(10)2A+6
 Lw-(10log(10)A+10log(10)2)+6
 Lw-(10log(10)A+3)+6
 Lw-10log(10)A-3+6  10log(10)+6=Lpとなるため
 Lp‐3
よって、3dbの減少となります。

2.〇
点音源からの距離が2倍になると、音圧レベルは約6dbの減衰、距離が4倍になると約12dbの減衰になります。
70‐12=58db で正しいです。

3.〇
セイビン(Sabine)の式Tより正しいです。
T=0.16V/A
[T:残響時間、V:室容量、A:室の等価吸音面積]

4.×
音の強さ(エネルギー)は、点音源であれば距離の2乗に反比例して減衰します。
また、空気吸音による減衰もあり、音の周波数、気温、湿度、気圧の4つの要素で決まり、周波数が高いと減衰は大きくなります。

 

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02

正解は4です。

1:設問通りです
室内に音源がある場合、室の平均吸音率が2倍になると、室の音の強さは1/2になり、室内平均音圧レベルは約3dB減少します。

2:設問通りです
条件より、距離は100/25=4倍になっているので距離が2倍になるごとに6dB引いていきます。
70dB-12dB=58dB

3:設問通りです
セービンの残響時間の公式は室の総吸音力(等価吸音面積)Am²と質の容積Vm³を用いて以下のように表します。
T=0.161V/A

4:誤りです
音が空気に吸収される場合でも、高音(周波数が大きい)ほど透過損失が大きくなります。

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03

1 [正]
設問の通りです。
室の内装の吸音性能を高めれば、室内の拡散音の音圧レベルを低減することができます。一般に、拡散性の高い室で、その質の平均吸音率が2倍になると、室内平均音圧レベルは約3db減少します。

2 [正]
設問の通りです。
騒音の距離減衰は、点音源においては距離が2倍になると騒音は6dB減少、線音源においては距離が2倍になると騒音は3dB減少します。上記に当てはめると、設問の場合は無指向性点音源であり、距離が4倍(100m/25m) であることから騒音は12dB減衰するため、70dB-12dB=58dBとなります。

3 [正]
設問の通りです。
セイビンの残響式はT=0.161V/Aで表され、室容積Vが大きいほど、また等価吸音面積Aが小さいほど、残響時間が長くなる。
なお、等価吸音面積Aとは平均吸音率に室内表面積を乗じたものです。

4 [誤]
音のエネルギーは一部が空気に吸収され、さらに距離によっても減衰します。周波数が高い音ほどよく吸収され、低い音の方が遠くまで聞こえるのは、この空気による音響吸収の差によるところが大きいです。

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