一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問95

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問95 (訂正依頼・報告はこちら)

既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断・改修に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 垂れ壁や腰壁が付いた柱は、大地震時に垂れ壁や腰壁が付かない柱より先に破壊するおそれがある。
  • 耐震改修において、柱の耐力の向上を図る方法の一つに、「そで壁付き柱の柱とそで壁との間に耐震スリットを設ける方法」がある。
  • 耐震改修において、耐力の向上を図る方法の一つに、「枠付き鉄骨ブレースを増設する方法」がある。
  • 耐震改修において、柱の変形能力の向上を図る方法の一つに、「炭素繊維巻き付け補強」がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「2」です。

1.正しい

垂れ壁や腰壁が取り付いた柱は、可とう長さ(変形できる長さ)が短くなります

部材が短いと剛性は高くなるので、応力が集中します。

その結果、腰壁などが取り付かない(可とう長さが長い)柱よりも

先に破壊されやすくなります。

2.誤り

1でも解説した通り、柱に袖壁などが取り付くと可とう長さが短くなり

破壊されやすくなります。これに対して耐震スリットを設けると、

柱と袖壁が別の挙動をするようになるため、

柱の可とう長さが短くならず応力が集中しなくなります。

従って耐震補強としては有効なのですが、

これは損傷が集中することを避けているだけで、柱の耐力自体の向上にはつながっていません

3.正しい

全体の耐力を向上させるためには、ブレースの設置や耐震壁の増設が有効です。

4.正しい

炭素繊維巻きつけシートは、コンクリート柱に巻きつけることで鉄筋量を補い、

せん断耐力、曲げ耐力を向上させひび割れを防ぐ効果があります。

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02

既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断・改修に関する問題です。

選択肢1. 垂れ壁や腰壁が付いた柱は、大地震時に垂れ壁や腰壁が付かない柱より先に破壊するおそれがある。

正   

そで壁、たれ壁と一体となった柱や断面積が大きく長さの短い柱(短柱)は剛性が大きくなり、大地震時などにせん断力が集中してしまい、ほかの柱よりも先に破壊される恐れがあります。

また、せん断ひび割れ後は靭性が乏しいため、曲げ破壊より先にせん断破壊が起こる可能性が高いです。

選択肢2. 耐震改修において、柱の耐力の向上を図る方法の一つに、「そで壁付き柱の柱とそで壁との間に耐震スリットを設ける方法」がある。

  

「短柱」を回避するため、そで壁、たれ壁と柱の間にスリットを入れる方法があります。

この場合、短柱を回避しますので、剛性(耐力)が低くなり、靭性(変形能力)が上がります。

選択肢3. 耐震改修において、耐力の向上を図る方法の一つに、「枠付き鉄骨ブレースを増設する方法」がある。

正   

枠付き鉄骨ブレースを既存建物の柱梁で囲まれた構面内に組入れて、地震時の水平方向の力を鉄骨に負担させることで、建築物の耐力を向上させます。

選択肢4. 耐震改修において、柱の変形能力の向上を図る方法の一つに、「炭素繊維巻き付け補強」がある。

正   

炭素繊維は引張強度が鉄の約10倍、重量が鉄の1/10という優れた材料です。変形能力の向上に最適となります。

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03

1 正 短柱 → 変形が低い(剛性が高い)→ 応力が集中 → 先に壊れる、となります。

 構造計算の際には、同一層(階)の各柱は同じ変形量となると考えていて(実際そうです)、短柱は変形しにくいので同じ変形量にするためにたくさん力が掛かってしまうのです。

2 誤 1と矛盾するような表現で分かりにくいですが、スリットを入れると柱の耐力が低下するのは、壁付だった断面が小さくなるからです。

こういうところは出題されやすいので覚えていきましょう。

3 正 耐震改修として、よくみられる方法です。

4 正 耐震改修として、よくみられる方法です。

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