一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問94

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「3」です。

1.正しい

問題文の通り、建築物は強度(固さ)靭性(粘り強さ)

を利用して地震に耐えるため、

靭性が低い場合、強度を上げることは有効です。

2.正しい

積層ゴムアイソレータの形状を決めるパラメータには、

1次形状係数 S12次形状係数 S2 の2種類があります。

2つの係数の違いは以下の通りです。

S1:受圧面積と側面積で求める。鉛直・曲げ剛性に影響する。

S2:直径と層厚で求める。座屈荷重や水平剛性に影響する。

なので2は正しいです。

3.誤り

ゴム一層あたりの厚みを増すと、鉛直荷重を受けた際に

ゴムが沈み込み横にはらみだしてしまいます。

その結果、支持力が低下するため、3は誤りです。

4.正しい

履歴減衰型のダンパーなどの制振部材は、

塑性変形する際に振動エネルギーを吸収することで地震の揺れを制御する部材です。

この能力が履歴エネルギー吸収能力です。

従って、この能力を利用するために、制振部材を塑性化させることが有効です。

なので4は正しいです。

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02

耐震構造、免震構造及び制振構造に関する問題です。

選択肢1. 建築物の耐震性は、一般に、強度と靱性によって評価され、靱性が低い場合には、強度を十分に大きくする必要がある。

建築物の耐震性は、一般に、強度と靱性(変形能力)によって評価され、靱性が低い場合には、強度を十分に大きくし、耐震性を高める必要があります。

選択肢2. 免震構造に用いられる、積層ゴムアイソレータの2次形状係数S2(全ゴム層厚に対するゴム直径の比)は、主に座屈荷重や水平剛性に関係する。

アイソレータ積層ゴム支承は、薄い鋼板と薄いゴムシートを交互に積層した構造です。

ゴム単体では水平方には変形できても、鉛直方向の荷重には横方向に膨らみ、荷重を支持することができないため、薄い鋼板を挟むことで鉛直方向の変形を抑え込むような構造となっています。

積層ゴムの形状を決定する要素は、ゴム直径、ゴム1層厚、ゴム層数の3つがあり、これらは1次形状係数S1、2次形状係数S2としてまとめられます。

1次形状係数S1は、鉛直・曲げ剛性に関係する係数です。

2次形状係数S2は、座屈荷重や水平剛性に関係する係数です。

選択肢3. 免震構造用の積層ゴムにおいて、積層ゴムを構成するゴム1層の厚みを大きくすることは、一般に、鉛直支持能力を向上させる効果がある。

考え方として、ゴムを厚くすることで、鉛直方向にの力に対して膨らんでしまいます。ゆえに鉛直支持能力は低下します。

表現の仕方を変えると、1次形状係数S1ゴムシートの厚さが大きくなると、小さくなるとも言えます。

選択肢4. 制振構造に用いられる鋼材ダンパー等の履歴減衰型の制振部材は、鋼材等の履歴エネルギー吸収能力を利用するものであり、大地震時には層間変形が小さい段階から当該部材を塑性化させることが有効である。

制振構造に用いられる鋼材ダンパー等の履歴減衰型の制振部材は、鋼材等の履歴エネルギー吸収能力を利用するものであり、大地震時には層間変形が小さい段階から当該部材を塑性化させることが有効です。

履歴減衰部材には、

・鋼材ダンパー

・鉛ダンパー

・摩擦ダンパー

があります。

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03

1 正 靭性が低い場合は、強度を高めておく必要があります。

2 正 1次形状係数とは鉛直、曲げに関する係数で、2次形状係数は水平、座屈に関する係数となります。

免振装置の設計は馴染みのある方は少ないと思いますが、記述のとおりなので覚えていきましょう。

3 誤 ゴム1層ごと厚くすると、ゴムがつぶれて外にはみだす大きさが大きくなるため、鉛直支持力が低くなります。

4 正 履歴減衰型の制振部材は、ゴムアイソレーターとは別に、地震力を吸収するために付けられています。一般的に履歴減衰型の材料は塑性化することでエネルギーを吸収します。「大地震時には層間変形が小さい段階から当該部材を塑性化させる」というのは、揺れが大きくなる前にエネルギー吸収を開始して、建物への影響を小さくするということになります。

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