二級建築士 過去問
令和3年(2021年)
問24 (学科1(建築計画) 問24)

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問題

二級建築士試験 令和3年(2021年) 問24(学科1(建築計画) 問24) (訂正依頼・報告はこちら)

消防設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 住宅用消火器は、蓄圧式で再充填ができないものである。
  • 屋外消火栓設備は、屋外から建築物の1階及び2階の火災を消火し、隣接する建築物への延焼等を防止するための設備である。
  • 階段室に設ける自動火災報知設備の感知器は、熱感知器とする。
  • 屋内消火栓設備における易操作性1号消火栓は、1人で操作が可能な消火栓である。
  • 非常用エレベーターは、火災時における消防隊の消火活動などに使用することを主目的とした設備である。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 〇

住宅用消火器には蓄圧式加圧式があります。加圧式はポンプ内に薬剤とは別に加圧式ガス容器が封入されており、レバーで容器を破封し出てきたガスで噴射するタイプです。

蓄圧式は本体に圧力が掛けられており、レバーで放出を行う仕組みです。

住宅や店舗などに置かれる「住宅用消火器」は詰め替え対応とはなっていません。

2 〇

問題文の通りです。2階よりも上の階になると、外からの防護ができなくなるため、室消火設備の設置を行うことになります。

3 ×

階段室や居室など、通常火を使用しない場所に関しては、煙感知器の設置とします。

台所などの火を使用する場所については熱感知器の設置とします。

問題文は階段室に熱感知器となっていますので、間違いです。

※火を使う場所で煙感知器だと、料理をするたびに鳴る可能性が出てきます。居室などに熱感知器を設置すると、感知したときにはもう火の手が上がっているので手遅れになりやすいです。

理由を知ると記憶に定着しやすいかと思います。

4 〇

易操作性1号消火栓1人で使用可能です。同じような消火設備で1号消火栓は、2人以上での使用が求められます。

5 〇

非常用エレベーターは、31m以上の高層建築物などに設置が義務化されている設備となります。火災時に速やかに熱源の場所まで移動できるよう照明が予備電源使用だったり、入口を開口したまま昇降できたりと緊急時に対応できるよう特殊な設備となっています。

よって問の答えは 3 となります。

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02

1.正しいです。

消火器には蓄圧式と加圧式がありますが、住宅用消火器は蓄圧式で薬剤を再充填不可のものであり、一度使用すると消火器を交換する必要があります。

2.正しいです。

屋外消火栓設備は建築物の1階および2階の火災の消火、外部からの延焼防止(近隣建物の延焼防止)を期待するものです。

消防隊のみだけでなく居住者の利用も期待されています。

3.間違いです。

熱感知器はボイラー室や厨房など火気を扱う室や事務室や会議室などの施設の居室で設置されることが多いです。

住宅の居室や階段においては一般的に煙感知器を設置します。

4.正しいです。

屋内消火栓において、1号消火栓は通常2人操作するのに対し、2号消火栓は1人で容易に操作することができます。

ちなみに警戒区域半径は1号消火栓が25m以下、2号消火栓が15m以下となります。

5.正しいです。

非常用エレベーターは消防隊による消火活動を目的として設置されます。

災害時でない平常時は一般のエレベーターとして使用してもよいとされています。

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03

この問題を解く上で意識すべきは、消防設備の設置目的と機能特性を詳細かつ正確に理解することです。各設備が「なぜ、どのような状況で、誰のために使われるのか」を考えると、正しい知識を身につけることができます。特に、法令で定められた設置基準や、人命安全に関わる設備(自動火災報知設備や非常用エレベーター)の優先順位を意識することで、さらに詳しく、幅広い知識の習得が可能になります。単なる暗記ではなく、背景にある理由まで掘り下げて学習しましょう。

選択肢1. 住宅用消火器は、蓄圧式で再充填ができないものである。

消防法令による規定: 「消防法施行令第29条の4」において、住宅用消火器の技術上の規格が定められています。この中で、「消火薬剤を再充てんすることができない構造のもの」と明確に規定されています。これは、専門的な知識や設備がない人々が再充填を行うと危険を伴うため、安全性を確保するための措置です。

安全確保の観点: 蓄圧式の消火器は、内部に高い圧力がかかっています。不適切な方法で再充填を行うと、容器の破裂など重大な事故が発生する可能性があるため、使い捨て(再充填不可)の構造となっています。

つまり、この記述は適切です。

選択肢2. 屋外消火栓設備は、屋外から建築物の1階及び2階の火災を消火し、隣接する建築物への延焼等を防止するための設備である。

消防法施工規則による定義: 「消防法施行規則第13条の2の3」で、屋外消火栓設備が規定されており、その目的として「建築物の1階及び2階における火災並びに隣接する建築物への延焼を防止するため」と明記されています。

設置目的: 屋外消火栓は、屋内消火栓では対応が難しい、初期段階を超えた大規模な低層階火災や、建物外部からの延焼阻止、または近隣建物への火災拡大防止を目的として設置されます。そのため、放水能力も屋内消火栓より強力です。

つまり、この記述は適切です。

選択肢3. 階段室に設ける自動火災報知設備の感知器は、熱感知器とする。

消防法施行規則による規定: 「消防法施行規則第23条第4項」において、自動火災報知設備の設置基準が定められています。特に階段室のような避難経路では、「煙感知器」の設置が原則とされています。

早期発見の重要性: 階段室は、火災時に煙が上昇・充満しやすく、避難経路となるため、人命安全上、煙を早期に感知することが極めて重要です。熱感知器は、煙が発生してから一定の熱量に達するまで時間がかかるため、早期発見には不向きです。煙感知器であれば、火災のごく初期段階で発生する煙を検知し、避難警報を発することができます。

したがって、この記述は不適切です。

選択肢4. 屋内消火栓設備における易操作性1号消火栓は、1人で操作が可能な消火栓である。

消防庁告示による定義: 平成9年消防庁告示第9号「易操作性1号消火栓の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件」において、易操作性1号消火栓は「一人で操作できる構造のもの」と明確に定義されています。

目的と改良点: 従来の1号消火栓が2人以上での操作を基本としていたのに対し、易操作性1号消火栓は、ホースの軽量化、ノズルの簡易化、自動起動装置の組み込みなど、様々な改良が加えられ、1人でも迅速かつ確実に操作して初期消火が行えるように設計されています。

つまり、この記述は適切です。

選択肢5. 非常用エレベーターは、火災時における消防隊の消火活動などに使用することを主目的とした設備である。

建築基準法における定義: 「建築基準法第34条の2」および「建築基準法施行令第129条の10」で、非常用エレベーターの設置義務と構造が規定されています。その目的は「火災その他の災害が発生した場合において、消防活動その他の活動に有効に利用できるもの」とされており、特に消防隊の活動支援が主眼に置かれています。

機能的特徴: 非常用エレベーターは、火災時に停電しても作動する予備電源、煙の侵入を防ぐ防煙区画、消火活動に必要な積載量や速度、外部からの遠隔操作機能などを備えており、消防隊が安全かつ迅速に消火活動や人命救助を行うために不可欠な設備です。

つまり、この記述は適切です。

まとめ

この問いで最も不適切な記述は「 階段室に設ける自動火災報知設備の感知器は、熱感知器とする」でした。

不適切な理由: 階段室は避難経路として非常に重要であり、火災時の煙の充満が人命に直結します。そのため、熱感知器のように温度上昇を待つのではなく、火災初期に発生する煙を速やかに検知できる煙感知器の設置が消防法令で義務付けられています。煙感知器は、早期避難を促すために必要不可欠なのです。

その他選択肢のポイント:

・住宅用消火器は、安全上の理由から再充填できない蓄圧式が一般的です。

・屋外消火栓設備は、建物の低層階火災や隣接建物への延焼防止を目的とします。

・易操作性1号消火栓は、一人で操作できるよう改良された屋内消火栓です。

・非常用エレベーターは、火災時に消防隊が消火・救助活動を行うための専用設備です。

この問題から、消防設備はそれぞれの役割と設置場所の特性に合わせて適切に選定・設置されるべきだということがわかります。特に、人命に関わる避難経路の設備は、早期発見・早期対応が可能なものが求められる点を意識しましょう。

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