二級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科1(建築計画) 問25

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問題

二級建築士試験 令和4年(2022年) 学科1(建築計画) 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

環境・省エネルギーに配慮した建築・設備計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 電気設備において、配電線路における電力損失を低減するために、配電電圧を低く設定した。
  • 窓の断熱性能を高めて、年間熱負荷係数(PAL*:パルスター)の値を小さくした。
  • 排水再利用設備において、洗面・手洗い排水を浄化して再利用水として使用した。
  • CASBEEにおけるBEE(環境性能効率)を高めるため、環境負荷(L)の数値が小さくなるように、かつ、環境品質(Q)の数値が大きくなるように計画した。
  • 使用する設備機器を、ライフサイクルアセスメント(LCA)により評価し選定した。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当な選択肢は、

「電気設備において、配電線路における電力損失を低減するために、配電電圧を低く設定した。」

です。

配電電圧が低いと電流が大きくなり、電圧損失・電力損失も大きくなってしまいます。

電力損失を低減するためには、配電電圧を大きくする必要があります。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

選択肢1. 電気設備において、配電線路における電力損失を低減するために、配電電圧を低く設定した。

不適当な選択肢です。

電力 = 配電電圧 × 電流

なので、一定の電力を確保しつつ、配電電圧を低く設定すると、電流を大きくする必要があります。

さらに、

電圧損失 = 電流 × 抵抗

なので、電気設備の抵抗が一定の場合、電流が大きい(配電電圧が低い)と、電圧損失が大きくなります。

そして、

電力損失 = 電圧損失 × 電流

なので、電流が大きい(配電電圧が低い)と、電圧損失も大きくなり、電力損失も大きくなります。

選択肢2. 窓の断熱性能を高めて、年間熱負荷係数(PAL*:パルスター)の値を小さくした。

正しい選択肢です。

年間熱負荷係数(PAL*:パルスター)は、ペリメーターゾーンの熱負荷を表す係数で、値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。

なお、ペリメーターゾーンは、室内外周部の、外気や外部からの熱の影響を受けやすい場所のことです。

選択肢3. 排水再利用設備において、洗面・手洗い排水を浄化して再利用水として使用した。

正しい選択肢です。

洗面器や厨房の排水は、浄化することで再利用水として使用できます。

※補足

排水にし尿が含まれている場合は、再利用水は便所洗浄用としてしか使えません。

排水にし尿が含まれていない場合は、再利用水は便所洗浄用だけでなく、散水等にも使えます。

選択肢4. CASBEEにおけるBEE(環境性能効率)を高めるため、環境負荷(L)の数値が小さくなるように、かつ、環境品質(Q)の数値が大きくなるように計画した。

正しい選択肢です。

CASBEEは、建築物の環境性能を評価し、格付けする手法です。

BEE(環境性能効率)が高い方が高評価

環境負荷(L)の数値が小さい方が高評価

環境品質(Q)の数値が大きい方が高評価

選択肢5. 使用する設備機器を、ライフサイクルアセスメント(LCA)により評価し選定した。

正しい選択肢です。

ライフサイクルアセスメント(LCA)は、製品やサービスの資源採取〜廃棄リサイクルまでの環境負荷を評価する指標です。

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02

温暖化の影響もあり、省エネルギーの建築物の要求が高まっている中、基本的知識の確認のための出題が考えられます。理解しましょう。

選択肢1. 電気設備において、配電線路における電力損失を低減するために、配電電圧を低く設定した。

省エネルギーの観点では、電力損失を減らすには、電流を少なくすると良いので、電圧をあげると良いです。記述は誤りです。

選択肢2. 窓の断熱性能を高めて、年間熱負荷係数(PAL*:パルスター)の値を小さくした。

PAL*は建物の省エネ基準に関わる外皮基準の指標なので、記述の通りで正しいです。

選択肢3. 排水再利用設備において、洗面・手洗い排水を浄化して再利用水として使用した。

汚水の再利用は、便所洗浄以外に使用してはいけないので、記述の通りで正しいです。

選択肢4. CASBEEにおけるBEE(環境性能効率)を高めるため、環境負荷(L)の数値が小さくなるように、かつ、環境品質(Q)の数値が大きくなるように計画した。

CASBEEのBEEは、環境品質(Q)を環境負荷(L)で割って計算される指標なので、記述の通りで正しいです。

選択肢5. 使用する設備機器を、ライフサイクルアセスメント(LCA)により評価し選定した。

LCAは製品のライフサイクル全体における環境負荷を定量的に消化する手法なので、記述の通りで正しいです。

参考になった数6