二級建築士 過去問
令和4年(2022年)
問73 (学科3(建築構造) 問23)

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問題

二級建築士試験 令和4年(2022年) 問73(学科3(建築構造) 問23) (訂正依頼・報告はこちら)

鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 軟鋼は、炭素含有量が多くなると硬質になり、引張強さが大きくなる。
  • 鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなると、溶接性が低下する。
  • 鋼を製造するときに生じる黒錆(さび)(黒皮)は、鋼の表面に被膜を形成するので、一定の防食効果がある。
  • 異形棒鋼SD345の引張強さの下限値は、345 N/mm2である。
  • 建築構造用ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性に優れている。

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この過去問の解説 (3件)

01

いずれの選択肢も過去頻出の内容です。

炭素含有量の大小による性質の違い、棒鋼や鋼材の数値の意味、ステンレス鋼材の特徴など、確実に覚えるようにしましょう。

選択肢1. 軟鋼は、炭素含有量が多くなると硬質になり、引張強さが大きくなる。

正しい記述です。

鋼材は、炭素含有量が多くなると硬質になり、引張強さ、弾性限度、降伏点が上昇します。

選択肢2. 鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなると、溶接性が低下する。

正しい記述です。

鋼材は、炭素含有量が多くなると硬質になりますが、その一方で粘り強さ(靭性)が下がり、溶接性が低下します。

選択肢3. 鋼を製造するときに生じる黒錆(さび)(黒皮)は、鋼の表面に被膜を形成するので、一定の防食効果がある。

正しい記述です。

鋼を熱間圧延して製造するときに生じる黒い錆(黒皮)は、鋼の表面に被膜を形成するので防食効果があります。この黒皮のことをミルスケールともいいます。

選択肢4. 異形棒鋼SD345の引張強さの下限値は、345 N/mm2である。

不適当な記述です。

異形棒鋼の後ろに付く数字は、降伏点または耐力の下限値を表しています。

SD345の場合の降伏点または耐力は、下限値が345N/mm2、上限値が440N/mm2となります。

なお、建築構造用圧延鋼材の後ろに付く数字は、引張強さの下限値を表しています。

選択肢5. 建築構造用ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性に優れている。

正しい記述です。

ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)よりも耐食性、耐火性に優れています。

参考になった数13

02

炭素含有量による特徴やステンレス鋼材の特徴等、暗記しておくようにしましょう。

選択肢1. 軟鋼は、炭素含有量が多くなると硬質になり、引張強さが大きくなる。

正。

炭素は鋼材を硬くし、引張強度は大きくなります。

ただし、粘り強さが低下し、溶接性も悪くなります。

選択肢2. 鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなると、溶接性が低下する。

正。

炭素含有量が多くなると、溶接性は低下します。

選択肢3. 鋼を製造するときに生じる黒錆(さび)(黒皮)は、鋼の表面に被膜を形成するので、一定の防食効果がある。

正。

鋼を製造するときに生じる黒錆は、鋼の表面に被膜を形成し、防食効果が期待できます。

選択肢4. 異形棒鋼SD345の引張強さの下限値は、345 N/mm2である。

誤。

異形棒鋼の後ろに付く数字は、降伏点または耐力の下限値を表します。

SD345の場合、降伏点または耐力の下限値が345N/mm2となり、引張強さのん下限値を表しているわけではありません。

選択肢5. 建築構造用ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性に優れている。

正。

ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性や耐火性に優れます。

参考になった数2

03

この問題では、鋼材に関する記述が正しいかどうかを判断することが求められています。

選択肢1. 軟鋼は、炭素含有量が多くなると硬質になり、引張強さが大きくなる。

この選択肢は正しいです。

軟鋼(低炭素鋼)は、炭素含有量が増加すると硬質化し、引張強さも増加します。

選択肢2. 鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなると、溶接性が低下する。

この選択肢は正しいです。

鋼材の炭素含有量が増加すると、溶接時の割れやすさが増加し、溶接性が低下します。

選択肢3. 鋼を製造するときに生じる黒錆(さび)(黒皮)は、鋼の表面に被膜を形成するので、一定の防食効果がある。

この選択肢は正しいです。

鋼を製造する際に生じる黒皮(ミルスケール)は、鋼の表面に一種の被膜を形成し、防食効果があります。

選択肢4. 異形棒鋼SD345の引張強さの下限値は、345 N/mm2である。

この選択肢は不適当です。

異形棒鋼SD345は、「345」という数値は引張強さの下限値ではなく、降伏強度の下限値を意味します。

引張強さの下限値は、これよりも高い値になります。

したがって、この記述は不適当です。

選択肢5. 建築構造用ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、一般構造用圧延鋼材(SS400材等)の炭素鋼に比べて、耐食性に優れている。

この選択肢は正しいです。

ステンレス鋼材(SUS304A材等)は、クロムを含むため、炭素鋼(SS400材等)に比べて耐食性が非常に優れています。

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