二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問51 (学科3(建築構造) 問1)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問51(学科3(建築構造) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

図のような形状の断面A~断面Dの断面二次モーメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、X軸及びY軸まわりの断面二次モーメントをそれぞれIX、IYとする。
問題文の画像
  • 断面AのIYは、断面AのIXの0.5倍よりも小さい。
  • 断面BのIXは、断面AのIXと等しい。
  • 断面CのIXは、断面AのIXと等しい。
  • 断面CのIYは、断面AのIXと等しくない。
  • 断面DのIXは、断面AのIXの8倍と等しい。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは 「断面DのIXは、断面AのIXの8倍と等しい。」 です。


断面Dは断面Aの各寸法をほぼ2倍にした形状なので、断面二次モーメントIXは長さの4乗に比例しておよそ16倍になります。

したがって「8倍」という記述は明らかに誤りです。

選択肢1. 断面AのIYは、断面AのIXの0.5倍よりも小さい。

断面AはI形鋼で高さ方向(X軸まわり)が支配的です。

概算すると 

IX ≒ 4.5×106 mm4

IY ≒ 1.7×106 mm4 

となり、 IY / IX 0.37<0.5 なので妥当です。

選択肢2. 断面BのIXは、断面AのIXと等しい。

断面Bは外寸100 mm・肉厚10 mmの中空正方形で、計算すると

IX ≒ 4.9×106 mm4

断面Aより約10%大きく、等しいとは言えません。

選択肢3. 断面CのIXは、断面AのIXと等しい。

断面C(溝形鋼)は、厚さ10 mmの立上りと幅80 mmのフランジを持つ形状です。

概算すると

IX ≒ 4.5×106 mm4 

で断面Aとほぼ一致します。

記述はおおむね適切です。

選択肢4. 断面CのIYは、断面AのIXと等しくない。

断面Cは左右非対称のため IY が大きく減少し、

IX(断面A) ≒ 4.5×106 mm4 

とは明らかに一致しません。

この記述は妥当です。

選択肢5. 断面DのIXは、断面AのIXの8倍と等しい。

断面Dは寸法がほぼ2倍(高さ200 mm、フランジ幅200 mm、厚さ20 mm)です。

寸法を2倍にするとIXは 24=16倍 に拡大します。

実際の計算でも IX(断面D) ≒ 7.2×107 mm4 ≈ 16×IX(断面A) となり、「8倍」は誤りです。

まとめ

断面二次モーメントは形状の4乗スケール則が効くため、寸法が2倍になると16倍前後に増加します。

この性質を押さえておくと、断面の相対剛性を素早く見積もれます。

今回の問題では、この原則から外れる「8倍」という値が決定的に不適当でした。

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