二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問57 (学科3(建築構造) 問7)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問57(学科3(建築構造) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

構造計算における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 百貨店における床の単位面積当たりの積載荷重の大小関係は、一般に、「売場」<「売場に連絡する廊下」である。
  • 屋根の積雪荷重は、屋根に雪止めがある場合を除き、その勾配が45度を超える場合においては、零とすることができる。
  • 風圧力の計算に用いるガスト影響係数Gfは、同じ地上高さの場合、一般に、地表面粗度区分がⅡよりⅢのほうが大きくなる。
  • 建築物の屋根版に作用する風圧力と、屋根葺き材に作用する風圧力とは、それぞれ個別に計算する。
  • 沖積粘性土の下層面が地盤面下15m以下である地域については、一般に、杭周面の「負の摩擦力」の検討を行う必要がある。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当な記述は、

「屋根の積雪荷重は、屋根に雪止めがある場合を除き、その勾配が45度を超える場合においては、零とすることができる。」です。


屋根の積雪荷重をゼロにできるのは、雪止めが無い場合でも勾配が60度を超えるときと規定されています。

45度では低減はできますがゼロにはできません。

選択肢1. 百貨店における床の単位面積当たりの積載荷重の大小関係は、一般に、「売場」<「売場に連絡する廊下」である。

建築基準法施行令の扱いでは、売場は2900 N/m²、売場に連絡する廊下は人が集中する恐れがあるため3500 N/m²と大きく設定されています。

したがって大小関係は記述のとおりで適切です。

選択肢2. 屋根の積雪荷重は、屋根に雪止めがある場合を除き、その勾配が45度を超える場合においては、零とすることができる。

不適当です。

前述のとおりゼロにできる基準は60°超であり、45°では残留荷重が必要です。

選択肢3. 風圧力の計算に用いるガスト影響係数Gfは、同じ地上高さの場合、一般に、地表面粗度区分がⅡよりⅢのほうが大きくなる。

地表面がより粗いほど乱れが増え、突風の影響も大きくなるため、同じ高さではⅢ>Ⅱとなります。

選択肢4. 建築物の屋根版に作用する風圧力と、屋根葺き材に作用する風圧力とは、それぞれ個別に計算する。

適切です。

構造骨組み用の風圧力と、屋根葺き材・外装材の耐風設計用風圧力は計算方法(係数)が異なるため、それぞれ別に算定します。

選択肢5. 沖積粘性土の下層面が地盤面下15m以下である地域については、一般に、杭周面の「負の摩擦力」の検討を行う必要がある。

適切です。

厚い軟弱沖積粘土層が15 mより深く続く地域では、杭周面への負の摩擦力(ダウンドラッグ)を考慮するよう各自治体指針に示されています。

まとめ

屋根の積雪荷重は勾配60°を境にゼロにできるかどうかが決まります。

勾配の数字は頻出なので押さえましょう。

床の積載荷重は「人が一時的に密集しそうな場所ほど大きい」という原則で覚えると比較問題に強くなります。

風荷重では、周辺環境(粗度区分)や部位(構造体か外装材か)によって係数が変わる点に注意してください。

基礎杭の設計では、地盤条件によって負の摩擦力の有無を判断し、沈下を伴う場合は必ず検討します。

 

これらの基準値や係数は法令・告示や自治体指針で細かく定められています。

数字だけでなく「なぜその数値になるのか」という背景を理解すると、試験でも実務でも役立ちます。

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