二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問58 (学科3(建築構造) 問8)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問58(学科3(建築構造) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

構造計算における設計用地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 振動特性係数Rtの算出のための地盤種別について、建築物の基礎底部の直下の地盤の大部分が、腐植土や泥土等で構成された沖積層で、その深さがおおむね30m以上である場合、第三種地盤とする。
  • 建築物の設計用一次固有周期(単位s)は、鉄骨造の場合、一般に、建築物の高さ(単位m)に0.03を乗じて算出する。
  • 振動特性係数Rtは、同一の地盤種別の場合、一般に、建築物の設計用一次固有周期が長くなるほど大きくなる。
  • 許容応力度等計算において、地盤が著しく軟弱な区域として指定された区域内における木造の建築物の標準せん断力係数Coは、原則として、0.3以上とする。
  • 建築物の地上部分の各階における地震層せん断力係数Ciは、一般に、上階になるほど大きくなる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

「振動特性係数Rtは、同一の地盤種別の場合、建築物の設計用一次固有周期が長くなるほど大きくなる。」
この記述が不適当です。

 

建築基準法施行令に定めるRtの式では、一定周期(おおむね0.4 s)を超えると、

周期が長くなるほどRtは1/Tの関係で小さくなり、建物が柔らかいほど地震力はむしろ減少します。

選択肢1. 振動特性係数Rtの算出のための地盤種別について、建築物の基礎底部の直下の地盤の大部分が、腐植土や泥土等で構成された沖積層で、その深さがおおむね30m以上である場合、第三種地盤とする。

沖積層が深さ30 m以上続く軟弱地盤は第三種地盤です。

告示で定める条件と一致するため適当です。

選択肢2. 建築物の設計用一次固有周期(単位s)は、鉄骨造の場合、一般に、建築物の高さ(単位m)に0.03を乗じて算出する。

適当です。

特別な調査を行わない場合の簡易式 T=0.03 H(H:建物高さ)は告示で認められています。

選択肢3. 振動特性係数Rtは、同一の地盤種別の場合、一般に、建築物の設計用一次固有周期が長くなるほど大きくなる。

Rtは0.4 s以下で1.0、0.4 s超ではRt=0.64/T(第一種地盤の場合)など逆比例で低減します。

したがって「長くなるほど大きくなる」という説明は誤りです。

選択肢4. 許容応力度等計算において、地盤が著しく軟弱な区域として指定された区域内における木造の建築物の標準せん断力係数Coは、原則として、0.3以上とする。

適当です。

地盤が著しく軟弱な区域では木造の標準せん断力係数 Co ≥0.3とする規定があります。

選択肢5. 建築物の地上部分の各階における地震層せん断力係数Ciは、一般に、上階になるほど大きくなる。

適当です。

Ci=Z Rt Ai Co で Ai は高さ方向の分布係数です。

Aiは上階ほど大きくなるため、一般に上階ほどCiも大きくなります。

まとめ

振動特性係数Rtは「建物が地盤と共振しやすい短周期域で大きく、長周期域で小さくなる」低減係数です。

周期が長いほど地震力が必ず増えるわけではありません。

設計時にはRtの周期依存性と、Co・Ai など他の係数との組み合わせを正しく押さえることが重要です。

参考になった数6