二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問61 (学科3(建築構造) 問11)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問61(学科3(建築構造) 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

木質構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 木材の比重は、一般に、接合部の接合耐力に影響を与える。
  • 追掛け大栓継ぎは、断面が大きい梁・桁などの横架材を、材軸方向に継ぐ場合に用いられる。
  • 接合部の木材の含水状態が、使用環境条件下において、接合具に錆(さび)を生じさせるおそれのある場合には、耐用年数に応じた防錆(せい)処理を施す。
  • ボルト接合においては、一般に、接合部が降伏する前に、木材に割裂、せん断、引張り等による脆(ぜい)性的な破壊が生じないようにする。
  • 木ねじ接合部は、ねじ部の存在により、一般に、釘接合部に比べて変形性能が大きい。

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この過去問の解説 (1件)

01

木ねじ接合部は、ねじ部の存在により、一般に、釘接合部に比べて変形性能が大きい。
この記述が不適当です。

 

木ねじはねじ山が食い込むことで抜けにくくなりますが、軸が太く曲げ塑性が小さいため、釘のように大きく曲がってエネルギーを吸収する性質は乏しいです。

その結果、木ねじ接合部は釘接合部ほど変形を許容できず、むしろ脆性的に壊れやすくなります。

選択肢1. 木材の比重は、一般に、接合部の接合耐力に影響を与える。

適当です。

比重が高いほど木材のせん断強度やめり込み強度が増し、同じ接合具でも耐力が上がります。

選択肢2. 追掛け大栓継ぎは、断面が大きい梁・桁などの横架材を、材軸方向に継ぐ場合に用いられる。

適当です。

大断面材を長手方向に延長するときによく採用される継手で、木栓を併用して荷重を伝えます。

選択肢3. 接合部の木材の含水状態が、使用環境条件下において、接合具に錆(さび)を生じさせるおそれのある場合には、耐用年数に応じた防錆(せい)処理を施す。

適当です。

含水率が高いと金属が腐食しやすいので、防錆めっきやステンレス材を選ぶのが望ましいとされています。

選択肢4. ボルト接合においては、一般に、接合部が降伏する前に、木材に割裂、せん断、引張り等による脆(ぜい)性的な破壊が生じないようにする。

適当です。

ボルトの降伏やめり込みを許容する「延性破壊」を目標に設計するのが基本です。

選択肢5. 木ねじ接合部は、ねじ部の存在により、一般に、釘接合部に比べて変形性能が大きい。

不適当です。

ねじ山ががっちり噛み合うため初期剛性は高いものの、曲げに対する余裕が小さく、大きな変形には追随しにくいので誤りです。

まとめ

木質接合部の性能は、

・木材の密度(比重)

・継手の種類と形状

・含水率や腐食対策

・延性破壊を確保する設計
といった要素で決まります。

特に釘やボルトは塑性変形能力を活かしてエネルギーを吸収させる設計が基本ですが、木ねじは剛性が高い代わりに変形性能が劣る点に注意が必要です。

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