二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問64 (学科3(建築構造) 問14)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問64(学科3(建築構造) 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • コンクリートの曲げひび割れ幅は、一般に、鉄筋応力が一定であれば、コンクリートのかぶり厚が厚いほど、また、鉄筋径が太いほど大きくなる。
  • あばら筋は、一般に、梁の「ひび割れの伸展の防止」や「せん断終局強度及び靱性の確保」に有効である。
  • 耐震壁の壁板のせん断補強筋比は、直交する各方向に関して、それぞれ0.25%以上とする。
  • 柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱性が大きくなる。
  • 耐震壁周辺のスラブや吹抜け部周囲のスラブなどは、地震時の面内せん断力が伝達可能なスラブ厚とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは、

「柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱性が大きくなる。」です。


柱は軸方向圧縮力が大きくなるほどコンクリートと鉄筋に早くひび割れや降伏が生じ、変形能力(靱性)が低下します。

選択肢1. コンクリートの曲げひび割れ幅は、一般に、鉄筋応力が一定であれば、コンクリートのかぶり厚が厚いほど、また、鉄筋径が太いほど大きくなる。

適切です。

ひび割れ幅は ひび割れ間隔×鉄筋ひずみ で評価します。

かぶり厚や鉄筋径が大きいとひび割れ間隔が広がるため、同じ鉄筋応力でもひび割れ幅が大きくなります。

選択肢2. あばら筋は、一般に、梁の「ひび割れの伸展の防止」や「せん断終局強度及び靱性の確保」に有効である。

適切です。

あばら筋(せん断補強筋)は斜めひび割れの進展を抑え、コンクリートと一体となってせん断耐力とエネルギー吸収能力を高めます。

選択肢3. 耐震壁の壁板のせん断補強筋比は、直交する各方向に関して、それぞれ0.25%以上とする。

適切です。

告示・AIJ規準では、水平・鉛直とも0.25%(0.0025)以上を最低値と定めています。

選択肢4. 柱は、一般に、負担している軸方向圧縮力が大きくなると、靱性が大きくなる。

記述は誤りです。

軸方向力が大きいほど圧縮ひずみの許容量が小さくなり、曲げ降伏前に破壊に至るため靱性は低下します。

選択肢5. 耐震壁周辺のスラブや吹抜け部周囲のスラブなどは、地震時の面内せん断力が伝達可能なスラブ厚とする。

適切です。

壁周りのスラブはダイアフラムとして働き、地震力を壁に流すため十分な厚さ・補強が必要です。

まとめ

鉄筋コンクリート部材の靱性は、軸方向力の大きさや補強筋の配置に大きく左右されます。

特に柱は過大な軸力を受けると変形能力が落ちるため、設計時には軸力比を抑え、せん断補強を充実させることが重要です。

ひび割れ幅・補強筋比などの基準値を合わせて覚えておくと、耐震設計・施工の根拠を正しく示せます。

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