二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問66 (学科3(建築構造) 問16)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問66(学科3(建築構造) 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 許容圧縮応力度の算定は、細長比によって規定されており、幅厚比にはよらない。
  • 曲げを受ける角形鋼管は、横座屈を考慮する必要はない。
  • 埋込み形式の柱脚において、埋込み深さは、柱の見付け幅のうち大きいほうの柱幅とすることができる。
  • 構造用鋼材の短期許容応力度は、圧縮、引張り、曲げ、せん断の長期許容応力度のそれぞれの数値の1.5倍である。
  • 十分な量のスチフナーを設けることで、ウェブの局部座屈を防止することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは、

「埋込み形式の柱脚において、埋込み深さは、柱の見付け幅のうち大きいほうの柱幅とすることができる。」です。


埋込み柱脚の深さは少なくとも柱幅の1.5倍程度(かつ300mm以上が一般的)を確保してコンクリートとの付着抵抗と曲げ耐力を得る必要があり、柱幅と同じ長さでは不足します。

選択肢1. 許容圧縮応力度の算定は、細長比によって規定されており、幅厚比にはよらない。

本文の説明は妥当です。

許容圧縮応力度は部材全体の座屈(細長比)で決まり、局部座屈防止は幅厚比の上限で別途チェックする方式です。

選択肢2. 曲げを受ける角形鋼管は、横座屈を考慮する必要はない。

記述は適切です。

角形鋼管は閉断面でねじれ剛性が大きく、圧縮フランジの座屈が起きにくいため、実務では横座屈検討を省略できます。

選択肢3. 埋込み形式の柱脚において、埋込み深さは、柱の見付け幅のうち大きいほうの柱幅とすることができる。

柱幅と同じ深さでは付着・せん断抵抗が不足し、柱脚が十分な固定度を得られません。

最小でも柱幅の1.5倍程度が推奨されるため、この記述は不適当です。

選択肢4. 構造用鋼材の短期許容応力度は、圧縮、引張り、曲げ、せん断の長期許容応力度のそれぞれの数値の1.5倍である。

正しい記述です。

地震・風など短期作用時には1.5倍の増し許容を用いる規定で、圧縮・引張り・曲げ・せん断すべて同じ倍率です。

選択肢5. 十分な量のスチフナーを設けることで、ウェブの局部座屈を防止することができる。

適切な説明です。

ウェブにスチフナー(補剛材)を設けると有効支間が短くなり局部座屈を抑制できます。

まとめ

柱脚は建物の地震時の耐力と変形性能を左右する重要部位です。

埋込み深さが不足すると、柱脚が想定より早く回転・破壊し、上部構造に大きな影響を与えます。

鉄骨設計では、柱脚の細部寸法や補強材の量など、規定値を確実に満たすことが安全確保の基本となります。

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