二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問67 (学科3(建築構造) 問17)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問67(学科3(建築構造) 問17) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 隅肉溶接の有効長さは、まわし溶接を含めた溶接の全長として算出する。
  • 柱梁接合部において、スカラップは、応力集中により部材の破断の原因となることがあるので、スカラップを設けない方法もある。
  • 高力ボルト摩擦接合のせん断耐力は、ボルト締付け力と摩擦面の状態によるすべり係数によって決まる。
  • 高力ボルト摩擦接合において、摩擦面のすべり係数など表面条件が同じ場合、二面摩擦の許容せん断力は、一面摩擦の許容せん断力の2倍とする。
  • 高力ボルトの接合において、ボルト孔の中心間の距離は、公称軸径の2.5倍以上とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

「隅肉溶接の有効長さは、まわし溶接を含めた溶接の全長として算出する」という記述が不適当です。


有効長さは「実際の溶接全長-(すみ肉サイズ×2)」で求めるため、巻き返し部分をそのまま足し込むことはできません。

選択肢1. 隅肉溶接の有効長さは、まわし溶接を含めた溶接の全長として算出する。

誤りです。

有効長さには巻き返し部を含めず、両端からすみ肉サイズの2倍を差し引く必要があります。

選択肢2. 柱梁接合部において、スカラップは、応力集中により部材の破断の原因となることがあるので、スカラップを設けない方法もある。

適当です。

ノンスカラップ工法などが開発され、応力集中を抑える設計例が存在します。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合のせん断耐力は、ボルト締付け力と摩擦面の状態によるすべり係数によって決まる。

適当です。

設計式 P_s=μTμ:すべり係数、T:締付け力)が示すとおりです。

選択肢4. 高力ボルト摩擦接合において、摩擦面のすべり係数など表面条件が同じ場合、二面摩擦の許容せん断力は、一面摩擦の許容せん断力の2倍とする。

適当です。

摩擦面が2面に増えると抵抗面が倍になり、耐力も2倍になります。

選択肢5. 高力ボルトの接合において、ボルト孔の中心間の距離は、公称軸径の2.5倍以上とする。

適当です。

建築基準法施行令第68条により最小ピッチは2.5dと規定されています。

まとめ

鉄骨接合の設計では、

・隅肉溶接の有効長さは「全長-2a」で算出

・スカラップは応力集中を避けるため形状改善や省略も可能

・摩擦接合の耐力は締付け力と摩擦面数で決定

・ボルト配置は最小ピッチ2.5dを確保
といった細かな数値・取り扱いが定められています。

特に隅肉溶接の有効長を求める際は、巻き返し部をそのまま含めないよう注意が必要です。

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