二級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問87 (学科4(建築施工) 問12)

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問題

二級建築士試験 令和6年(2024年) 問87(学科4(建築施工) 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • トルシア形高力ボルトの締付け後の目視検査において、共回りや軸回りの有無については、一次締め後に付したマークのずれにより判定した。
  • ベースプレートとアンカーボルトとの緊結を確実に行うため、ナットは二重とし、ナット上部にアンカーボルトのねじ山が3山以上出るようにした。
  • トルシア形高力ボルトの締付け作業において、締付け後のボルトの余長は、ナット面から突き出た長さが、ねじ山が1~6山の範囲であることを確認した。
  • 高力ボルト摩擦接合部の摩擦面には、締付けに先立ち防錆塗装を行った。
  • 柱の溶接継手におけるエレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けた。

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この過去問の解説 (1件)

01

「高力ボルト摩擦接合部の摩擦面には、締付けに先立ち防錆塗装を行った。」

この記述が最も不適当です。


摩擦接合では、接合面どうしがすべりにくい状態で直接かみ合うことが大切です。

塗装をすると表面がすべりやすくなり、設計どおりの力を伝えられなくなります。

選択肢1. トルシア形高力ボルトの締付け後の目視検査において、共回りや軸回りの有無については、一次締め後に付したマークのずれにより判定した。

適当です。

一次締め後にボルト頭とナットに線や矢印を描き、仕上げ締めの後にずれを見れば、ボルト軸が回らずナットだけが回ったかどうかを確認できます。

選択肢2. ベースプレートとアンカーボルトとの緊結を確実に行うため、ナットは二重とし、ナット上部にアンカーボルトのねじ山が3山以上出るようにした。

適当です。

二重ナットは緩み止めに有効です。

また、ねじ山を2~3山以上出すのは一般的な管理基準で、3山は十分です。

選択肢3. トルシア形高力ボルトの締付け作業において、締付け後のボルトの余長は、ナット面から突き出た長さが、ねじ山が1~6山の範囲であることを確認した。

余長は少なくとも1山、できれば2~3山程度残すことが推奨されます。

6山でも機能に大きな支障はなく、許容範囲に収まるため適当です。

選択肢4. 高力ボルト摩擦接合部の摩擦面には、締付けに先立ち防錆塗装を行った。

摩擦面はさび・油・塗膜を完全に除去し、素地(または摩擦係数が保証された専用プライマー)を保つのが原則です。

一般的な防錆塗装を先に塗ると摩擦抵抗が下がるため、不適当となります。

選択肢5. 柱の溶接継手におけるエレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けた。

適当です。

仮ボルトは普通ボルトでも問題ありませんが、高力ボルトを使っても規格上の禁止事項はなく、施工中の剛性確保にはむしろ安全です。

まとめ

摩擦接合の要となる摩擦面には塗装をしてはいけないという基本ルールを押さえておきましょう。

他の記述は、締め付け確認方法、ナットの扱い、ボルト余長、仮ボルトの選定など、いずれも一般的な基準に沿っています。

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