建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第50回(令和2年度(2020年))
問128 (給水及び排水の管理 問128)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第50回(令和2年度(2020年)) 問128(給水及び排水の管理 問128) (訂正依頼・報告はこちら)

排水トラップに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • トラップにかかる圧力変動の周期と封水の固有振動周期が近いと共振現象を起こし、封水の水の損失が大きくなる。
  • 脚断面積比とは、トラップの流出脚断面積を流入脚断面積で除した値をいう。
  • 封水強度とは、トラップの蒸発現象発生時の封水保持能力をいう。
  • トラップのウェア(あふれ縁)に糸くずや毛髪が引っ掛かると、毛細管現象で封水が減少する。
  • 自掃作用とは、排水の流下水勢によって、トラップの封水部に沈積又は付着するおそれのある夾雑物を押し流す作用をいう。

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この過去問の解説 (1件)

01

もっとも不適当なのは 封水強度とは、トラップの蒸発現象発生時の封水保持能力をいう。 という記述です。
封水強度は「排水管内に生じる正圧・負圧に対して封水を保てる力」を示す指標であり、蒸発への耐性を示す言葉ではありません。

選択肢1. トラップにかかる圧力変動の周期と封水の固有振動周期が近いと共振現象を起こし、封水の水の損失が大きくなる。

圧力変動の周期と封水の固有振動周期が重なると、封水面が大きく振れて水が飛び散る・吸い込まれるなどの損失が起こります。共振による破封は実際に知られた現象です。

選択肢2. 脚断面積比とは、トラップの流出脚断面積を流入脚断面積で除した値をいう。

脚断面積比は「流出脚(下流側)断面積 ÷ 流入脚(上流側)断面積」で表します。この比が大きいほど自己サイホン作用が起こりにくく、封水強度も高まります。

選択肢3. 封水強度とは、トラップの蒸発現象発生時の封水保持能力をいう。

封水強度は圧力変動に対する保持力を示します。蒸発は時間の経過で水が減る現象であり、評価指標は「耐乾上り時間」など別に扱います。したがって蒸発を基準にする説明は誤りです。

選択肢4. トラップのウェア(あふれ縁)に糸くずや毛髪が引っ掛かると、毛細管現象で封水が減少する。

細い繊維がウェア(あふれ縁)に垂れ下がると、毛細管現象で水が引き上げられ、封水がじわじわ減ります。浴室排水口などでよく見られる破封原因です。

選択肢5. 自掃作用とは、排水の流下水勢によって、トラップの封水部に沈積又は付着するおそれのある夾雑物を押し流す作用をいう。

自掃作用とは、排水が流れる勢いでトラップ内部に沈殿・付着しそうなゴミを流し出す働きです。流速を確保することで封水部の汚れや詰まりを防ぎます。

まとめ

封水強度=圧力変動への耐性、蒸発対策とは別物 という区別が重要です。

破封を防ぐには、脚断面積比・封水深・共振対策・自掃作用など、複数の要素をバランスよく設計・維持する必要があります。

毛髪や糸くずは見落としがちな破封要因です。定期清掃と点検で封水を守り、臭気逆流を防ぎましょう。

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