建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第51回(令和3年度(2021年))
問25 (建築物の環境衛生 問25)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第51回(令和3年度(2021年)) 問25(建築物の環境衛生 問25) (訂正依頼・報告はこちら)

温熱環境と体熱平衡に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 対流による熱放散は、流体の流れに伴う熱エネルギーの移動現象である。
  • 蒸発による熱放散は、水分が皮膚から気化するときに皮膚表面から潜熱を奪う現象である。
  • 高温環境下においては、人体の熱産生量は低下する。
  • 人体側の温熱環境要素は、代謝量と着衣量である。
  • 伝導による熱放散は、体と直接接触する物体との間の熱エネルギーの移動現象である。

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この過去問の解説 (1件)

01

もっとも不適当なのは「高温環境下においては、人体の熱産生量は低下する。」です。
人は暑い場所にいるときでも、基礎代謝や心拍・呼吸の増加、発汗のためのエネルギー消費などでむしろわずかに熱産生が増える傾向があります。体内で意識的に熱産生を下げる生理機構はほとんどなく、寒さのときに起こる「ふるえ」ほど明確な調整はありません。そのため「高温で熱産生が低下する」という表現は適切ではありません。

選択肢1. 対流による熱放散は、流体の流れに伴う熱エネルギーの移動現象である。

空気や水が身体表面を流れると、体表の熱が流体に移って運ばれます。これが対流熱放散で、定義どおりです。

選択肢2. 蒸発による熱放散は、水分が皮膚から気化するときに皮膚表面から潜熱を奪う現象である。

発汗した水分が気化するとき、1gあたり約0.58 kcalの熱を奪い、体温を下げます。正しい説明です。

選択肢3. 高温環境下においては、人体の熱産生量は低下する。

実際には心拍数増加や発汗活動でエネルギー消費が増え、熱産生は維持またはやや増加します。したがって不適当です。

選択肢4. 人体側の温熱環境要素は、代謝量と着衣量である。

温熱環境を評価するとき、人側の変数は「どれだけ熱を作るか(代謝量)」と「どれだけ熱を通しにくい服か(着衣量)」の2つが基本です。適切な記述です。

選択肢5. 伝導による熱放散は、体と直接接触する物体との間の熱エネルギーの移動現象である。

たとえば冷たい床に寝そべると体熱が床へ移る――これが熱伝導による放散です。定義どおり正しい内容です。

まとめ

体熱平衡は

熱産生(代謝)

熱放散(伝導・対流・放射・蒸発)

のバランスで決まります。
高温時は「放散を増やす(汗・皮膚血流)」「行動で涼を取る」が主な調節であり、熱産生を減らす仕組みはほぼないことを押さえておきましょう。

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